このような疑問に答えます。
「与信管理」と聞くと、何だか難しいと感じる方もいるかもしれませんね。
でも実は、大ダメージから会社を守り、劇的な成長ステージに導く画期的な仕組みなんです。
そして、もはや「与信管理は難しそう」なんて言っていられる時代は終わりました。
いま、与信管理をしていない会社は、大ダメージを受ける危険性が迫っています。
「どういうこと?」
「うちも危険!?」
そう思った方は、どうぞこの記事を最後までお読みください。
この記事を書いている私は、信用調査会社(株)東京商工リサーチで10年間に7,000社以上を調査した元・調査員です。
数多の経営者様からの「与信管理って何?」「うちに必要?」という質問にお答えしてきた与信管理のプロフェッショナルです。
必ずわかる与信管理の説明から、いま与信管理が必要な理由まで、徹底解説をお届けします。
ぜひ最後までお読みください。
<メディア掲載情報>
与信管理や信用調査のテーマでも掲載されています
■SMBCグループの経営層向け会報誌『SMBCマネジメントプラス』2024年12月号
「危険な取引先・優良な取引先がわかる 決算数字と信用調査の活用法」(P7~9)
■日本実業出版社『企業実務』2024年12月号
「元調査員が教える!信用調査会社の上手な使い方」(P70~72)
※メディア情報一覧はこちら
与信とは?
「与信(よしん)」という言葉、よく聞くけれど意味がわからない、という方も多いのではないでしょうか。
与信とは、字のごとく、相手が「信用できる」というお墨付きを与えることです。
企業間の取引でよく耳にする「与信調査」とは、「(信用して)取引をしても大丈夫な会社かどうか」を調べることを意味します。
「与信」とは、企業間の信用を判断する重要な考え方なんですね。
まずは言葉の意味をしっかり理解してください。
与信管理とは何か?流れとイメージ
「与信」の意味を理解できたところで、いよいよ本題の「与信管理」についてです。
「与信管理」とは、取引先との安全な取引を実現するための仕組みです。
「あの会社と取引をして大丈夫か?」を確認して、安全な取引を勝ち取る仕組みですね。
「この取引先は大丈夫か?」という不安を解消する仕組みとも言えます。
具体的にどのようなものか、以下の「与信管理のイメージ」を読んで理解してみてください。
与信管理のイメージ
(↓ココは頑張って読んでください↓)
与信管理は「事前確認」と「継続管理」でできている
新規取引を始める前、あなたはまず相手の会社の状況を確認します。
「この会社は支払能力があるか」「品質管理や納期遵守に問題はないか」「経営は安定しているのか」「他社との取引実績はどうなのか」「何か気になる噂は聞かないか」。
さまざまな角度から相手の会社を調べていきます。
そして、確認した内容をもとに、取引をするか・しないかを判断します。
取引すると決めたら、次は取引条件を考えます。
「掛け取引の金額は最初いくらにする?」「支払期間はどうしよう?」具体的な条件を1つ1つ決めていきます。
取引が始まってからも定期的に取引先の様子を確認します。
「支払いは予定通りにされているか」「経営状況に変化は出ていないか」「将来に不安はないか」
このような確認を続けていると、
「あの会社、最近経営が怪しくなってきたぞ。今のうちに取引条件を見直そう」「この会社は順調に伸びている。取引を増やすチャンスかもしれない」
というように、素早い情報収集と適切な取引判断ができるようになります。
そして、自社へのダメージや取引機会の損失を防ぐことができるのです。
以上が、与信管理の流れです。イメージは湧きましたか?
与信管理は「予防歯科」「クレジットカード」で理解する!
