
こんな状況になっていませんか?
与信管理のプロとして申し上げます。
もし倒産の予兆にまったく気づけなかったのなら、その与信管理は二流です。
どれだけ管理していたつもりでも、兆候を見逃していては意味がありません。
この記事を書いている私は、企業信用調査会社(株)東京商工リサーチで延べ7,000社以上を調査した元・調査員です。与信管理では全国1,000人の調査員中、営業成績1位獲得の実績があります。
取引先が倒産すると、売掛金が回収できなくなり、仕入や調達にも混乱が生じます。
管理が甘いと判断されれば、銀行や他の取引先、株主からの信用も失いかねません。
そうならないためにも倒産の予兆をしっかりつかみ、与信管理を一流にしましょう。
私の調査員時代の実体験満載で解説します。
ぜひ最後までお読みくださいね。
追伸:記事の中で『与信管理レベルチェックシート』を無料配布しています。
倒産の予兆を見逃す与信管理は二流
最初に、少し厳しいことをお伝えします。
もしあなたが、せっかく与信管理をしているのに、倒産の予兆を見逃してしまっているとしたら——
残念ながら、その与信管理は“二流”です。
もしかすると、すでに機能不全に陥っている可能性さえあります。
もちろん、倒産の予兆をつかむのは簡単ではありません。相手企業もさまざまな手を打って、危機の兆しを隠そうとしてきます。
しかしながら、管理の甘さや努力不足によって予兆を見逃してしまうようでは、言い訳はできませんよね。
与信管理をするからには、倒産の予兆をつかむ可能性を限りなく100%に近づける努力が必要です。
では、そのために必要な「知っておくべきこと」とは何か。

倒産の予兆を見逃すと何が起こるのか
ところで、倒産の予兆を見逃すと何が起こるのか、あらためて確認しておきましょう。意外な“盲点”があるかもしれません。
倒産の予兆を見逃すことで起こる主なデメリットは次の4つです。
倒産の予兆を見逃すことで起こるデメリット
- 売掛金の回収不能
- 仕入れや調達の混乱
- 連鎖的な悪影響
- 自社も『信用』を失う
まず、最もイメージしやすいのは、売掛金が回収できなくなることでしょう。倒産した相手から売掛金を全額回収するのはほぼ不可能。回収できるのは数%〜10%未満とも言われています。
次に、仕入先や外注先が倒産した場合。製品の完成やサービスのリリースが遅れたり、中止になったりと、調達面でも大きな混乱が生じます。
さらに怖いのが連鎖倒産。取引先のトラブルが引き金となって、自社も立ち行かなくなってしまう。そんなケースも少なくありません。
そして、ぜひこのブログを読んでくださっているあなたに知っておいていただきたいのが、「信用」を失うリスクです。
取引先が倒産したとき、
「あの会社は取引先管理が甘い」
「悪影響が出ているのに対策していない」
そう思われてしまうと、たとえあなたの会社に落ち度がなくても、銀行や他の取引先、株主からの評価は大きく下がります。
『信用されなくなること』――これは、経営にとって致命的です。
「うちは関係ない」「大したことない」そんなふうに思っているなら、このパートを熟読して、甘い考えを吹き飛ばしておいてくださいね。
倒産の予兆をつかむのが難しい理由
では、なぜ倒産の予兆を見逃してしまうのか。実際には、そう簡単に気づけない理由があるのです。
まずは、倒産の予兆をつかむのが難しい理由を確認しておきましょう。
主な理由を3つご紹介します。
悲しいくらい判断材料が減る
倒産の予兆をつかむのが難しい理由の1つ目は、悲しいくらい判断材料が減るからです。
倒産の危険が高まってくると、会社の責任者と連絡が取りづらくなったり、これまで公開していた情報が非公開になったりします。
そして、何が起こっているのかわからずに右往左往しているうちに、想定以上に状況が悪化している。このパターンはよくあります。
経営者はフルパワーで隠す生き物
倒産の予兆をつかむのが難しい理由の2つ目は、経営者がフルパワーで隠そうとするからです。
経営者は悪い状況を悟られないように、情報が外部に漏れないよう細心の注意を払います。反対に、「問題ない」とむしろ強気な態度を装ったりすることもありますね。
真実を見極めることが難しくなります。
全力対抗の回復を信じがち
倒産の予兆をつかむのが難しい理由の3つ目は、全力の対策で回復したように見えるだからです。
倒産の危険性が高まれば、当然経営者は打開策を講じます。そうすると、一時的に売上が上がったり、資金繰りが回復したように見えることがあります。
ところが実際には、すでに手遅れだったり、無理な対策が長続きせず状況改善には至っていないケースも多いです。
この一時的な好転で勘違いしてしまうと、真の倒産の予兆を見逃してしまうのですね。
倒産の予兆を見逃す与信管理の“特徴的な弱点”
さて、みなさまは「うちは大丈夫」と思っていませんか?
