そう思っている経営者の方、果たして本当にそうでしょうか?
実は、売上横這いには隠れた強みがあります。
横這いの魅力で高評価を勝ち取り、金融機関や取引先から選ばれている会社もあるんですよ。
この記事を書いている私は、企業信用調査会社(株)東京商工リサーチで延べ7,000社以上を調査した元・調査員です。現在はその知見を活かし、企業評価アップや融資・補助金・大手取引の審査突破を支援しています。
本記事では、売上横這いを武器に、取引先や金融機関から選ばれる会社になる方法をお伝えしています。
売上横這いは、これからの時代を生き抜く大きな武器になる可能性を秘めています。
売上横這いを強みに変える具体的な戦略、ぜひ最後までお読みください。
売上横這いは会社の強み
「売上が伸びていない」と聞くと、多くの経営者の方は不安を感じると思います。
でも、実はこの売上横這いこそ、会社の大きな強みになる可能性があるのです。
なぜなら、売上横這いの会社には「安定性」という強みがあるからですね。
社会環境が急速に変化し、新しい競合企業が次々と現れる中で、売上を維持し続けられているということは、みなさまの並々ならぬ努力の結果です。
この安定性は、取引先や金融機関からしてみれば、とても魅力的なんです。
安定している会社は長期的な取引や融資のリスクが低いと判断されるからです。
さらに、売上横這いには、もう一つ重要な意味があります。
それは、みなさまの会社の製品やサービスが市場でずっと必要とされている証拠だということ。
一時的な人気や流行に左右されず、長期にわたってお客様のニーズに応えられているということは、みなさまの会社が本当に実力のある会社だということです。
このような安定性を適切にアピールすることで、取引先や金融機関から選ばれる会社になることができます。
横這い企業の隠れた魅力
売上横這いの会社には、多くの隠れた魅力があります。ここでは、その魅力をいくつかご紹介します。
ずっと愛される製品・サービス
隠れた魅力の1つ目は、製品やサービスがずっと愛されていることです。
会社の製品やサービスが、一時的な流行ではなく、長く必要とされているということですね。
景気の影響を受けにくく、持続可能なビジネスとして高く評価されます。
さらに、長期安定型の事業は将来の売上予測がしやすいので、取引先や金融機関からも事業リスクが低いと見てもらえます。
安定した顧客基盤
隠れた魅力の2つ目は、安定した顧客基盤です。
売上を維持できているということは、長年にわたって継続的に利用してくださるお客様がいるということです。
これは本当に素晴らしいことです!
なぜかというと、競合他社が増え続ける中で、お客様は皆様の会社を選び続けてくれているということだからです。
つまり、お客様に深く満足していただき、強い信頼関係を築けている証です。
高い技術力や専門性
隠れた魅力の3つ目は、高い技術力や専門性です。
とくに製造業やサービス業では、技術の進歩や市場の変化が激しい中で、売上を維持し続けることは簡単ではありません。
それでも一定の売上を保っているということは、他社には真似できない確かな実力があるということ。
だからこそ、取引先から長く信頼され、選び続けてもらえるのですね。
効率的な経営力
隠れた魅力の4つ目は、効率的な経営力です。
売上が横這いでも利益を出し続けている会社は、コストを適切に管理できている会社です。
原材料費の高騰や人件費の上昇など、様々なコストアップ要因がある中で、しっかりと利益を確保できているのは、経営手腕が優れている証です。
この「安定した売上」と「確かな利益」は、経営の安定性を示す最高の指標として、金融機関や取引先から高く評価されますよ。
市場変化への適応力
隠れた魅力の5つ目は、市場変化への適応力です。
長期間売上を維持できているということは、市場の変化に適応する能力が高いということ。
経済環境や消費者ニーズが目まぐるしく変化する中で、一定の売上を保てているのは、その変化を的確に読み取り、柔軟に対応できているからです。
この適応力は、今後の環境変化にも対応できる会社として、高い評価につながりますよ。
このような魅力を理解して、適切にアピールすることで、売上横這いを強みに変えることができます。
(場面別)安定性のアピール戦略
ここからは、売上横這いの安定性を効果的にアピールする方法についてお話しします。
実は、相手によって響く「安定性」の価値が異なるのです。シチュエーション別のアピール方法を解説します。
事業計画書の作成では・・・
事業計画書を作成するときは、安定した売上実績を必ず強調しましょう。
「これまで安定している会社だから、これからも安定的に事業を進められるはず」
金融機関や取引先は、このように考えます。
とくに新しい取り組みをするときは、安定実績があることで「無理のない計画を立てられる会社」として評価され、計画に対する信頼度が大きく高まります。
「過去の安定」という実績は、「将来の成功」を約束する強力な武器になるのですね。
金融機関との面談では・・・
金融機関との面談では、安定した売上は最強の武器になります。
安定した売上があるということは、毎月の利益も安定的に確保でき、計画通りに返済資金を準備できるという証明になるからです。
この「返済原資を安定的に生み出せる力」は、金融機関が最も重視するポイントの1つです。
実際、私の経験でも、安定性を上手くアピールできた会社は、より有利な条件で融資を受けているケースが多くあります。
新規取引先との商談では・・・
新規取引先との商談では、「長く安定して取引できる会社」という点を強調しましょう。
景気の波に左右されず、事業継続や倒産の不安が少なく、安定した取引ができる会社だと分かれば、取引先も安心して発注してくれるでしょう。
とくに、製品の品質や納期を重視する取引先にとっては、急成長企業よりも安定企業の方が魅力的です。
長年の実績は品質管理体制や生産能力の安定性を示す証明になりますから、取引上のトラブルやリスクが低いと判断してもらえるのですね。
株主に対しては・・・
株主の方々に対しては、安定した配当が可能であることを説明しましょう。
投資家にとって、配当の安定性はとても魅力的です。
急成長を好む投資家もいますが、安定した投資リターンを重視する投資家も多いですからね。
彼らにとって売上が安定している会社は、予測可能な配当政策を立てやすく、株主の期待にも応えてくれるという強みがあります。
「安定」という強みを相手のニーズに合わせて使い分けて、大きな武器にしてください!