ここまで読んでみても、「どうにも与信管理のイメージがわかない」という方は、予防歯科とクレジットカードをイメージしてみてください。
予防歯科で「与信管理」を理解する
虫歯の治療は大変ですよね。そこで、虫歯ができてから治療をするのではなく、虫歯の発生や進行を防ぐために定期的に検診を受けます。この予防歯科と同じで、与信管理も取引先からの問題を防ぐためにするものです。
クレジットカード発行で「与信管理」を理解する
カード会社は申込者の年収や支払い履歴を確認し、カード発行の可否や利用限度額を判断します。発行後も定期的に利用状況や支払い状況をチェックし、利用限度額を見直します。
与信管理も同じです。取引開始前に取引先の状況を確認し、取引の可否や取引額を決めます。取引開始後も定期的に状況を確認し、必要に応じて取引条件を見直します。
なぜ与信管理は大事か?しない場合の特大デメリットから考える
なぜ与信管理が大切かは、「何も対策をしなかった場合」を考えるとよく分かります。
与信管理をしないと、具体的にどんなデメリットがあるのか、確認しておきましょう。
発生すると厄介!売掛金の焦付き
与信管理をしないデメリットの1つ目は、売掛金の焦付き(代金が回収できなくなること)が起こる危険性が高まることです。
中小企業の社長によくあるのは、新規取引にすぐ飛びついてしまうこと。
そして、長年の付き合いがある取引先だからと安心して、掛け取引の金額を徐々に増やしてしまうことです。
取引先の「大丈夫です」「必ず支払います」という言葉を信用し続けた結果、掛け取引の金額はどんどん増加し、最終的に取引先は倒産。
多額の売掛金が未回収となり、その年の利益はほぼ消失。順調だった業績も一転、赤字に転落してしまうなど、1社の焦付きでその年の経営努力を無駄にしてしまうことも少なくありません。
もし、この焦付きで資金繰りが急激に悪化し、ほかの取引先への支払いに影響が出たり、融資の審査にも悪影響となれば、会社にとって大ダメージになります。
与信管理をしていれば防げたかもしれない事例です。
納期遅れや品質問題が起きる可能性
与信管理をしないデメリットの2つ目は、納期トラブルや品質問題を見逃す危険性があることです。
1つ目の「売掛金の焦付き」は販売先とのトラブルですが、トラブルは仕入先や調達先との間でも起こりえます。
そして、仕入先や調達先の与信管理をしていなかったことで起こりやすいのが、この納期遅れや品質問題です。
管理体制の甘さや経営者のルーズさを見抜けなかった結果起こりうるトラブルですね。
仕入先から期待していた商品やサービスを調達できなくなれば、あなたの会社のその後の製造・販売スケジュールにも影響が出ます。
次の項目でご紹介する「連鎖的な影響」にも繋がるトラブルですので、細心の注意が必要です。
連鎖的な悪影響が多発する
与信管理をしないデメリットの3つ目は、連鎖的な悪影響が起こることです。
仕入先に問題があれば、商品の供給が遅れたり、止まったり、品質の悪い製品やサービスを供給されてしまうかもしれません。
そのせいであなたの会社の在庫が切れれば、販売機会を失い、取引先との関係にも影響が出かねません。
相手から未回収が発生すれば、あなたの会社の資金繰りも悪化する危険性があります。
「あの会社は支払いが遅い」という評判が広がれば、新規取引や既存取引の拡大も難しくなり、最悪の場合、倒産に追い込まれる危険があります。
取引先の管理が甘いと影響が次々に広がり、深刻な事態を招く。これが、与信管理を疎かにすることの恐ろしさです。
盲点!保険に100%頼りきりは危険
「与信管理をした方がいいですよ」というお話をすると、「取引信用保険に入っているから大丈夫!」という経営者様がいらっしゃいます。
果たして、本当に大丈夫でしょうか?
取引信用保険というのは、売掛金・受取手形が回収不能になった場合に、損失を補償をしてくれる保険のことです。
月々の料金、契約対象にできる取引先の制限、売掛回収不能になってから保険が入るまでのタイムラグなど、色々考えるべきことはあります。
その中でも、問題になりがちなのが、
相手が少しずつ払ってきたり、行方不明になったりして、「確実に回収不能になったと言い切れない場合」に、保険金が支払われるか、どのタイミングで支払われるかということです。
世の中には、状況が悪いながら経営を続けている会社や、倒産手続きができずに行方知れずになる会社がたくさん存在しますよ。
そしてなによりも、銀行や他の取引先から、
「事後対策だけで、そもそもの焦付きを防ぐ対策をしていない」
「保険でカバーするから損失発生はお構いなし」
このような厳しい目で見られることは避けられません。
保険を上手く活用することは重要です。
ただし、保険だけに頼りすぎて、与信管理をしないのは危険だということを知っておいてくださいね。
世の中には”超危険な会社”が存在する
みなさまは「パクリ屋」という存在をご存じでしょうか?