実は、倒産の予兆を見逃してしまう会社には、与信管理の体制そのものに弱点があるケースが少なくありません。
「気づかなかった」では済まされないからこそ、今の仕組みを冷静に見直す視点が必要です。
このパートでは、予兆を見逃しやすい会社に共通する与信管理の弱点を、7つの視点から整理しました。
自社の管理体制に当てはまる点がないか、チェックしてみてください。
そもそも管理ルールがあいまい
倒産の予兆を見逃す与信管理の特徴の1つ目は、そもそも管理ルールがあいまいなことです。
与信管理の担当者が明確に決まっていない、どの取引先をどの頻度で調べるか、どうやって情報を収集するか、いつどの情報を誰がどうチェックするか――。
こうした与信管理のルールや審査基準が、はっきり決まっていないのですね。
明確なルールがなければ、実行や判断のブレが生じやすく、予兆を見逃すリスクが高まります。
変化察知の仕組みがない
倒産の予兆を見逃す与信管理の特徴の2つ目は、変化察知の仕組みがないことです。
倒産の予兆に気づくには、「あれ、ちょっと前とは変わってきたな」という小さな変化に、どれだけ敏感になれるかがポイントです。
そのためには、定期的な情報収集と、集めた情報の変化に気づくための仕組みが必要不可欠です。
どちらか一方でも欠けていると、兆候を見逃しやすくなってしまいます。
与信判断が低レベル
倒産の予兆を見逃す与信管理の特徴の3つ目は、審査に大きな問題があることです。
情報は収集したものの、どう判断すれば良いかわからないケースや、担当者の経験・知識が不足していることも多いですね。
判断力を高めるための社内教育が不十分なケースも見られます。
高レベルな与信判断ができなければ、いくら情報を集めても倒産の予兆は見えてきません。
専門家見解の活用不足
倒産の予兆を見逃す与信管理の特徴の4つ目は、専門家の見解を活用していないことです。
倒産の予兆を見逃さないような高度な与信管理を、自社だけで完璧に行うのは、実際にはとても難しいものです。とくに、財務の変化の読み解き、信用情報の精査などは専門的な視点が必要になります。
私の前職でもある(株)東京商工リサーチや(株)帝国データバンクといった信用調査会社をはじめ、外部の専門家や客観的なデータをうまく活用することが、予兆を見逃さないための大きな助けになります。
こうした専門家の視点を取り入れていないと、見落としが生まれやすくなってしまいます。
問題とは?と対処法が決まってない
倒産の予兆を見逃す与信管理の特徴の5つ目は、問題の定義と対処法が決まっていないことです。
どんな状況を「倒産の予兆」と捉えるか――。つまりどのような兆候が現れたら注意すべきかという判断基準が社内で定まっていなければ、そもそも倒産の予兆そのものを正しく理解できていない可能性があります。
さらに、問題の芽に気づいたとしても、「そのときどう動くか」という対応方針が決まっていなければ、せっかくの予兆を取引判断に活かせません。
もし、「どんな状況が倒産の予兆なのか、いまいちピンとこない…」という方は、次のパート『元調査員が教える!よくある倒産の予兆』を参考にしてください。
やること自体が目的になりがち
倒産の予兆を見逃す与信管理の特徴の6つ目は、管理すること自体が目的になっているケースです。
本来の目的は「倒産の予兆をつかむこと」なのに、情報を集めることやチェック項目をこなすこと自体が目的になってしまい、肝心の“気づく力”が弱くなっているケースです。
情報を集めて、チェックをして満足していても、危険な変化には気づけません。
形式だけの管理になっていないか、一度立ち止まって見直す必要があります。
優しさに満ちあふれた審査
倒産の予兆を見逃す与信管理の特徴の7つ目は、どうしても優しく審査してしまうことです。
長年の付き合いがある取引先や、思い入れの強い会社には、つい審査基準を緩めてしまいがちです。
「この会社とは長く取引があるから、ちょっと悪くなったくらいじゃ手を引けないよ」「少しくらいの問題なら目をつぶっても」――こうした優しさが、冷静な判断を妨げてしまいます。
実は、私がご相談を受ける中でも、「ずっと付き合ってきた会社だからこそ切りづらい」と悩む経営者の方は本当に多いです。でも、そこで私がよくお伝えしているのは、「情をかけるなら、まず自社を守ってからにしましょう」ということ。
