このような疑問にお答えします。
企業の信用評価というと、多くの経営者の方々は財務状況だけで決まると考えがちです。
しかし実は、経営者の言動が想像以上に大きく影響していることをご存じですか?
この記事を書いている私は、信用調査会社(株)東京商工リサーチに10年以上勤務し、7,000社以上を調査した元・調査員です。
多くの企業を調査してきた中で、“経営者の評価”が会社全体の評価に大きな影響を与える場面を何度も目にしてきました。
本記事では、企業評価の裏側、とくに経営者の言動が会社の評価にどう影響するのか、そしてその評価を上げるための具体的なステップについてお伝えします。
明日からの経営に役立つヒントが盛りだくさんです。
ぜひ最後までお読みください。
意外と知らない!?経営者の言動が企業評価を左右する真実
「うちの会社の評価って、決算書の数字だけで決まるんでしょ?」
多くの経営者の方がそう考えがちですが、実はそれだけではありません。
財務諸表以外にも企業評価に大きな影響を与える要素があるんです。
その中でもとくに重要なのが、経営者の言動です。
企業評価の世界では、「経営者の言動が会社の将来を左右する」という見方をします。
経営者が会社の方針を決め、実行し、将来のビジョンを描いていくのですから、経営者自身をしっかりと見極めることが重要。そう考えているのですね。
経営者の適切な一言で評価が大きく上がることもあれば、不用意な発言で信頼を失うこともありますよ。
経営者の言動は、その会社の文化や価値観、さらには将来性までも映し出すものと考えられています。
つまり、経営者のみなさまの言動は、数字では表せない重要な評価指標なのです。
企業の信頼をなくす経営者の5つの特徴
企業の信頼をなくす経営者には特徴があります。
ここでは、よく見られる5つの特徴をご紹介します。
「私のせいじゃない」責任転嫁が口グセ
企業の信頼をなくす経営者の1つ目の特徴は、責任転嫁が口グセになっていることです。
「景気が悪いから…」「あの部署のせいで…」など、常に他人や環境のせいにする傾向があります。
このような言動は、リーダーとしての自覚不足と受け取られかねません。
困難な状況では、まず自分の役割や責任を冷静に見つめ直すことが大切です。
審査や評価の場ではとくに、このような口グセに注意しましょう。
「昔はよかった」過去の成功体験命
企業の信頼をなくす経営者の2つ目の特徴は、過去の成功体験にとらわれすぎることです。
「昔は良かった」「あの時はうまくいったのに」という言葉が多く聞かれます。
こういった発言は、時代の変化に対応できていないと判断される可能性があります。
過去の経験は貴重ですが、現在と未来に目を向けた姿勢も大切です。
新しい挑戦や変革への意欲を示すことで、会社の将来性をアピールできるでしょう。
「数字なんて…」劇的に数字に弱い
企業の信頼をなくす経営者の3つ目の特徴は、数字に対する苦手意識を表に出してしまうことです。
「数字はよくわからない」「細かいことは経理に任せている」といった発言が見られます。
こういった態度は、財務管理能力の不足を印象づけてしまう可能性があります。
数字が得意でなくても、基本的な財務状況を把握し、説明できる力を身につけることが重要です。
専門家のサポートを受けながらでも構いません。少しずつ理解を深めていく姿勢が高評価につながります。
「あの人がね…」批判が止まらない
企業の信頼をなくす経営者の4つ目の特徴は、従業員や取引先に対する批判的な発言が多いことです。
他者の悪口を言うことは、経営者としての品格をなくす可能性があります。
批判的な発言は控え、前向きな意見や改善策を伝えることが大切です。
なにか問題がある場合も、個人を非難するのではなく、状況の改善に焦点を当てた対応を心がけましょう。
「ちょっと遅れて…」約束と期限にルーズ
企業の信頼をなくす経営者の5つ目の特徴は、約束や期限に対してルーズな態度を取ることです。
「ちょっと遅れて…」という言葉が頻繁に聞かれます。
約束を守り、期限を厳守することは、信頼関係構築の基本です。これをおろそかにすると、時間厳守を重視する取引先や金融機関に不安を与えかねません。
