こんにちは。
会社信用クリエイターの佐藤絵梨子です。
9月末に、アパート建築や賃貸などを手がける(株)レオパレス21(以下:レオパレス)が2021年3月期の第1四半期決算(4〜6月)を発表しました。
(株)レオパレス21 第48期第1四半期報告書(2020.09.30)
発表が当初の予定日から延期されたこともあり、どのような発表になるのか注目していた方も多いのではないでしょうか。
レオパレスでは、管理物件の施工不良問題などによって主力事業である賃貸事業が低迷したこともあり、2021年3月期の第1四半期末時点の財務内容は118億円の債務超過(連結ベース)となりました。
今回のブログでは、このレオパレスが、お金の面で信用を回復させるためにどのような情報を伝えているのかを見ていこうと思います。
決算書の内容があまり良くない時に信頼を回復させる方法として、とても参考になりますよ。
なんて声が聞こえてきそうなところですが、
そんなことはありません。
大手企業は伝える情報1つ取ってもレベルが高いです。
もし、みなさまが大手企業と取引をしたいなと思っているのならば、大手企業が”これが普通だ”と思っているレベルに近い情報を伝えていかないと、「良い会社だな、取引したいな」とは思ってもらえません。
ですので、大手企業の情報の伝え方を知って、みなさまの会社でもできるものを取り入れていく必要があるんです。
いきなり全部やってみましょう!とは言いません。
少しずつで大丈夫です。
ちょっとだけ気合いを入れて、レオパレスが信用回復のためにしているお金についての情報発信を見ていきましょう!
この記事を書いている私のこと 佐藤絵梨子 新卒で企業の信用調査会社に入社。10年間で延べ7,000社以上を取材し、大手企業との取引は無理だと諦めている経営者が多くいることに気づき一念発起。現在は、数字に自信がない中小・零細企業が大手企業から取引先として選ばれるためのサポートを展開。ブログやツイッターでは会社が信頼されるコツを伝える。※詳しいプロフィールはこちら
会社信用クリエイター
①誤りのある報道に対しては、すぐに訂正情報を発表する
レオパレスが決算を発表する前から、業績見込みや資金調達については2 たくさんの報道がされていました。
この報道に対して、レオパレスでは、誤りがあった記事への訂正情報をすぐさま発表しているんですね。
その時のポイントはこちら。
より悪い情報だとしても、正しい情報をしっかり公表する
決算の発表前にホームページのIR情報に掲載された訂正情報はこの2つです。
① 9月25日付の一部報道について(2020.09.28)
② 9月30日付の一部報道について(2020.09.30)
1つ目は債務超過の額が実際よりも小さく報道されたことに対する訂正情報。2つ目はスポンサーからの支援について報道されたことへの訂正情報です。
どちたの報道もレオパレスにとって悪い情報ではないのですが、きちんと正しい情報を発表しています。
9月25日付の一部報道について(2020.09.28)
https://www.leopalace21.co.jp/ir/news/2020/pdf/0928.pdf
【書かれていること】
9月30日付の一部報道について(2020.09.30)
https://www.leopalace21.co.jp/ir/news/2020/pdf/0930_01.pdf
【書かれていること】 フォートレスインベストメント・グループが600億円を出資や融資をもって支援する方針との報道があったが、レオパレスが公表したものではないこと
情報を発表するタイミングが早いですよね。
こまめに自社の評判に関わる情報をチェックしているのがわかります。
その都度、正しい情報をきちんと伝えることで、社内の体制がしっかりしていることも感じ取れますよね?