“優しさ”が“甘さ”になってしまうと、結局は自社の社員や他の取引先にしわ寄せがいってしまいますからね。
元調査員が教える!よくある倒産の予兆
どんなに真面目に管理していても、「危ないサイン」が何かを知らないと、予兆が出ていてもスルーしてしまいます。
そこでこのパートでは、私が信用調査の現場で実際に見てきた“マズい予兆”の中でも、とくに注意しておきたいパターンを厳選しました。
これらを知っておくことで、危機を未然に察知する力がぐっと高まります。
それでは、ひとつひとつ具体的に見ていきましょう。
財務が不安定な状況
よくある倒産の予兆の1つ目は、財務が不安定になってくることです。
たとえば資金繰りの悪化や連続赤字、借入金の急増などの兆候が現れますね。今まではほぼ横ばいだった数値が急に増減したり、これまでと違った動きを見せたり、見比べると変化が起きてくることが多いです。
推移を慎重に見ていくこと、そして理由を確かめること。その理由が実態に即しており、納得できるものかを確認する目が必要になってきます。
取引先や銀行が離れがち
よくある倒産の予兆の2つ目は、取引先や銀行が距離を置くようになることです。
長年取引のあった会社からの発注が減っていたり、銀行の融資担当者が訪問する頻度が減ったりといった現象が見られます。
取引先が代金の早期支払いを求めるようになった場合など、良好な関係とは相反する兆しを感じたら注意が必要です。
セールやキャンペーンの乱発
よくある倒産の予兆の3つ目は、セールやキャンペーンを頻繁に行うことです。
売上を上げることや資金調達を目的として、大幅値引きや頻繁なセールが行われるケースはよく見られます。
とくに、これまでにない条件での販売は、資金繰りの悪化を示す緊急策の可能性があるので要注意です。
ある日を境に極端なキャンペーンを連発し、売上は一時的に伸びても、その後まもなく倒産。私もそんな会社をよく目にしました。
短期的にキャッシュを集めようとする動きが見られたら、少し深く状況を見た方がよいですね。
社内の士気や活気がダダ下がり
よくある倒産の予兆の4つ目は、社内の士気低下や活気のなさが目立ち始めることです。
以前は活気があり、電話対応もにぎやかだった会社が、急に静かになった――そんな変化が見られたら要注意です。
経営者は悪化した経営状況を隠そうとしますが、従業員の態度や雰囲気にはどうしても出てしまうものです。
私も調査員時代、以前は電話がよく鳴っていた会社が、ある時期からシンと静まり返り、その後に倒産したケースをよく見ています。
こうした兆候は、定期的に担当者と話したり、社屋を訪問したりしないと気づきにくいです。日頃からの観察が大切です。
重要人物がこっそり退職
よくある倒産の予兆の5つ目は、重要人物が退職することです。
とくに、会社の屋台骨を支えてきた幹部や、数字をよく知る経理責任者などは、内部事情を知る者として危機を察知して辞める可能性が高いので要注意です。
私の経験則では、重要人物たちは“こっそり”辞めます。経営者も辞めたことを大々的には言いません。
それゆえ、つかみにくい情報ではありますが、ぜひともつかんでおきたい。そんな倒産の予兆です。
妙な噂が発生しがち
よくある倒産の予兆の6つ目は、妙な噂が発生し始めることです。
「どうも危ないらしい」「取引先が引いてるらしい」
こうした噂は、単なる風評ではなく、すでに現場で起きている問題が外に漏れている可能性があります。
怪文書が出回るケースも見たことがあります。真偽を慎重に確かめつつも、警戒が必要です。
ちなみに、信用調査会社にはこうした情報や問い合わせが集まりやすいです。心配なら調査を依頼して確かめるのもひとつの手です。
支払いや給与が遅れはじめる
よくある倒産の予兆の7つ目は、取引先への支払いや従業員給与が遅れはじめることです。
資金繰りの苦しさが感じられる状況です。これはかなり危険な状態です。
中には、主要な取引先には期日通り支払ったり、小口の支払いにだけは応じているようなケースもあります。一部だけでなく全体的に遅れがないかを確認したいところです。
給与が遅れ、従業員が騒ぎ始めるような状況が発生している場合は、いよいよ危険信号です。
どうにも連絡が取れない!
