元・調査員が教える!信用調査の真実

元・調査員が教える!信用調査は拒否すると怖い?拒否のデメリット完全攻略法

2023年9月7日

元・調査員が教える!信用調査は拒否すると怖い?拒否のデメリット完全攻略法|会社信用ドットコム
信用調査会社から電話がきた!拒否して大丈夫?

このような疑問にお答えします。

東京商工リサーチや帝国データバンクから、ある日突然かかってくる「調査にお邪魔したい」という電話。

「断って大丈夫か?」

「拒否してデメリットはないか?」

「なんだか怪しいから拒否すべき?」

心配な経営者の方もいることでしょう。

そこで本日は、信用調査拒否の不安を一発解消する記事をお届けします。

この記事を書いている私は、企業信用調査会社(株)東京商工リサーチ元調査員です。10年間で延べ7,000社以上を調査した実績があります。

本記事では、信用調査の現場をよく知る者として、「調査拒否で一体なにが起こるのか」を徹底解説しました。

最後までお読みいただければ、調査拒否のすべてがわかる内容です。

さらに、信用調査をうまく使いこなし、最高の取引を勝ち取ることもできるようになります。

元調査員が魂を込めて全力で書いた記事です。

ぜひ最後までお読みくださいね。

この記事を書いている私のプロフィール

佐藤絵梨子(さとうえりこ)
会社信用ドットコム代表・会社信用クリエイター

世界最大の企業情報を保有する (株)東京商工リサーチに入社後、個人から売上1兆円企業まで10年間で延べ7,000社以上を調査。商業登記簿から会社の信用度を見抜くほどになり、全国1,000人以上の調査員中、営業成績1位獲得の実績を誇る。2017年同社を退職。現在は大手企業との取引実現から銀行融資・補助金獲得まで支援するサービスを展開。小さな企業の救世主として期待されている。

*経済産業省認定 経営革新等支援機関(認定支援機関ID:107713006411

詳しいプロフィールはこちら

<メディア掲載情報>

SMBCグループの経営層向け会報誌『SMBCマネジメントプラス』2024年12月号
日本実業出版社『企業実務』2024年12月号 など

会社信用ドットコムメディア情報

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信用調査に協力するのは義務か?

信用調査に協力するのは義務か?|会社信用ドットコム

東京商工リサーチや帝国データバンクから連絡がきて、信用調査に協力するか・拒否するか迷ったことはありませんか?

そもそも信用調査に回答するのは義務なのでしょうか?

結論からお伝えすると、答えは「No」です。

回答する義務はありません。

東京商工リサーチや帝国データバンクは、あなたの会社に調査協力を強制できません。

堂々と断って問題ないのです。

とはいえ、「本当に拒否して大丈夫か」気になりますよね?

拒否をするなら、信用調査の裏側拒否したら何が起きるのかも知っておくと安心です。

拒否の不安や疑問を1つずつ解消していきましょう。
佐藤絵梨子

 

「だから拒否したい」と思うあなたは必読!調査拒否でよくある質問

元・調査員が答える!信用調査でよくある質問|会社信用ドットコム

信用調査について疑問があると、調査に協力するか、それとも断るべきか判断が難しいかもしれませんね。

そこで、ここではそんな疑問を解消します。

信用調査の現場でよくある質問に、元・調査員が回答しますよ。

 

信用調査会社って怪しいのでは?

「実は、信用調査会社って怪しいと思ってたんだよね」

思わず苦笑してしまいますが、調査員だった頃、社長からこう言われたことがあります。

信用調査や取引審査の現場をご存じない方からすると、確かに突然自社の情報を聞きたがるなんて怪しく感じるかもしれませんね。

私は調査員をしていたからこそ怪しいと感じないだけで、もし調査員経験がなかったら、怪しいと感じていたかもしれません。

ただ、ご安心ください。信用調査会社は怪しい会社ではありません。

「東京商工リサーチ」や「帝国データバンク」は、明治時代から100年以上も信用調査を行ってきた歴史ある企業です。

国内で二大信用調査会社として、多くの企業や金融機関の取引審査で必要とされ、信頼を得ています。

参考までに、各社のホームページもご紹介しておきますね。

ただし、注意点も1つ。

調査会社を名乗る会社の中には、調査会社を装った詐欺的な営業を行う本当に”怪しい”業者も存在します。

不審な電話があった場合は、ホームページや口コミを確認するなど、十分ご注意ください。

 

うちを調べる目的はなんですか?