もし遅れそうな場合は、早めの連絡と誠実な対応を心がけましょう。こうした姿勢が、長期的な信頼関係につながります。
まさかの信用ゼロ!? 誠実さが裏目に出るケース
実は、誠実すぎることが裏目に出てしまうケースもあります。
例えば、過度な謙遜は能力不足と誤解される可能性があります。必要以上の情報開示も、機密管理の甘さを印象づけてしまうことがありますね。
「誠実さ」を示そうとしすぎるのも要注意です。
例えば、ちょっとしたことにも必要以上に時間をかけたり、細かすぎる報告をしたりすると、かえって「仕事が遅いのでは?」と思われかねません。
適度な誠実さは信頼を生みますが、やりすぎると「融通が利かない」印象を与える可能性があります。
バランスの取れた対応を心がけましょう。
信頼されるトップの条件!企業評価を上げる3つの"経営者力"
ここでは、信頼されるトップになるための3つの重要な要素をご紹介します。
企業評価を高める"経営者力"は、日々の行動と姿勢から育まれます。意識して実践することで、企業評価は確実に向上するはずです。
ぶれない経営方針を示す
信頼される経営者力の1つ目は、ぶれない経営方針を示す能力です。
ぶれない方針からは、企業の安定性と信頼性が伝わります。
例えば、「品質第一」を掲げるなら、どんな状況でもその姿勢を貫くことです。
一貫性は、取引先や従業員に安心感を与え、長期的な信頼関係にもつながります。
自社の核となる価値観や方針をはっきり伝え、それを常に実践する姿勢を心がけましょう。
正直で明確な情報公開
信頼される経営者力の2つ目は、正直で明確な情報開示をする能力です。
情報をしっかり共有する姿勢からは、企業の誠実さが伝わります。
決算情報だけでなく、経営課題やその対策についても、適切に共有することが大切です。
ただし、情報を出せば良いというわけではありません。何を、いつ、どのように伝えるか、その判断も重要な経営スキルの1つになります。
企業関係者と良い関係を築く
信頼される経営者力の3つ目は、企業に関わるすべての人々と良好な関係を築く能力です。
取引先、金融機関、従業員、地域社会など、企業を支えるさまざまな立場の人々との関係づくりに努めることが重要です。
例えば、取引先との定期的に情報交換をしたり、金融機関にすばやく正確な経営情報を開示したりすることで、信頼関係を深められます。
長期的な視点で取引の方針を伝えることで、関係強化にもつながります。
さまざまな立場の人の意見を聞いて、お互いに利益のある関係を築いていきましょう。
経営者が実践!企業の信用力を爆上げする7つの即効性アップ戦略
長年の信用調査経験から見えてきた、企業の信用力アップの秘訣をお教えします。
どれも即効性がある方法です。ぜひ明日から実践してみてくださいね。
数字と言葉で語る自社の真の姿
信用力アップ戦略の1つ目は、決算書を通じて自社の実態を正確に伝えることです。
売上高や利益率といった数値情報はもちろん、その数値になった理由や今後の戦略など、数字では表せない定性的な情報もあわせて説明することが重要です。
例えば、「売上高が前年比10%増加した理由は、新規顧客層の開拓に成功したからです。具体的には…」
のように、数字とストーリーを組み合わせて語ることで、取引先や金融機関からの信頼度がより一層高まります。
適切な情報開示で築く信頼関係
信用力アップ戦略の2つ目は、適切な情報開示を通じて信頼関係を築くことです。
まず、何を開示するか、どこまで開示するかを慎重に見極めましょう。
取引審査を行う企業や、信用調査会社は情報を出さない会社を「情報公開性が低い」と判断するので、評価が下がる可能性があります。
一方で、機密情報の管理にも注意してください。
開示する情報は、経営者自身が詳細に説明できることが鍵です。
例えば、将来の事業計画を示す際は、なぜその計画を立てたのか、その根拠や背景も併せて説明できるようにしましょう。
適切な情報管理と開示のバランスを取ることが、長期的な信頼関係構築につながります。
社会貢献で示すリーダーシップ
信用力アップ戦略の3つ目は、社会貢献活動で経営者が先頭に立つことです。
地域清掃活動やチャリティイベントにも積極的に参加しましょう。企業の社会的責任(CSR)への取り組みを具体的に示すことができます。
