「事業再構築補助金の事業計画書の書き方がわからない」というご相談をよくいただきます。
事業計画の良さを正しく伝えるためにも、書き方のポイントは押さえておきたいですよね。
本日の記事では、事業再構築補助金の事業計画書の最初のパート「補助事業の具体的取組内容」の書き方を解説します。
「既存事業の内容」「再構築の必要性」「新規事業の概要」にも触れる、内容盛りだくさんなパートですよ。
解説するのは、目次の1番最初のパートの6項目(黄色部分)の書き方です。
事業計画書の目次
1:補助事業の具体的取組内容
(1)現在の事業内容
(2)SWOT分析
(3)事業環境
(4)事業再構築の必要性
(5)事業再構築の具体的な内容
(6)既存事業の縮小・廃止・省人化について
2:将来の展望
(1)ユーザーと想定顧客ニーズ
(2)マーケット及び市場規模
(3)競合との差別化
(4)既存事業との差別化
(5)既存事業とのシナジー効果
(6)想定される課題・リスクとその解決策
(7)その他(審査項目(4)政策点の項目等)
3:本事業で取得する主な資産
4:収益計画
(1)実施体制
(2)実施スケジュール
(3)資金調達計画
(4)収益計画
(5)売上高の算出根拠
(6)付加価値額の算出根拠
事業再構築補助金の事業計画書はフリーフォーマットです。必ずこの目次である必要はありません。みなさまの計画内容にあわせて項目の追加・順番を変えるなど色々と工夫なさってください。*上記は単独申請かつ通常枠or回復・再生応援枠での申請を想定した構成です。
はじめて事業計画書を作成する方が取り組みやすいように、できるだけ簡単な言葉で解説をしました。
書き方のイメージがつかみづらい箇所には記載例も入れました。参考図表もご紹介しています。
3分半ほどで読める記事です。
ぜひ最後まで読んでみてください。
事業再構築補助金の書き方記事一覧
▶︎事業計画書の書き方【まとめ記事】
事業再構築補助金の事業計画書の書き方【フォーマット無料配布】
▶︎事業計画書の様式・目次を解説
事業再構築補助金の事業計画書の書き方【様式・目次の構成を解説】
▶︎各パートの書き方
▶︎不採択になった方向けの書き方
この記事を書いている私のこと
佐藤絵梨子/会社信用クリエイター
世界最大の企業情報を保有する (株)東京商工リサーチに入社後、個人から売上1兆円企業まで10年間で延べ7,000社以上を調査。商業登記簿から会社の信用度を見抜くほどになり、全国1,000人以上の調査員中、営業成績1位獲得の実績を誇る。同社退職後、大手企業との取引実現から銀行融資や補助金獲得まで支援するサービスを展開中。
*国が認定する経営革新等支援機関(認定支援機関ID:107713006411)です
事業再構築補助金の支援実績
- 累計100件以上の事業計画書を添削
- 事業計画書の作成支援で累計14件採択
事業再構築補助金の支援事例
類型 | 既存事業 | 新規事業 |
新分野展開 | 設備工事業 | 飲食店 |
新分野展開 | 建築設計業 | 木製家具製造業 |
新分野展開 | 飲食店 | 持ち帰り・配達飲食サービス業 |
業種転換 | 経営コンサルティング業 | エステティック業 |
新分野展開 | 娯楽業 | 自動車賃貸業・駐車場業 |
事業転換 | 受託開発ソフトウェア業 | 情報提供サービス業 |
業種転換 | 宿泊業 | 老人福祉・介護事業 |
新分野展開 | 出版業 | その他教育・学習支援業 |
業種転換 | ポータルサイト・サーバー運営業 | スポーツ用品小売業 |
*2021年3月〜2022年12月採択実績から一部抜粋
「現在の事業内容」の書き方
事業再構築補助金の事業計画書の冒頭ですね。
「(1)現在の事業内容」には次の3つを記載しておきましょう。
- 既存事業の内容
- 代表経歴
- 経営理念
この部分は1ページから1.5ページでまとめると良いです。

①既存事業の内容
既存事業の内容では、現在の事業内容を次のような切り口で説明しましょう。
- 提供する製品・サービス
- 売上構成比
- 料金
- 取引先
- 営業・販売方法
- 自社の技術・ブランド・人材
- 運営する店舗や工場・設備
文章が上手く書けない方は、下記のような表を入れるのも1つの手です。事業の全体像をわかりやすく伝えられますよ。
それぞれの項目は箇条書きにし、補足があれば表の外に文章説明を入れましょう。
下の表のように「製品・サービスの概要」「売上構成比」のみを表でまとめるだけでも、事業内容はだいぶわかりやすくなります。
★事業内容をうまく伝えるコツ
事業内容をわかりやすく伝えるコツを少しだけご紹介しておきますね。参考にしてください。
「会社の売上は何か」を意識して説明する
「会社の売上は何か」がはっきりしないと、読み手は事業内容を理解できません。
例えば、自社の事業を「不動産事業」のように一言でサラッと説明するのはNGです。会社や人に貸して賃貸料をもらうのか、売買を仲介して仲介料をもらうのか、売って売却料をもらうのか。「会社の売上が何か」を意識して記載しないと、事業内容は正しく伝わらないです

専門用語・説明不足・文字だけはNG
事業内容をわかりやすく説明したいなら、次の3つに注意して書きましょう。
- 専門用語や略語はNG
- 説明を”はしょりすぎない”
- 文字だけで説明しない
審査員はみなさまの会社や業界に詳しいわけではありません。
専門用語や略語は理解してもらえない可能性があります。どうしても使うなら注釈を入れるなど、工夫しましょう。
説明は丁寧すぎるくらいが丁度いいです(これは全体を通しても言えることです)。
珍しいもの、一般人に馴染みのないものを扱っている場合、製品・サービスを文字の説明だけでわかってもらうのは難しいです。写真を入れるなど、工夫をしてください。
店舗や工場がある場合も写真を入れておくと、事業のイメージが伝わりやすいですよ。