東京商工リサーチや帝国データバンクに調査を依頼する企業の目的は、主に2つです。

1つ目は、新規取引の検討です。あなたの会社と取引を始めたいと考えている企業が「この会社と安心して取引できるか」「うちの取引先としてふさわしいか」を確認したい場合や、取引条件を決めるための判断材料として調査を行います。

2つ目は、取引先管理の一環としての調査です。すでに取引のある会社が定期的なチェックとして調査したり、状況の変化を確認するために調査することもあります。信用調査会社がデータ更新のために調査することもあります。

どちらも、あなたの会社にとって新たな取引の可能性や、既存取引の拡大につながるチャンスになります。

 

なぜ依頼者を教えてくれないの?

信用調査会社が依頼元を明かさない理由は、主に2つあります。

1つは、調査結果を正確で公平なものにするため。例えば、有名な企業が依頼したとわかれば、つい丁寧に答えようと思いますよね?では、あまり知らない会社からの依頼だったらどうでしょうか?回答が簡素になる可能性がありませんか?

このように、依頼した企業によって回答の丁寧さが変わり、得られる調査結果がブレることを防ぐ目的があります。

もう1つは、調査される企業に余計な不安や期待を持たせないため。「なぜあの会社から調査されるのか」と心配したり、「調査に答えたけどその後取引はどうですか?」と取引先に直接問い合わせたりする事態を避けたいのです。

つまり、取引検討段階での調査をスムーズに進めるための対策ということですね。

 

うちを調べてるのは同業では?

確かに、同業他社が信用調査会社を使ってあなたの会社を調べることもあるでしょう。

ですが、実際には、同業他社による調査はあまり多くありません。理由は主に2つです。

1つは費用対効果の問題です。ライバルのことを調べるために、数万円の調査費用をかけようという企業は多くはありません。

2つ目は、もっと必要な調査があるからです。新規の取引先を審査したり、既存の取引先の経営状態を確認したりする調査の方が、はるかに優先度が高いです。

実際、私が調査員として対応したご依頼でも、新規取引や既存取引に関連する調査が圧倒的に多かったですよ。

 

調査は嘘で営業しに来るのでは?

「調査依頼が入ったというのは口実で、信用調査の契約を取りたいだけでしょ?」

そう思われる方もいるかもしれませんね。

確かに調査員は営業もします。でも、調査員の本分は調査です。

あなたの会社と取引を検討している企業からの調査依頼に対応するため、企業情報を最新の状態に保つために調査をしています。

調査員がこなすべき調査量は膨大です。口実まで用意して、営業のためだけに時間を使ってはいられないはずです。

 

業績不振時は調査を拒否すべき?

「今は業績が悪いから、調査は受けたくない。きっと低評価になるし、むしろ拒否した方がいい」

この考え方は実は逆効果です。

業績不振を理由に調査を拒否すると、かえって二重のマイナスを被ることになります。

1つは、情報がないために実態以上に悪く見られてしまうこと。

もう1つは、情報公開に消極的な会社として評価を下げられてしまうことです。

一方で、業績が悪くても、理由や今後の改善計画をしっかり説明できれば、むしろ誠実な企業として高評価を得られる可能性があります。

業績不振時こそ、隠すのではなく、きちんと説明することが企業評価を守るポイントです。

 

情報を出してメリットはある?

「情報を出すとデメリットが大きいのでは?」と考える経営者の方もいますが、実は、適切な情報開示には大きなメリットがあります。

情報開示をすることで「あの会社良さそうだな」と思ってもらえて、「安全な取引ができそう」と安心してもらえます。

新規取引の獲得、融資の審査通過、取引条件の改善など、ビジネスチャンスが広がる可能性が圧倒的に高まります。

情報を出さないことで、知らないうちにチャンスを逃しているかもしれませんよ。


以上、調査拒否でよくある質問に元・調査員がお答えしました。

そうだったんですね!疑問が解決しました!

 

元調査員は知っている!調査拒否で失敗する残念な考え方

要注意!信用調査で失敗する残念な考え方|会社信用ドットコム

調査現場を見尽くした元調査員としてお伝えします。

信用調査で失敗する残念な考え方というものがあります。

怖いのは、最悪の場合、会社の評価を大きく下げてしまう可能性があるということです。

ここでご紹介するのは、どれも私が調査員時代からよく耳にする考え方はかり。知らぬ間にみなさまも同じ考え方をしてしまっているかもしれません。

「あなたの考え方は残念ではないか?」そして、「どう残念なのか?」今すぐ確認してみてください。

 

面倒くさいから適当な対応でOK

調査拒否で失敗する残念な考え方の1つ目は、面倒くさいから適当な対応でOKというものです。

忙しい時間を割いて、資料の準備もして、調査員の質問に答える。確かに面倒くさく感じることもあるでしょう。

でも、その調査の向こう側には、あなたの会社と取引したいと考えている企業がいます。

(下の図の一番左の企業のことです)