企業イメージの向上だけでなく、従業員のモチベーション向上にもつながりますね。
従業員満足度向上の信用波及
信用力アップ戦略の4つ目は、経営者自身が従業員満足度向上の陣頭指揮を取ることです。
定期的な面談や働き方改革の推進など、率先して取り組む姿勢を見せましょう。
社内の雰囲気が良くなると、それは自然に外部からの評価にも影響を与えます。
「あの会社はよさそう」という印象を与えられるのですね。
幸せな従業員が、最高の広告塔になってくれます。
業界内での存在感を高める
信用力アップ戦略の5つ目は、業界内での存在感を高めることです。
業界団体での活動や、専門誌への寄稿など、自社や業界に関する深い知見を積極的に発信しましょう。
ただし、他社批判や過度な自社宣伝は避けてください。業界全体の発展に貢献する姿を見せることが大切です。
業界を牽引する存在として認められることで、企業の信頼性も高まります。
取引先との絆を深める
信用力アップ戦略の6つ目は、取引先との関係を強化することです。
定期的な訪問や情報交換など、経営者が積極的にコミュニケーションを取りましょう。
相手の要望を深く理解して、それに応える提案ができれば、単なる取引先以上の「パートナー」として認めてもらえます。
長期的な信頼関係の構築が、安定した事業基盤の構築につながります。
経営者の言葉で伝える会社の現在と未来
信用力アップ戦略の7つ目は、経営者自身が会社の現状と未来を語る力を磨くことです。
日々の取引先との商談や、金融機関への状況報告、信用調査会社の取材対応など、普段のビジネスの中で自社の強みや課題、そして将来のビジョンを伝えましょう。
そして、伝える能力をどんどん磨いていきましょう。
時間があれば、業界セミナーでの講演やメディア出演なども良い機会となります。
ただし、過度な自己宣伝は逆効果です。謙虚さを忘れず、会社の強みと課題を誠実に語ることが、真の信頼につながります。
【実体験】経営者の姿勢が会社の評価を決める瞬間
信用調査会社時代の忘れられない経験をお話しします。
ある日、私は中堅企業の調査を任されました。
社長との面談の日。オフィスに到着すると、立派な建物に圧倒されました。「いい会社だろうな」と思いながら、社長が待つ応接室へ向かいます。
最初にいただいた財務内容、パンフレット、ホームページ - どれを見ても悪いところはなく、「これは順調な会社だな」と確信を深めました。
ところが、社長との対話が始まった途端、その印象は崩れ去ったのです。
数字の説明はおぼつかず、将来のビジョンを尋ねても明確な答えが返ってきません。
時折、「この業界は先が見えない」といったマイナスな発言まで飛び出します。
さらに驚いたのは、情報開示に対する消極的な態度でした。
「それは公開したくないんだよね」と、基本的な情報さえ教えてもらえないこともありました。そして、その情報を公開しない理由も曖昧なのです。
結果、私は当初の予想を大きく下回る評価をせざるを得ませんでした。
この会社と取引を検討する企業や金融機関も、きっと同じように社長を低く評価するだろうと確信もしました。
良いところはたくさんあるのに、経営者の姿勢が会社の評価を大きく左右することを、身をもって経験したのです。
このブログをお読みいただいている経営者のみなさまは、あなた自身が会社の顔であり、評価の要となることを忘れないでください。
自社をしっかり理解し、自信を持って語れることが、真の企業価値を高める鍵なのです。
企業の評価は、財務指標だけで決まるものではありません。
繰り返しになりますが、経営者のみなさまの言動や姿勢が、想像以上に大きな影響を与えています。
本記事を読んで、「あ、これ私かも」と思った方。
その気づきこそが、変化の第一歩です。
今日からでも、できることから始めてみてください。
「うちは何から始めたらいい?」
「企業評価アップのために戦略を立てたい」
そのような方はご相談ください。お力になります。
みなさまが高評価を勝ち取り、事業をますます発展させていかれることを心より願っています。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。