パクリ屋とは、簡単に言うと、詐欺会社のことです。取り込み詐欺会社とも呼ばれますね。
代金を支払うと見せかけて商品を受け取り、支払わずに商品を持ち逃げする詐欺を働く会社です。
「パクリ屋」の手口は巧妙です。そして、あなたの身近にごく普通に存在しています。
与信管理をしていなければ、普通に騙される可能性があるくらい、世の中に溶け込んでいます。
「そんな大げさな」と思いましたか?
私は調査員をしていたのでよくわかるのですが、「パクリ屋」に騙される会社は、本当に多いです。
「詐欺会社が狙うのは大手企業でしょ?」
「うちみたいな小さな会社は大丈夫」
そうおっしゃる社長様もいますが、大手は取引審査が厳しいので、むしろ狙われやすいのは"与信管理が手薄な中小企業”です。
私も調査員時代に、数百万円、数千万円単位で騙されてしまった企業を何社も見ています。
パクリ屋に騙されたことをきっかけに、与信管理に真剣に取り組む企業も多いのですが、騙されてからでは遅いです。
これから騙されないための対策はできても、騙された分は取り戻せないからです。
元調査員として何度でも強く申し上げます。
危険な取引や避けるべき会社を判断するためにも、与信管理は絶対にしておくべきです。
取り込み詐欺会社、パクリ屋については以下の記事で徹底解説しています。
与信管理をしないと「信用」を失う
私のところには、焦付きの発生や、取引先からの未回収をきっかけに、「今後は与信管理を徹底したい」とご相談に来られる経営者様が沢山いらっしゃいます。
そのようなご相談に対しては、今後の取引の安全確保のお手伝いはできても、すでに起きた焦付きやトラブルで失った「信用」を取り戻すことはできません。
ここまでも何度もお伝えしていますが、
与信管理をしない本当の怖さは、会社の「信用」を失うことです。
売掛金の未回収や仕入トラブル、連鎖的な影響が起きれば、あなたの会社の評判は地に落ちます。
「あの会社は取引先の管理もしていない」
「ほかの取引先や自社の財務にも悪影響が出るのに無頓着」
そのように思われれば、銀行や取引先、株主は、あなたの会社の今後の動きを様子見するでしょう。
あなたの会社の信用は揺らぎはじめます。
銀行の見る目が厳しくなって、融資を受けにくくなるかもしれません。新規取引や、既存取引の増額に慎重な会社も増えるでしょう。
「あの社長、大丈夫なの?」と経営者としての資質も問われかねません。
信用調査会社も回収不能が発生した会社に対しては、厳しい評価をします。
取引先をチェックしていないことは、これだけのマイナスの影響を及ぼす可能性があるのです。
一度傷ついた信用を回復することは、簡単ではありません。大切な「信用」をなくさないためにも、与信管理は絶対にしておくべきです。
実は「今」与信管理をしないと大問題
このパートでは、銀行の融資担当者、大手企業の審査部の方々とお話をさせていただいて感じている、最近の与信管理事情をお伝えします。
実は「いま」、与信管理の重要性がますます高まっています。
なぜか?それには、以下のような「大きな変化」が影響しています。
「コロナ」は会社経営を大きく変えた
新型コロナウイルスの影響から回復できず、経営状況が厳しい会社が増えています。
一見すると元気そうに見える会社でも、実は資金繰りに苦しんでいるケースも少なくありません。粉飾や倒産も増えていますよね。
しっかり取引相手をチェックしておかないと、焦付きや問題が起きる可能性が高まっています。
物価高騰の影響は甚大
原材料価格などの高騰も、多くの企業の収益を圧迫しています。
とくに中小企業では、コストアップを価格に転嫁できず、資金繰りが悪化するケースが増えています。
いままでは優良と言われていた会社でも、知らぬ間に経営が悪化していることが少なくありません。
与信管理をしていないと、取引先の変化を見逃してしまいます。
仕入から販売までの流れで「危険リスク」が大激増
実は、企業間の取引では、以前に比べてリスクが増しています。
例えば、海外からの部品調達が一般的になり、世界情勢の影響で突然部品が入らなくなる。そんなことが普通に起こるようになりました。
その影響は取引先を通じて自社にも及びます。
取引先が材料を調達できなければ、生産や納品が滞り、結果として自社の売上にも影響が出ます。
取引先の販売先が経営不振に陥れば、取引先の資金繰りも悪化し、自社への支払いも遅れる可能性が出てくるでしょう。
与信管理をしておかないと、取引先の”その先からの影響”に気づくのが遅れてしまいます。
取り巻く環境が変化すると、会社の経営も変化します。
与信管理の”真”のメリット
与信管理は、単にリスクを回避するだけのものではありません。
企業の価値を高める重要な経営戦略です。
うわべのメリットではない、与信管理の”真”のメリットを戦略的に勝ち取りましょう!