信用調査が入るまでの流れイメージ画像|会社信用ドットコム

出典:会社信用ドットコムにて作成

信用調査は新しい取引を獲得したり、既存の取引を拡大したりするチャンスです。

「面倒だから適当にあしらっておこう」

その適当な対応が原因で、調査を依頼した会社に「情報公開に消極的」「不誠実」というマイナスの印象を持たれるケースが後を絶ちません。

良い取引先を逃してしまったり、既存の取引先からの信頼を失うこともあります。

ビジネスチャンスを台無しにしないよう、十分注意してください。

 

調査なんて失礼!突っぱねてやる

調査拒否で失敗する残念な考え方の2つ目は、調査なんて失礼!突っぱねてやるというものです。

「会社に勝手に点数をつけるなんて、何様のつもり!?」

「ズケズケ質問して、失礼だろうが!!」

お怒りの気持ちはよくわかります。

でも、そのような経営者の方の態度や考え方は、経営者の人間性や情報公開性としてすべて評価されています。

取引審査には応じないとか、怒り狂ってすぐ怒鳴るとか、情報公開に対するその姿勢こそが評価対象です。

最悪の場合、信用調査会社を通じてあなたの会社を調べている取引先から、信頼を失うきっかけになります。十分にご注意ください。

 

調査会社に媚びたくない!

調査拒否で失敗する残念な考え方の3つ目は、調査会社に媚びたくないという考え方です。

「評価を上げるために調査会社に媚びるなんて嫌だ」

そう思われる経営者の方もいらっしゃるかもしれません。でも、これは大きな誤解をしていますし、信用調査で最も大事なことを理解していません。

元調査員としてはっきり申し上げますが、良い会社と取引をしたいと考えているなら、この考えのままでいるのは大変危険です。

信用調査会社は取引先に代わって調査をしているだけ。あなたの会社に興味を持つ企業からの依頼に、専門家として対応しているだけ。

この考えを持っている経営者様は、あなたにとって最も大切な、以下の図の一番「左」の企業の存在をすっかり見落としています。

信用調査が入るまでの流れイメージ画像|会社信用ドットコム

出典:会社信用ドットコムにて作成

「媚びる」という考え方自体が、調査依頼の向こう側にいる大切な取引先の存在を見落としているんです。

このような意識で拒否していると、良い取引機会を逃してしまう可能性が高まります。

 

うっとおしいから無視!

調査拒否で失敗する残念な考え方の4つ目は、うっとおしいから無視するものです。

「また調査?もう忙しいんだけど!」

「忙しい時に調査の電話をしてくる!」

「東京商工リサーチも帝国データバンクもうっとおしい!」

そうですよね。いちいち対応してられないんだけど…と思う時もあると思います。

でも、その調査依頼の向こうには、あなたの会社と取引したいと考えている企業や、取引拡大を考えている企業が存在します。

無視して本当に大丈夫ですか?よく考えてみてください。

 

うちに調査なんて入るわけない!

調査拒否で失敗する残念な考え方の5つ目は、うちに調査なんて入るわけない!という考えです。

「うちみたいな小さな会社に調査なんて入るわけない」

「いま取引の話なんて来てないし、調査なんてありえない」

そう思っていませんか?それ、とんでもない誤解です。

会社の規模に関係なく、調査は入ります。わざわざあなたに知らせず、こっそり調査するケースもあるでしょう(むしろそのような調査の方が普通です)

さらには、あなたの会社にはまだ接触していないけれど、取引先候補として調べたいというケースだってあります。

あなたの会社に興味を持つ企業がいれば、調査はいつ何時でも入るものですよ。

 

調査会社が勝手に調べてるだけ

調査拒否で失敗する残念な考え方の6つ目は、調査会社が勝手に調べてるだけという考えです。

「どうせ調査会社が勝手にデータ集めをしているだけでしょ?」(調査が入ったなんて嘘でしょ)

