

みなさまも、取引先から「決算書が欲しい」と言われた経験があると思います。
相手が自社よりも大きい会社だったり、取引をしたい(続けていきたい)会社だから、しぶしぶ渡している。
相手が決算書を欲しがる理由がわからなくて、モヤモヤする。
そんな方もいらっしゃると思います。
数字が良い時ならまだしも、数字が悪いときは「見せるは嫌だな」と思ってしまいますよね。
本日のブログでは、決算書を見せたくない取引先に「欲しい」と言われた時の対処法をお伝えします。
相手が決算書を欲しがる理由や、よくある誤解も解説しました。
「数字が悪いから決算書を見せたくない」
そんな方には、数字の悪さを挽回する渡し方もご紹介しています。
3分ほどで読める記事です。
ぜひ最後までお読みください。
この記事を書いている私のこと
佐藤絵梨子/会社信用クリエイター
世界最大の企業情報を保有する (株)東京商工リサーチに入社後、個人から売上1兆円企業まで10年間で延べ7,000社以上を調査。商業登記簿から会社の信用度を見抜くほどになり、全国1,000人以上の調査員中、営業成績1位獲得の実績を誇る。同社退職後、大手企業との取引実現から銀行融資や補助金獲得まで支援するサービスを展開中。
*国が認定する経営革新等支援機関(認定支援機関ID:107713006411)です
取引先が決算書を欲しがる理由
取引先が決算書を欲しがるのには、理由があります。まずはその理由を知っておきましょう。
新規取引先の安全性チェック
取引先が決算書を欲しがる理由の1つ目は、新規取引先の安全性チェックです。
取引をする前に決算書をチェックして、安全に取引ができる会社か知っておきたいという理由です。
大手企業では、新しい取引先と直接口座を開くときに、必ず相手の決算書をチェックする会社も多いですね。
既存取引先の定期チェック
取引先が決算書を欲しがる理由の2つ目は、既存取引先の定期チェックです。
すでに取引があるので、相手のことはある程度知っている。でも、前と変化がないか、本当に大丈夫か、確認するために決算書が欲しいという理由です。
形式的なもの(要注意!)
取引先が決算書を欲しがる理由の3つ目は、形式的なものです。
(もらってもあまり見ないんだけど)社内ルールだから、という理由ですね。
うまく取引先チェックができていない会社にありがちです。
でも、この理由、あなどれません。
その時は形式的にもらった(その時はたいして見なかった)としても、何かのきっかけで後からチェックすることもありえます。
例えば、
コロナで環境が大きく変わったので、取引先のチェックを厳しくすることにした。そこで、取引先からもらっている資料をあらためてチェックする
そんな場合ですね。
取引先をチェックし直すことは、よくあることです。
もう1つ気をつけたいのが、
営業マンは「形式的なもの(たいして見ていない)」と言っていても、与信管理を担当する審査部や財務部では決算書を重要だと思っていて、実は厳しくチェックしている
このケースもよくありますよ。
営業マンが取引に前向きでも、与信管理を担当する部署が「No!」と言えば、取引がなくなりかねません。

取引先にどの書類を渡せば良い?
「どの書類を渡したら良いですか?」という質問もよく受けますね。
取引先から決算書が欲しいと言われたら、たいていは、
- 貸借対象表
- 損益計算書
の2つでこと足りることが多いです。
ただ、相手がより詳細な書類を求めていることもあります。
決算書が欲しいといわれた時は、“具体的にどの書類が必要か”を確認しましょう。
大手企業ほど決算書を欲しがるワケ
大手企業のように体制が整った会社は、「安心して取引ができる会社かどうか」の確認を怠りません。いわゆる『与信管理』と呼ばれるものです。
取引先について集めた情報をもとに、1年間でその会社と取引できる金額を決めている。
そんな会社もあるくらいです(取引限度額なんて呼ばれています)。
仕入先からの納期が遅れたり、問題が発生すると、お客様に提供する商品がつくれず、大きな損害が出てしまいます。
販売先から代金を回収できなければ、販売に時間とお金をかけたのに、利益が減ってしまいます。銀行や株主からの評価が悪くなれば大変です。
大手企業はお客様や関係者が多いです。注目度も高いです。問題が起きれば、影響が大きく、自社のブランドも大きく傷つきます。
ですので、問題が起きないように、決算書を入手して、取引先を厳しくチェックします。
みなさまも、大手企業と取引をするのであれば、相手の事情を考え、決算書を開示するかどうかを考えてみてください。
得意先だから渡さなくて良いは誤解

