
業績が落ちていたり、赤字が続いていたりすると、「この数字だと、信用調査で悪く見られてしまうかも…」と不安になりますよね。
でも、なぜかそんな時に限って、東京商工リサーチや帝国データバンクから「調査にお邪魔したい」と連絡がくるもので。
できれば情報は出したくないけど、隠せば逆に評価が下がってしまう気もするし……。
結局どうするのが正解なのか、頭を悩ませている経営者の方もいるのではないでしょうか。
そこで本記事では、業績や数字が悪い会社が、どうすれば信用調査で低評点を防げるか、お伝えします。
この記事を書いている私は、企業信用調査会社(株)東京商工リサーチで個人事業主から売上1兆円企業まで、10年間で延べ7,000社以上を調査した元調査員です。
「数字は悪いけど、低評価は嫌だ」
そんな経営者の方は必読の内容です。
ぜひ最後までお読みください。
信用調査の評価は「数字だけ」で決まらない
信用調査というと、数字の良し悪しだけで評価されると思いがちですが、実は違います。
信用調査会社は数字だけで企業を評価しません。数字以外の評価ポイントも、あわせて評価しています。
むしろ、数字そのものよりも、「なぜその数値になったのか」という数字の背景をよく見ていますね。
「経営者がきちんとその数字になった理由を把握しているか」「きちんと説明できるか」「筋が通っているか」のような経営者の姿勢の方が重視されることもあります。

数字が悪い時は「信用調査を拒否」すべきか?
数字に自信がないからといって、「信用調査を断ったほうがいいのでは」と考える経営者の方がいらっしゃいます。
でも、これは元調査員として、全くおすすめしません。
情報を一切出さないと「もしかしてすごく悪いのでは...?」と思われるからです。
実際はそこまで悪くないのに、情報がないことで実際よりも悪く思われることもあります。
問題はそれだけではありません。
信用調査会社にあなたの会社の調査を依頼しているのは、あなたの会社に興味を持っていたり、取引を検討している企業です。
信用調査会社だけでなく、その依頼企業からも「情報を出さないのは怪しい」「情報を出さないなんて不誠実」と思われるのは、大きなマイナスです。
さらに、次のパートでご紹介する"低評点を防ぐ方法"も、調査に応じない限り試すことができません。
短絡的に調査を拒否してしまうのは、むしろ損になることがあるのです。
調査拒否については、以下の記事で解説しています。詳しく知りたい方はお読みください。
数字が悪くても信用調査で低評点を防ぐ方法
ところで、漠然と信用調査に対応しても、低評価を防ぐことはできません。
数字が悪い場合には、戦略を持って、信用調査に対応することが必要です。その具体的な戦略をご紹介します。
数字の背景や理由を説明する
数字が悪くても信用調査で低評点を防ぐ1つ目の方法は、数字の背景や理由を説明することです。
数字が悪いからといって、それだけで評価が下がるとは限りません。
例えば、「一時的に悪いのか」「これからも悪い状況が続くのか」数字だけではわからないこれらの状況によって、評価は大きく変わります。
ただ数字を伝えるのではなく、背景や理由を説明することで、必要以上に悪い評価になることを防ぐことができますよ。
デキる経営者像を見せる
数字が悪くても信用調査で低評点を防ぐ2つ目の方法は、デキる経営者像を見せることです。
自社の数字や、その数字になった理由を、経営者自身が正しく把握していること。これを調査員にしっかり伝えましょう。
それだけで評価が変わることがあります。
数字が悪くても、「こういう理由でこうなった」と説明できる経営者は、「自社の現状を理解している」「改善に向けて動ける人だ」と見てもらえる可能性があります。
逆に、数字も把握していない、理由も説明できないとなると、「この経営者は状況が見えていない」「立て直す力がなさそう」と悪い印象を持たれることがあります。
数字が悪いときこそ、経営者が冷静に現状をつかみ、説明できることが、低評価を防ぐ鍵になります。
将来計画で挽回する
数字が悪くても信用調査で低評点を防ぐ3つ目の方法は、将来計画で挽回することです。
悪い数字にばかり目を向けず、これからの打開策をしっかり伝えましょう。
大切なのは、「このように改善していく」という具体的な計画があること。そして、それを自分の言葉で、相手に理解してもらえるように説明すること。
たとえ今の数字が悪くても、「これからどう立て直すのか」を伝えられる会社は、「回復の見込みがある」と期待を持って見てもらえることがあります。
過去の成功事例をアピールする
数字が悪くても信用調査で低評点を防ぐ4つ目の方法は、過去の成功事例をアピールすることです。
もし過去に、数字が悪い時期があって、それを挽回した実績があるのなら、それは調査面談時にさりげなく伝えるといいですよ。
前にも立て直した実績があるなら、「今回もやれるかもしれない」という期待を持ってもらえる可能性が高まります。
先ほどお伝えした「デキる経営者像を見せる」と同じ効果も期待できますね。
もちろん、しっかり「どう立て直すのか」具体的な計画を伝えることもお忘れなく。
数字が悪くても信用調査で低評点を防ぐ4つの方法をまとめます。