そう思うかもしれませんが、調査会社の向こう側には、必ずあなたの会社を知りたがっている企業がいます。

実は、見過ごしてはもったいないチャンスかもしれません。

下記の図をご覧いただいて、あなたの会社に調査が入るまでの流れを理解しておきましょう。

あなたの会社に信用調査会社が入るイメージ

信用調査が入るまでの流れイメージ画像|会社信用ドットコム

出典:会社信用ドットコムにて作成 

確かに、東京商工リサーチや帝国データバンクは古いデータを最新のものに更新するために、「調査をさせてほしい」と連絡をすることがあります。

でも、調査会社が単にデータを集めて「増えて嬉しい」と喜んでいるわけではありません。

これから調査を検討している企業のために、あらかじめ情報を用意しておく目的があります。

こちらも下のイメージ図をご覧いただくとわかりやすいです。

信用調査のデータ更新のイメージ

信用調査会社のデータ更新とデータを見る企業の関係性を説明した図

出典:会社信用ドットコムにて作成 

事前にデータが更新されていれば、調査を依頼してから情報が届くまでの時間を短縮し、企業はすぐに必要な情報を確認できます。

信用調査会社が動く背景には、「あなたの会社との取引を検討している企業」や「あなたの会社の情報を知りたい企業」がいることを忘れないでください。

 

調査に回答しなきゃ諦めるでしょ

調査拒否で失敗する残念な考え方の7つ目は、調査に回答しなきゃ諦めるでしょという考え方です。

残念ながら、そうはいかないのが信用調査会社の調査員です。

彼らは別の方法であなたの会社を調べ始めます。

直接の調査取材は無理なのなら、できる範囲で情報を集めるのです。

その結果、不利な情報や古い情報だけが伝わってしまう可能性もあります。

あなたの会社の情報開示に対する姿勢も、調査会社に調査依頼をした企業からすれば「不誠実」と見られる可能性があります。要注意です。

 

情報は出さない方が得

調査拒否で失敗する残念な考え方の8つ目は、情報は出さない方が得という考え方です。

「情報は出さない方が安全」と考えがちですが、信用調査では逆効果になることの方が圧倒的に多いです。

情報を出さないことで、実態以上に悪く見られたり、情報公開性でマイナス評価される可能性があるからです。

とくに大手企業や優良企業の取引審査担当は、以下のように考える傾向があります。

「情報を出せないのは、何か問題があるのではないか?」

「取引を検討している企業に対して情報を開示しないのは、不誠実ではないか?」

「もしかして、取引審査や信用調査の重要性を理解していないのでは?」

情報開示に消極的な姿勢は、相手に不安を与え、取引のチャンスを逃す原因になりかねません。

本当にその考えで得をしますか?

 

今まで答えてないけど問題ない

調査拒否で失敗する残念な考え方の9つ目は、今まで答えてないけど問題ないという考え方です。

「東京商工リサーチや帝国データバンクになんて情報出してないけど全然大丈夫だよ」

「今まで調査に答えてないけど、とくに困ったことはない」

「新しい取引も来ているし問題ない」

そう思われるかもしれません。でも実は、目に見えないところで損失が発生しているかもしれません。

信用調査会社に情報が登録されていない。情報はあるが不足している。そうすると、「よくわからない会社とは取引しない」と判断して、取引の声をかけずに去ってしまった企業が存在したかもしれません。

その結果、あなたが知らないだけで、新しい取引機会を逃している可能性があります。

はっきり申し上げますが、調査取材や取引審査の現場では、こんなことが本当によく起きています。

目に見える変化がないから、感じている痛みがないからといって、問題がないとは限らないのです。


失敗する残念な考え方をご紹介しました。

見直すべき考え方は見直し、信用調査を拒否するかどうかよく考えてみてください。

自分の考え方のマズさに震えています!

 

超危険!調査拒否の特大デメリット

信用調査を拒否する巨大リスク|会社信用ドットコム

信用調査を拒否することで、あなたの会社にはどんなデメリットがあるのでしょうか?

以下の具体的なデメリットをご紹介します。

信用調査を拒否するデメリット

  1. 大手が口座を開いてくれない
  2. 失注で大ダメージ
  3. 思いどおりに融資を受けられない
  4. 勝手に「悪そう」と思われる
  5. ライバルにボロ負けする可能性
  6. 会社の評価に悪影響
  7. 劇的挽回の可能性を失う

あらかじめ知っていれば、デメリットを避けることもできるでしょう。

1つずつ解説します。

 

大手が口座を開いてくれない

調査拒否の巨大デメリットの1つ目は、大手企業に直接口座を開いてもらえないことです。

大手企業には取引先を管理・審査する専門部署があって、「企業は情報を公開するのが当然」という考え方が根付いています。

彼らは、情報が不足している企業やよくわからない企業には厳しいです。

取引をしてもらえなかったり、商社や他社を経由した代理店経由の取引になってしまうケースも多々あります。

実際に私のもとには、「大手企業と直接取引ができない」「代理店を介さずに取引してもらうにはどうすればいいか」といったご相談が、日々寄せられています。くわしくお話を伺うと、信用調査で十分な情報を提供していなかったり、取材に応じたことがない経営者の方も少なくありません。そして、その調査対応を後悔しています。これをきっかけに情報開示の姿勢を見直す方も多くいらっしゃいます。みなさまも、どうぞよくお考えくださいね。