よくある倒産の予兆の8つ目は、とにかく連絡が取れなくなることです。
経営者や責任者が電話に出なくなったり、メールの返信が極端に遅くなったりします。対応を避けるために、電話口や訪問時に「外出中」「会議中」と言われ続けることも多くなります。
調査員時代、これまではすぐに折り返しの連絡をくれていた企業が、危険性が高まってからは何度お願いしても連絡をくれなくなり、そのまま倒産したケースを本当にたくさん見てきました。
普段から連絡を取り合っていないと、連絡が取りにくくなったのか、それとももともとそうなのか判断がつきません。日ごろの関係性が、予兆をつかむ上でも非常に大切だと思います。
経営者の雲隠れ現象
よくある倒産の予兆の9つ目は、経営者が雲隠れしてしまうことです。
よくテレビのニュースなどで、経営危機が噂される会社の内情として、従業員が「給与が遅れてる!社長や経営陣からも何も連絡がない!」と叫んで現場が大混乱している――。そんな映像を見たことはありませんか?あの状態です。
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ここまでくると、倒産が現実味を帯びてきます。従業員すら社長の行方がわからないような状況では、倒産は目前でしょう。
もちろん、ここに至る前には必ず何らかの予兆があります。
与信管理ではこの最終段階に至る前に、わずかな異変をキャッチし、予兆をつかまなければなりません。
倒産の予兆がよくわかりました!確実につかみたいです!
次のパートを読んでみてくださいね。
倒産の予兆を見逃さない与信管理に!二流脱出の第一歩
ここまで、倒産の予兆をつかむのが難しい理由、予兆を見逃す与信管理の特徴、そしてよくある倒産の予兆をお伝えしました。
では、このような倒産の予兆を見逃さないためにはどうすればいいか。
それは、つね日頃から『与信管理』を行うことです。
それも、”確実に”予兆をつかみたいなら、与信管理レベルは一流でなければなりません。
そんなときに役立つ特別なチェックシートをご用意しました。『あなたの会社は完璧?与信管理レベルチェックシート』です。
チェックの数で現在の与信管理レベルがわかり、今後取るべき対策を見つけることができます。
私の与信管理セミナーや個別コンサルティングで使用している"実戦仕様"の一品。
10年間で延べ7,000社以上の調査経験と、与信管理実務のノウハウをつめ込みました。
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最後にプロから大切なメッセージ
倒産の予兆を確実につかむのは、簡単なことではありません。
ですが、日々の積み重ねと小さな変化への気づきによって、予兆をつかむ精度を高めることができます。
安定した経営や持続的な事業成長のためには、取引先の倒産による悪影響を極力減らしておくことが重要です。
その第一歩として、このチェックシートがお役に立てれば幸いです。
ご紹介した倒産の予兆は、私が10年間の調査員経験を通してよく目にしてきたものです。
日ごろから取引先をよく観察していないと、見逃してしまいがちな兆候も多くあります。少しずつでも対策を進めていきましょう。
そして、みなさまの会社が安心・安全な取引基盤を築き、ますます成長していかれることを心から願っています。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。
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