数字が悪い時は「決算書」を見せる?見せない?
さて、数字が悪いと「決算書は見せたくない!」と思う経営者様。結構いらっしゃるのではないでしょうか?
果たして隠して大丈夫かー。見せなくて平気かー。
元調査員の私は絶対おすすめしません。
決算書がないと、「そもそも話している数字が本当なのか」相手は判断できません。
証拠資料がなければ、相手は不安になります。「実際はもっと悪いのでは」と思われるリスクすらありますね。
「情報公開性が低い会社なんだな」とマイナスの印象を与える可能性も高まります。
これは、前のパート「信用調査拒否はおすすめしません!」でもお伝えしましたね。
数字が悪いから、決算書はできれば見せたくない...その気持ちは本当によくわかります。
でももし、あなたが気になっている会社を調査したとしましょう。その会社が決算書を出してこなかったら、どう思いますか?
それだけで、なんとなく信用できないと感じませんか?
「数字の資料なんて出さずに、なんとかやり過ごしたい」
そんな考えも相手は見透かしているかもしれません。不誠実だなと思われる可能性もあります。
前のパート「数字が悪くても信用調査の低評点を防ぐ方法」でご紹介した4つの方法も、決算書を出さずに行えば、効果は半減します。
元調査員の経験からも、決算書を隠すのは本当におすすめしません。
信用調査の評価に影響するのはもちろん、調査を依頼した会社(※あなたの会社を調べている会社)も、決して良い印象は持たないでしょう。
【実話】数字が悪くても調査会社が「高評価をつけたくなる」会社の秘密
数字が悪い時でも、評価にあまり影響がない会社は、実際に存在します。
このような会社は、数字が悪い時でも、銀行から融資を取れているものです。「応援しますよ」という感じで銀行も味方になっている。
そういう会社には共通点があります。
数字が悪くても、悪いと感じさせないんです。
調査には答えるし、決算書だって当たり前に出す。むしろ数字が悪いことを調査員が突っ込む前に、自ら自己申告して、さらに対策まですらすらっと話す。
将来の計画を伝えるのはもちろん、できる経営者の方だと、「実は効果が出ていて、今期の開始3か月は前期を上回っている」のように進捗まで伝えたりします。
絶対にやる。そして未来は必ず良くなるという姿勢をこれでもかと見せつけます。
社長ご自身の中で、悪い理由やこれからどうするかという道筋が明確で、確実に実行していく固い意志が見えるんです。
相手が不安になる暇がありません。
評価が下がらない会社は、会社が与える印象や、調査会社の評価をコントロールするのがうまいです。つねに対策と戦略を考えている。
たくさんの会社を見ていると、本当にそう思いますね。
「でも、うちの場合はどうしたらいいの...」
「本当に数字が悪いんだけど大丈夫かな...」
そう思われる方もいると思います。
そのような方には、以下のサポートがお力になれるかもしれません。
私の延べ7,000社以上の信用調査経験とノウハウを詰めこんだ実践的な内容です。

実は、数字が悪い時こそ評価アップのチャンス!
長年会社を続けていれば、数字が思わしくない時期がおとずれるものです。
そして、そんな時こそ、あなたの会社の真価が問われます。
どうぞみなさまは、数字が悪い時こそ、企業評価と真剣に向き合ってください。
会社の評価は、数字だけでは決まりません。
誠実に情報を開示できるのか。状況を把握して、最適な改善策を取れるのかー。
姿勢も含めて、数字に表れない部分にも注目が集まります。
ただ漠然と対処するのではなく、戦略を持って対処すること。
これが、評価マイナスを食い止める鍵です。
数字が悪い状況は、これから評価が高まるチャンスでもあります。
悪い状況を乗り越えれば、「乗り切る力がある」企業として、きっと周りの見る目も変わります。
落ち込んだり、諦めるのではなく、ぜひ「挽回できる道」を進み、評価アップにつなげてくださいね。
この記事が少しでもお役に立てれば、元調査員として嬉しく思います。
本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。