大手企業との確実な取引を目指すなら、信用調査の対応策をしっかり考えておくことが大切です。

 

失注で大ダメージ

調査拒否の巨大デメリットの2つ目は、失注で大ダメージを受ける可能性があることです。

「取引先(候補)を調べてみたけれど、相手が調査に答えなかった。この会社とは安心して取引できないな」

このように取引を見送られることがあります。

とくに、大手企業や取引に真剣な企業ほど、このような理由で取引を見送ることが多いです。良い取引を獲得したいなら要注意です。

 

思いどおりに融資を受けられない

調査拒否する巨大デメリットの3つ目は、思いどおりに融資を受けられないことです。

銀行では信用調査会社の情報を参考にすることがあります。

情報が少ない会社や情報が全くない会社には、融資担当者も声をかけづらいです。審査の目も厳しくなる可能性が高まります。

もし信用調査を拒否する場合は、事前に融資を受けるための情報対策をしておきましょう。

 

勝手に「悪そう」と思われる

調査拒否の巨大デメリットの4つ目は、悪そうなイメージを”勝手に”持たれてしまうことです。

「経営状態が良くないから情報を出さないのでは?」

というように、憶測が広がる可能性が高まるのですね。

実際、業況が厳しい会社ほど信用調査を拒む傾向があるので、「悪いから拒否なのでは?」と見られやすいです。

あなたの会社を調べる企業が、”情報を出さないこと”をどう受け止めるか。相手の考え方を想像することも大切です。

 

ライバルにボロ負けする可能性

調査拒否の巨大デメリットの5つ目は、ライバルにボロ負けする可能性があることです。

複数の取引候補から1社を選ぶとき、多くの企業は各社の情報を比較検討します。

もし、あなたの会社が調査を拒否すると、情報が少ない状態で比較されることになります。

たとえ優れた会社でも、情報が少なければライバル企業に負けてしまう可能性は高まります。注意しておきたいですね。

 

会社の評価に悪影響

調査拒否の巨大デメリットの6つ目は、会社の評価に悪影響が出ることです。

信用調査会社は、みなさまの会社を評価するとき、とくに以下の2点を重視します。

  • 信用調査に協力的か、拒否する傾向にあるか
  • どの程度、積極的に情報を開示しているか

これは「情報公開性」という重要な評価ポイントです。

東京商工リサーチや帝国データバンクでは、このような評価方法を詳しく公開していますよ。

ここで大切なのは、信用調査会社だけでなく、あなたの会社との取引を検討している企業も、情報開示の姿勢を重要な判断材料として見ていることです。

もしあなたの会社が取引先を選ぶ立場だったら、情報をしっかり開示してくれる会社と、情報がほとんどない会社、どちらを信頼しますか?

少し考えてみると、情報開示の重要性がより実感できるはずです。

 

劇的挽回の可能性を失う

調査拒否の巨大デメリットの7つ目は、劇的挽回の可能性を失うことです。

信用調査は、古い情報を最新の情報に更新したり、マイナスの評価を挽回したりするチャンスでもあります。

例えば、以前の業績悪化が改善した場合や、経営体制の強化に成功した場合など、プラスの変化を伝える絶好の機会です。

調査を拒否してしまうと、そのような説明の機会を失ってしまいます。

誤った情報や古い情報が、そのまま残り続けてしまう可能性をどう考え対処するか、社内でよく検討してください。

 

調査拒否で失うもの【大ダメージ】

調査拒否で失うもの【大ダメージ】|会社信用ドットコム

調査拒否でよくある誤解、そしてリスクやデメリットについてお伝えしてきました。

でも、これらはまだ序の口です。

10年以上、延べ7,000社以上の信用調査現場を見てきた元・調査員の私が、必ず知っておいてほしい調査拒否の危険性をお伝えします。

それは、

調査情報を見る相手から『信用』されなくなることです。

信用調査会社の調査では、その情報を見る依頼者がいます。これは、あなたとの取引を検討している企業です。

信用調査が入るまでの流れイメージ画像|会社信用ドットコム

※この図でいう1番左の会社の存在を忘れてはいけません

当然ながら、この企業は取引の判断材料として信用調査会社の情報を重視しています。

情報を出さない会社は、本当はどんなに優れた会社であったとしても、残念ながらその相手から信用を勝ち取り、取引をつかむことは難しいでしょう。

なぜなら、情報がなければ、あなたの会社の真の価値や信頼性が相手に正しく伝わらないからです。

情報がない"よくわからない会社"。私の経験では、取引審査をする方々の中で、情報がない会社に「きっとこの会社は安心して取引できる」と信用する方は本当に少ないです。

「うちはホームページやSNSで情報発信しているし、取引するならパンフレットも渡す。商品やサービスの説明も、うちの会社の優れた点も伝えるから、わざわざ信用調査に答えなくても大丈夫!」

そうおっしゃる方がいますが、それは本当に相手の「この会社と安心して取引できるか?」という疑問に、完璧に答えられるだけの情報でしょうか?