取引先からの確かな信頼を勝ち取る
与信管理の真のメリットの1つ目は、取引先からの確かな信頼を勝ち取れることです。
適切な与信管理をしている会社は、取引先からの信頼も厚くなります。
「あの会社の経営はしっかりしている」という評価は、新たなビジネスチャンスにつながります。
既存取引先との取引拡大や、大手企業との取引実現の可能性も高まりますね。
金融機関から距離を縮めてくる
与信管理の真のメリットの2つ目は、金融機関との距離を縮められることです。
与信管理の仕組みがある会社は、金融機関からも高く評価されます。
高評価な会社は、金融機関から融資の声もかかりやすいです。銀行からあなたの会社に近づいてくる、そんな嬉しい状況が出来上がります。
融資の際の交渉力も高まり、有利な条件の資金調達も夢ではなくなるでしょう。
会社の信用が爆上がりする
与信管理の真のメリットの3つ目は、会社の信用が爆上がりすることです。
取引先の経営状況を把握し、適切に管理している会社は、「経営管理がしっかりしている会社」として高く評価されます。
焦付きや売掛未回収の心配もなく、財務が悪化する危険性も低く、まわりから「あの会社の経営は大丈夫」と思ってもらえます。
適切な与信管理をすることで、結果的に自社の信用が高まるのですね。
100年企業の夢が現実になる
与信管理の真のメリットの最後は、100年企業の夢が現実になることです。
信用は、企業が長く存続するために最も大切なものです。
与信管理を通じて築き上げた信用は、100年企業への確かな一歩になります。
実際、長年事業を継続している企業には、必ず確かな与信管理の仕組みが存在します。
安心安全な取引先と、揺るぎない信頼関係を築く経営基盤を持っているのです。
そして、経営者も従業員も、取引先も安心して末永くお付き合いできる、まさに理想の100年企業になっていきます。
元調査員が本音で語る!あなたの会社が与信管理で”本当に”勝ち取るもの
「与信管理の1番のメリットは?」
そう聞かれたら、私は「幸せな会社経営ができること」と答えます。
安心安全な会社と取引できれば、トラブルや不安とは無縁になります。
経営は安定し、金融機関や取引先、株主などのまわりからの評価も高まります。
私が在籍していた信用調査会社からの評価も、グングン上がり続けます。
そして、高評価がさらに良い取引を引き寄せる好循環が生まれます。
会社は末長く続き、経営者のみなさまも、幸せな気持ちで経営を続けられるでしょう。
与信管理は幸せな経営に続く道です。
みなさまも、まずは取引先の状況を確認する習慣から始めてみてはいかがでしょうか。
「取引先をどう調べたら良いかわからない」
「取引先の良し悪しを上手く判断できない」
そう感じる方もいらっしゃると思います。
自社だけで与信管理をするのが難しい場合は、信用調査会社や与信管理の専門家から、積極的にアドバイスを受けることをおすすめします。
できれば、良い会社も悪い会社も見ている“審査の場数を踏んだ”専門家を選んでください。
専門家のサポートのもとで与信管理の経験を積み、取引先の調べ方や会社の良し悪しの判断のコツを取得すれば、最速で良い取引先を獲得する未来に辿りつけるでしょう。
もし身近に信頼できる専門家がいない場合は、会社信用ドットコムでも与信管理のご相談をお受けしています。7,000社以上の調査経験と営業成績1位獲得の与信管理ノウハウで、貴社に最適な対策をともに考えます。お気軽にお問い合わせください。
取引先の与信管理をしないまま経営を続けるリスクは、日に日に高まっていると感じます。
ぜひ、適切な与信管理で自社の経営と信用をしっかり守ってください。
そして、より安定した、発展的な事業経営への道を開いていってくださいね。
この記事が貴社のお役に立てれば幸いです。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。
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