こんな不満を感じている社長様、いらっしゃるかもしれませんね。
でも、得意先に決算書を求めるのは普通のことです。
これは、先ほどご紹介した「既存取引先の定期チェック」なんです。
会社の状況は日々変わります。取引先の変化がわかれば、危険な取引はすぐ中止し、良い取引はすぐ大きくもできます。
定期チェックの大切さを知っている会社は、定期的に決算書を欲しがります。
このことをふまえて、決算書を渡すかどうか考えてみてください。
業績が悪いから決算書は渡さない方が良い?


どちらも、よくいただく質問です。
確かに、業績が良くなかったり、前より悪くなっていれば、相手から良い会社だと思ってもらえないかもしれません。取引がなくなる可能性もゼロとは言えないです。
ただ、欲しいと言われたのに決算書を渡さなければ、相手は「渡さないのは状況が良くないからかもしれない」とマイナスの印象を持つでしょう。
とくに、与信管理を担当する審査部や財務部の担当者は、情報が少ないとか、わからないときに、最悪のケースも想定して厳しめに評価することが多いです。
であるならば、決算書を渡しつつ、少しでも数字の悪さを挽回することができないか。そのような方法を試すことも検討してください。

数字の悪さを挽回する渡し方
数字が悪いのであれば、決算書をただ黙って渡してはいけません。
ちょっとしたひと言で印象が良い方向に変わることがあります。渡す時は次のことを試してください。
(1)数字が悪い理由を説明する
決算書を見れば、数字が悪いことはわかります。でも、悪い理由までは、はっきりわかりません。
「数字が悪い理由」をかならず説明しましょう。
例えば、売上が減っているとしましょう。
一時的なものか、これからも続くものなのかで相手の見方は変わります。
数字を見ただけでは、どちらなのかわかりません。一時的なもので、今後は回復するのであれば、伝えるべきです。
決算書が読めない方は「決算書を見れば全部わかる」と思いがちです。でも、実際は、言われなければわからないことばかりです。気をつけてくださいね。
さらに、説明する時は、次の(2)も意識すると良いです。
(2)いま(現在)と未来の説明で挽回する
数字の悪さを挽回するには、いま(現在)と未来の良い話をしましょう。
- いま(現在)は数字を良くするためにこんな対策をしている
- 将来はこんなふうに挽回していく
このような話をして、相手に「対策をしていて、将来は良くなりそうだな」という期待感を持ってもらうのです。
口だけでは信用してもらえません。嘘は信用をなくします。きちんと行動することが大事ですよ。
★こんな説明ができると理想的です
「前期は毎年入ってくる〇〇社からの依頼がなくなって数字が良くなかったです。でも、今期は▲▲社との取引を開拓したので、売上も回復する見込みです」
「前期は商品Aがよく売れたんですが、Aは利益が出にくくて。今期は商品をバージョンアップして、販売価格も見直しました。利益も改善するはずです」
このように、数字の悪さを挽回できるいま(現在)・未来の話をしっかり伝えましょう。
★元・調査員のウラ話★
決算期を過ぎた頃に、信用調査会社から封筒が届いたことはありませんか?
封筒に入っているのは『調査票』と呼ばれる紙。
この調査票に企業概要や業績などを記入して、信用調査会社に送り返したことがある方もいるでしょう。
これは、信用調査会社が企業情報を集める方法の1つです。
さて、この調査票には、自由にコメントを記入できるスペースがあります。
残念ながら、業績数字が記入されているだけで、このスペースには何も書かずに送り返されてきたものもありましたが、
一方で、
- 過去の業績の説明
- これからの業績予想
- 新商品が発売されるお話
- もうすぐ借入を完済するご報告
- 新しい社員が入社するご報告
など、『これから会社は良くなります!』というお話がびっしり書き込まれた調査票もたくさん拝見しました。
たとえ数字が悪かったとしても、このコメントのある・なしで、印象は大きく変わると思いませんか?
みなさまなら、どちらの調査票を記入した会社とお取引をしたいでしょうか?
数字が悪いから、と諦めてしまわないでくださいね。
ぜひ、社長様の頑張りで、良いお取引をつかみ取ってください。
本日のブログはここまでです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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