相手はあなたに会ってくれるとは限りません(取引の審査担当は社内にいることが多いものです)。それでも彼らに「取引OK」と言わせるだけの情報を提供できていますか?

そもそも、相手が取引判断で重視するのが、信用調査会社の情報だったらどうしますか?

ちなみに、信用調査をかけている時点で、その依頼者はそれを取引の判断材料として間違いなく重視しています。

わざわざお金や時間をかけて信用調査会社に調査を依頼するような会社です。取引を真剣に考え、あなたの会社との関係をしっかり考える、いわゆる世間でいうところの"良い会社"である可能性が高いでしょう。

そして、そのような会社と信用を築く大切な機会の1つが、信用調査なのです。

拒否をして、その大切な信用構築のチャンスを蹴ってしまって本当に大丈夫ですか?

いま私のところには、信用調査や取引審査に関するご相談がほぼ毎日のように飛び込んできます。

その中には、

「全国規模の店舗展開をする某大手企業から取引の打診があったのだけれど、営業担当はOKだけれど、審査担当が信用調査会社に情報がないからと取引を渋られている。どうしたらいいですか?」

とか、

「いままで信用調査にしっかり回答してこなかったんですが、今度取引する某大手企業(誰もが知ってる)が信用調査レポートを見て直接取引に応じてくれず、代理店経由になってしまっています。どうすればいいですか?」

という切実なご相談も少なくありません。

優れた会社と良い取引関係を構築したいなら、信用調査をないがしろにしない方がいいです。

いま一度、信用調査にどう対応するか、あなたの会社の未来を左右する重要な経営判断として、じっくりと考えてみてください。

 

脱・低評価!好印象な調査の断り方

低評価はこう防ぐ!信用調査を拒否する場合の断り方|会社信用ドットコム

ここまでお読みいただいるみなさまは感じていることと思いますが、私は基本、調査の拒否はおすすめしません。

それでもさまざまな事業があり、信用調査を拒否する必要がある経営者の方もいらっしゃると思います。

そして、「信用調査は受けられないけれど、できるだけ会社の評価は下げたくない…」そう思っているのではないでしょうか?

実は、信用調査を断る場合でも、その伝え方次第で印象は大きく変わってきます。

私が調査員時代、「断られたけど、とても誠実な会社だな」と感じた企業がありました。

今でも印象に残っているその対応方法を、ここだけの話としてお伝えします。

会社の事情で調査をお断りする必要がある方は、ぜひ参考にしてください。

 

情報開示姿勢や拒否理由が鍵

うちは小さな会社なんだけど、大手のメーカーと取引があってね。守秘義務も厳しくて。特許出願を準備してる技術もあるから、いまは情報公開には慎重に対応してるんだよね。取材に答えられなくて申し訳ないんだけど、事情を理解してもらえると助かるな。

調査員時代、東京の下町で家族経営の町工場に、取材のお願いの電話をした時に社長から言われた言葉です。

調査を断わられてはしまいましたが、とても誠実な対応だったので、今でもよく覚えています。

低評価を防ぐ断り方の1つ目は、この社長のように、情報開示姿勢や拒否理由を伝えることです。

単に拒否するのではなく、取引先との信頼関係や自社の技術を守る必要性など、正当な理由をきちんと説明することが大切です。

なぜなら、ただ「お断りします」と言うだけでは、「情報開示の重要性を理解していない」「取引先の与信審査に協力する気がない」と思われ、経営者としての評価を下げかねないからです。

会社の規模に関係なく、情報管理の必要性と情報開示の方針をしっかり決めて、それを相手に伝えられることも、実は経営者の大切な能力です。

 

情報コントロールで魅せる

低評価を防ぐ断り方の2つ目は、拒否の時こそ、開示情報をコントロールすることです。

例えば、

「申し訳ないのだけど、△△の情報は公開できないです。でも、○○の情報であれば回答できます」

というように、非開示情報と開示情報をはっきり示します。そして、拒否でも可能な限り情報を提供することです。

たとえすべての情報を出せなくても、公開可能な情報を積極的に提供する姿勢があれば、低評価を防ぐことができます。

また、ホームページに掲載している情報や、既に公開している内容について、あらためて伝えることも効果的です。

 