本当に危なくなってくると、情報発信が滞る会社は多いので、正しい情報が素早くポンポンと出せるということは、信頼感を持ってもらえるんですね。
中小・零細企業では、ニュースとまではならなくても、ネットの掲示板やうわさ話などで誤った情報が広まってしまうことがあると思います。
そういった場合には、ホームページや口頭などで素早くしっかり情報を訂正し、信頼を回復するよう努めてくださいね。
②特に注目される『お金事情』の情報提供を惜しまない
このブログでは何度も何度も繰り返しお伝えしていることですが、会社が続いていくためにはお金が必要です。
お金がなくなって、支払いができなくなれば、会社は潰れてしまうからですね。
ですので、債務超過ともなれば、注目されるのは“これからのお金事情”なんです。
なんて思っている方は、こちらの記事を読んでください。
\『状況が悪い時こそ情報を出さないと、会社の信用は落ちるばかりだ』ということを解説しています/ こんにちは。 会社信用クリエイターの佐藤絵梨子です。 長く会社を経営していると、業績が思うように伸びないこともありますよね。 経営者 ... 続きを見る
赤字続きの会社は必須!悪い評判を食い止める情報対策
レオパレスの場合も、決算発表前からお金事情がどうなるかという報道が数多くありました。
具体的にお金事情のどんなところが注目されていたかというと、
- 当面の資金は確保できているのか
- これからお金を確保する場合、
どうやってお金を確保するのか
どうやって当面のお金を回すのか - 今後どのように売上を回復していくか
といったことが中心です。
これに対して、
レオパレスではホームページのIRニュースで、資金調達や今後の売上計画についての資料がいくつも発表しています。
ここ最近発表しているもので言えば、
といった資料がそうですね。
中小・零細企業ですと、ここまで手の込んだ資料をつくってホームページにアップしたり、取引先に見せることまではしていられないと思います。
ですが、
- 商談や打ち合わせ
- 挨拶回り
- 面談
など、
取引先との会話の中でさりげなく伝えることはできますよね?
こんなふうに伝えてみましょう
このような会話をさりげなくして、お相手に
「お金はどうにかなりそうなんだな」
「資金繰りは頑張っているな」
と強く印象づけてください。
1つ目の『当面の資金が確保できているのか』を伝えることの大切さについては、こちらの記事でも解説しています。
読んでみてくださいね。
-
コロナ倒産に学ぶ『不安な時代でも取引先から信頼される方法』
こんにちは。 会社信用クリエイターの佐藤絵梨子です。 近頃は、新型コロナの影響による企業の倒産記事を目にすることが増えましたね。 ...
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2つ目の『どうやってお金を確保するのか・どうやって当面のお金を回すのか』については、こちらの記事で”こんなふうに伝えると良いですよ”という例をご紹介しています。
3つ目の「売上をどう回復させるか」については、
という質問をよく受けるのですが、
お金事情=「借入をする」「どうやり繰りするか」ということだけではないんですね。
お金を上手くやり繰りするには、“自力で稼いでたくさんお金を集めること”も必要です。
なので、売上をどう回復していくかをまわりに示していくことも大事なんですよ。
今後の売上計画を伝える時には、レオパレス発表している『月次データ』も参考になりますね。
この『月次データ』では、売上を構成するものを入居率や管理戸数、賃貸WEB契約件数などに分解して、前月との増減を示しています。
ただ単に、
と伝えるのではなくて、
のように、
- 目標値
- 現状(前年と比較しながら)
という内容を盛り込んだお話しができると、具体性があり、お相手からの信頼感もアップします。
経営者のみなさまも、ご自身の会社がどのような情報を伝えれば売上計画の進捗を伝えられるかをしっかり考えて、伝え方を工夫してくださいね。
あとがき
決算書の内容が悪くなってきた時は、“会社を信用してもらう努力”が必要になります。
とにかく商品やサービスの良さを伝えて巻き返そうとする経営者の方が多いですが、それだけでは不十分なんです。
今回のブログでお伝えした“お金事情”をしっかり伝えてお相手に安心感を与えることは、ぜひすぐにやってみてくださいね。
本日のブログはここまでです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
本日の記事が、1人でも多くの経営者の方のお役に立てれば嬉しいです。
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