成長と安定どちらも両立戦略
売上横這いを活かしながら成長も目指す。
実は、この「安定」という強みは、新たな「成長」への大きな武器にもなるんです。
そのためにまずやるべきは、現在の事業をさらに効率化することです。
安定した売上を維持しながら、コスト削減で利益率を向上させれば、最強の組み合わせが完成します。
金融機関からの評価は格段に上がり、より有利な条件での資金調達も可能になるでしょう。
次に、新規事業へのチャレンジです。
安定した事業という強みがあるからこそ、余裕を持った投資計画が立てられます。
既存事業の安定収益があれば、たとえ新規事業の立ち上げに時間がかかっても耐えられますよね。
金融機関からも理想的な成長モデルとして高く評価されます。
このような戦略を組み合わせることで、安定性という強みを活かしながら、着実な成長を実現できます。
急激な変化を避け、会社の信用力を保ちながら、段階的に挑戦していくことも大切ですね。
専門家が語る金融機関や取引先から信頼されるコツ
ここでは私が長年の調査員経験から学んだ、金融機関や取引先から信頼されるコツを3つお伝えします。
信頼を引き寄せる情報開示
専門家が語る信頼されるコツの1つ目は、透明性の高い情報開示です。
「隠し事をしない」ことが重要ということ。相手の疑いや不信感をこちらから拭い去ってください!
決算書や事業計画書を積極的に公開して、売上が横這いな理由も丁寧に説明しましょう。
今後の展望も具体的に話すことで、より信頼を得やすくなりますよ。
堅実経営を魅力的にアピール
専門家が語る信頼されるコツの2つ目は、堅実な経営姿勢のアピールです。
コスト管理や品質管理の取り組み、リスク管理体制、従業員教育など、長期的に事業を継続できる会社だと伝えることが大切です。
このような情報は、みなさまの会社が安定的で信頼できるパートナーであることを証明する情報です。
ぜひ自分からしっかりアピールしてください。
業界と自社をズバリ比較!
専門家が語る信頼されるコツの3つ目は、業界動向との比較です。
同業他社と比べて、みなさまの会社がどのような特徴や強みを持っているのか、わかりやすく伝えましょう。
「業界全体が厳しい中でも売上を維持できている」と強調するのも効果的ですね。
このような比較分析は、金融機関や取引先にみなさまの会社の市場での位置づけを理解してもらい、その価値を正当に評価してもらうために重要な情報になります。
このようなコツを押さえれば、金融機関や取引先からより信頼される会社になれるはずです。
【実話】売上横這いでも高評価!経営努力が認められた老舗企業のはなし
最後に、私が調査員時代に出会った、ある老舗企業の話をご紹介します。
創業50年以上のこの会社は、毎年の取材で「売上は横這いです」と回答されていました。
社長は「うちは成長性がないから…」とおっしゃっていましたが、実態は全く違いましたね。
決算書を拝見すると、確かに売上は安定、見事に横這いです。
でも、その中身がとても興味深いんです。
長年の取引先との関係を維持しつつ、新規顧客も着実に開拓していたのです。
経営者の方ならご存じの通り、長年経営をしていると取引先が減っていくのはよくあることです。
でも、この会社は、
減少分を新規取引で補いながら、全体の売上を横這いに保っていたのです。ずっと。
この経営努力が高く評価され、信用調査の企業評価点数は高水準でした。
多くの企業が取引先を失っていく中、既存取引を維持しつつ新規開拓もできるなんて、並大抵のことではないですからね!
この会社は、金融機関からも安定して融資を受けていました。
この社長のお話から私がお伝えしたいのは、売上横這いでも経営努力次第で高評価を勝ち取れるということ。
そして、その成功の鍵は「情報の出し方」にあります。
数字だけを見せるのではなく、その背景にある経営努力や工夫を具体的に説明する。
取引先が減少する中での新規開拓努力や、安定した品質を保つための取り組みなど、会社の強みを適切に伝える。
このように戦略的に情報を伝えることができれば、企業評価は大きく変わってきます。
ちなみに、この社長、「うちは成長性がないから…」なんておっしゃりながらも、横這い理由や新たな販路開拓計画の説明は、それはもう力強いものでした。圧巻でしたね。
みなさまも、本日ご紹介した方法を参考に、ぜひ会社の隠れた強みを見直してみてください。
そして、その強みを効果的に伝えてください。
「どの情報をどう伝えれば良いのか」
「自社の強みをどう表現すれば良いか」
もしお困りでしたらご相談ください。貴社に最適な方法を考えます。
みなさまが横這いという武器を最大限に活かし、末長く事業を続けていかれることを心より願っています。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。