調査員の心をわしづかむ

実は、信用調査を断った後も、調査員が会社を見に来ることがあります。"現地確認"と呼ばれていますね。

登記上の住所に会社が本当にあるのか、実際に営業しているのか。こういったことを確認するための現地確認ですね。

もし、そのタイミングで調査員と会えるなら、ほんの少しでも顔を合わせてください。

「今回は調査をお断りしましたが、会社はしっかり営業していますよ」ということを、挨拶や名刺交換を通じて意識的に伝えるのです。

ひと手間かけて対応することで、「調査は断られたけど、ちゃんとした会社なんだな」と調査員に思ってもらえます。うまくいけば企業評価も変わるでしょう。

低評価を防ぐ断り方の3つ目の「調査員に会って心をつかむ」、これはかなり効果的ですよ。

 

元・調査員のひと言アドバイス

調査員は会社を見るプロです。

経験豊富な調査員なら、「断り方ひとつ」からも経営者としての姿勢や会社の印象を感じ取ります。

とってつけたような断り文句や適当な対応は、すぐに見抜かれます。

ただ「断る」だけだと思わないほうがいいです。調査員との接触すべてが評価につながっていると考えて対応することをおすすめします。

断るときも、丁寧さや配慮を心がけましょう。
佐藤絵梨子

 

調査を受けるあなたへ捧ぐ!高評価を勝ち取る3つの信用力アップ術

高評価を狙うなら必須!信用調査を受けるための準備ステップ|会社信用ドットコム

ここまでお読みいただき、「やはり信用調査は前向きに受けてみよう」と考え始めた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

せっかくならば、単に調査を受けるだけでなく、積極的に高評価を勝ち取りましょう!

そのために何をすべきか、私の調査経験から導き出した「3つの信用力アップ術」をご紹介します。

 

(1)評価者が見るポイントの徹底理解

信用力アップの3つのメソッド|会社信用ドットコム

高評価を勝ち取る信用力アップ術の1つ目は、評価者が見るポイントの徹底理解です。

企業評価は一括りにされがちですが、取引先、金融機関、投資家、国や地方自治体、一般消費者など、相手によって見るポイントが大きく異なります。

この視点の違いを理解して、信用調査や取引先審査では「何が重視されるのか」を知っておくことが大切です。

評価する側の立場に立って、彼らが最も懸念するリスクや期待する価値を理解することで、信用調査でより的確な対応ができるようになりますよ。

 

(2)自社の価値を正しく伝える力の養成

信用力アップの3つのメソッド|会社信用ドットコム

高評価を勝ち取る信用力アップ術の2つ目は、自社の価値を正しく伝える力を身につけることです。

私が思うに、多くの企業は自社の真の価値を正確に把握していません。まずあなたの会社の強みを徹底的に洗い出し、本当の価値を明確にすることから始めましょう。

そして、信用調査や取引先審査が重視する『信用力』のポイントに合わせて、その価値を効果的に伝える戦略を立てましょう。

企業情報は伝え方が命です。相手に価値が確実に理解される言葉や表現で伝えられれば、企業評価は大幅にアップします。

 

(3)評価される確かな実力を磨き続ける

信用力アップの3つのメソッド|会社信用ドットコム

高評価を勝ち取る信用力アップ術の3つ目は、評価される確かな実力を磨き続けることです。

いくら評価ポイントを理解し、自社の価値を上手く伝えられても、実力が伴わなければ高評価を勝ち取ることはできません。

「連続赤字だけど、大手と直接取引したい」

「財務は悪いんですが、代理店経由は嫌です」

という相談を受けることがありますが、そんな状況を改善する魔法のテクニックはありません。状況が悪いのなら、まず改善が必要です。

あなたの会社の現状を客観的に分析し、改善すべき弱点と伸ばすべき強みを見極めましょう。

表面的な取り繕いではなく、根本から企業力を高めることで、相手企業と揺るぎない信頼関係を構築できるようになります。


この3つの方法は、信用調査や取引先の審査突破でご相談に来られる経営者の方々を実際にサポートする際にも使用している方法です。

実践をすれば、信用調査の評価は確実にアップします。

良い取引先を獲得するためにも、ぜひ実践してくださいね。
佐藤絵梨子

詳しくは「会社の信用とは?」のページでも解説していますので、あわせてご覧ください。

 

【結論】信用調査は拒否すべきか?

審査突破のプロから補助金獲得に挑戦するみなさまへ|会社信用ドットコム

ここまで、信用調査を『拒否』することについて、元調査員の経験もあわせてお伝えしてきました。

みなさまの『拒否』の疑問は解消されたでしょうか?

いくら説明されたところで、やっぱり企業と企業が取引する時に「信用調査」があること自体が納得いかないとか、調べられるのは気分が良くないと思っている方もいらっしゃると思います。

ですが、あえて申し上げます。

もし、あなたが"良い会社"と言われる企業と取引がしたいなら、

取引先と末長く良い関係を築きたいなら、

自社を大切にしてくれる企業と取引をしていきたいと思うなら。
 

信用調査は拒否せず、できる限り対応してください。
 

信用調査が入るということは、みなさまの会社に興味を持ち、取引の可能性を感じている企業が存在しているということです。

お金を払ったり、時間を使ってまで信用調査をする企業です。

そこまでするのは、あなたの会社をしっかりと見極めて、取引の可能性を判断したいと真剣に考えているからです。

そして、そんな真剣な企業の興味に応える最初のチャンスが、信用調査であり、そこでの情報開示です。

情報を表に出さない『調査拒否』は、あなたの会社に興味を持ってくれた、取引を真剣に検討してくれた企業に不安や不信感を与えます。

元・調査員だから、調査会社に都合の良いことを言っているわけではありませんよ。

わたしは調査員として多くの企業を訪問し、取引審査をする側の企業とも数多くお話をさせていただきました。

その取引審査者とお話をしていてわかったのは、「情報が少ない」「よくわからない」企業と積極的に取引をしたいと考える企業は本当に少ないということです。

私がまだ駆け出しの調査員だった頃のはなしです。

ある有名大企業の取引審査担当の方が、取引先候補リストの中から取引先を選ぶ場面に同席させていただいたことがあります。

その会社の審査担当者は取引先候補のデータをExcelでまとめていました。

本格的に取引先を選ぶ時に、その方がどうやって取引先を選んだと思いますか?

ソートをかけたんです。情報が少ない企業を次々に容赦なく候補リストから外していったんです。

おそらく、情報が少ないだけで、本当は優良な企業も含まれていたはずです。でも、情報がなければその良さは相手にはわかりません。

その審査担当の方は、そんなこと気にも留めず、バッサリ取引先候補から除外しました。

どれだけ良い企業でも、相手に伝わらなければ、正しく価値を理解してもらえなければ、意味がありません。

「情報を開示しない企業や、相手から見てよくわからない企業は、取引審査でこう排除されてしまうのか…」

わたしが取引審査の厳しさと、情報開示の重要性を痛感した、今でも強烈に覚えている光景です(※すべて実話です)

「安全か」「自社にふさわしいか」そんな視点で取引先を見極める人たちは、情報のある・なし、そしてその開示姿勢を重視して取引の判断をしています。

審査の現場では、「みなさまの会社がどこまで情報を開示するか」「どのように情報を伝えるか」が、そのまま取引判断の材料になっています。

本当は良い会社なのに、情報不足や、うまく情報が伝わらないせいで、その価値が正しく伝わらない。

情報の出し方一つで、同じ会社でも評価が全く違うということが起こります。
 

では、高評価や好印象を勝ち取るにはどうすればいいか。

それは、まず情報を伝えること。

「高評価を勝ち取る3つの信用力アップ術」でもお伝えしたとおり、信用調査や取引先審査で見られるポイントを理解しておくことが大事です。

そして、自社が「高く評価されるポイント」を見極め、相手に理解してもらえる言葉で伝えること。実力を磨くこともお忘れなく!

「うちには強みがない」

「誇れる実績がない」

そう思っている経営者の方はいらっしゃいませんか?

実は、あなたがそう思っている一方で、取引を検討している企業や信用調査員から見れば、「この会社は素晴らしい」と思うポイントが隠れていることも少なくないんです。

何もないのではなく、ただその価値をご自身で理解していない、そして十分に伝えきれていないだけです。

良い取引先と関係を築きたいみなさまがすべきは、自社の価値は何かを真剣に考え、その価値を理解されるように伝えていく努力ではないでしょうか。

信用調査は、あなたの会社の本当の価値を未来の取引先に伝えるチャンスです。

企業評価のプロである調査員の目を通して、あなたの会社の真の価値が広く伝わっていくまたとない機会です。

どうぞ、このような信用調査の価値をよく理解いただいて、調査対応の可否を改めて考えてみてください。

そして、良い取引先を獲得し、素晴らしい関係を築いていってくださいね。

私でお力になれることがあれば、ご相談をお待ちしております。

この記事があなたの会社の信用調査対策と良いお取引獲得のお役に立てれば、元調査員として嬉しく思います。

本日も最後までお読みいただきありがとうございました。

 

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