★事業内容を上手く書けない方はこちらの記事もお読みください。
②代表経歴
代表経歴は書く内容を厳選しましょう。
「この社長だから会社がここまで成長したんだな」
「この社長なら再構築を成功させるに違いない」
このように審査員に思ってもらえる「成功事例」「得意分野」「身につけた技術」などを”厳選して”書いておくことがポイントです。
とくに”新規事業に活かせる”成功事例・得意分野・技能は必ず書きましょう。
学校名や会社名を書き連ねた履歴書のような経歴だけでは、「事業計画を成功させられる」と説得力を持って伝えるのは難しいです。

★代表経歴を上手く書くコツを知りたい方はこちらの記事をお読みください。
③経営理念
代表経歴も経営理念も、会社や事業への熱量を伝えやすい項目です。
会社・事業・社員などに対する熱い想いを書いておきましょう。
「このような素晴らしい理念がある会社だから、ここまで成長できたのだな」
「このような熱い理念のある会社なら、再構築もきっと成功するだろうな」
このように思ってもらえる理念を”厳選して”書くことがポイントです。

「SWOT分析」の書き方
会社の「S:強み・W:弱み・O:機会・T:脅威」を説明する部分です。機会は市場機会のことですよ。
こちらも審査員がパッと見てわかるように、下記のような表で示すと良いです。
ポイントは次の2点を明確にすることです。
事業再構築補助金のSWOT分析で明確にするポイント
- 事業再構築で活かす強み・機会
- 事業再構築で解決する弱み・脅威
事業再構築補助金の事業計画書では、
我が社はこの「強み」とこの「市場機会」を活かして事業再構築を成功させます
という成功ストーリを伝えることで、再構築の実現性の高さを強調していくことが大事です。
①の「事業再構築補助金で活かす強みと機会」はこの成長ストーリーの”肝”になりますので、とくに丁寧に記載しましょう。
審査員に「なるほど!この強みと機会があれば再構築は成功するはずだな」と思ってもらえる説得力のある強みと機会を厳選してくださいね。
「事業環境」の書き方
現在の事業を取り巻く環境や市場動向、お客様のニーズについて記載します。
ネットのニュース記事などからグラフやデータも引用して、内容に説得力を持たせましょう。
とくに『既存事業の市場がコロナの影響を受けてどのような状況にあるのか』は丁寧に記載しましょう。
事業再構築補助金を申請するみなさまは、現在の事業環境が厳しいという理由で再構築をする決断をしたはずです。
この部分に既存事業の環境が厳しいことを記載することで、「このまま現在の事業環境にとどまっていては会社として非常に厳しい→再構築が必要」という状況をしっかり伝えることを意識してください。
「事業再構築の必要性」の書き方
「どう書いたら良いでしょうか?」という質問が1番多い項目です。
そして、「1:補助事業の具体的取組内容」の中で1番気合を入れて記載してほしい項目でもあります。
事業再構築をする『理由』をしっかり伝えるために、次の3つを明確に記載しておきましょう。
「再構築の必要性」で伝える3つのコト
- コロナによる既存業会への影響
- コロナによる自社業績への影響
- 新規事業に進出する必要があること
①では、取り巻く環境・既存市場への影響を大きな視点で説明しておきましょう。既存業界の市場規模や推移を示すデータやグラフなども入れて説明しておくと良いです。
②は自社業績への影響です。コロナ前と後の売上比較や減少率(%)などの数値やデータを入れ具体的に説明します。
③は「①②を受けて再構築が必要だと考えた」というまとめのイメージです。新規事業では強み×市場機会を活かすこと、コロナで生じた課題を解消することも盛り込むと、高い成果が期待できる事業として評価されやすいでしょう。
次のような再構築のストーリーを意識して①〜③を記載すると良いです。
「再構築の必要性」で伝えるストーリー
思い切った事業再構築を行うことで「①コロナで停滞する既存事業・コロナで生じた課題」と「②業績への影響」を脱し、コロナで新たに生まれた市場機会やニーズを取り込んで、強みを活かした「③新規事業に進出」し、再起を図ります
不採択の方に不採択理由をお尋ねすると、「再構築の必要性を明確に書けていないこと」を指摘されている方がとても多いです(*)
*事業再構築補助金で不採択になった方は、事務局に電話で問い合わせると不採択理由を教えてもらえます
再構築の必要性はとても重要な審査ポイントだということですよ。
「事業再構築の具体的な内容」の書き方
ここでようやく再構築の具体的な内容を記載します。
次の4つの項目はとくに丁寧に説明しておきましょう。
「事業再構築の具体的な内容」で書くこと
- 申請する事業再構築の枠と類型・指針との関連性
- 新規事業の内容
- 導入する設備・工事等
- 投資内容
計画内容が複雑な方や、内容をより整理して伝えたい方は、「再構築の全体像」という見出しを入れ、図も交えて再構築の全体像を説明するとわかりやすくなります。
①と②の間、もしくは②の後に入れると良いですね。
ここはご自身の事業内容に合わせて書き方を工夫してくださいね。
申請する事業再構築の枠と類型・指針との関連性
この部分は下のような表にすると良いです。
「要件」の部分は、みなさまの再構築の類型に合わせて内容を書き換えてくださいね。
上の表は「新分野展開」「事業転換」「業種転換」の方はそのまま使えます。「新分野展開」は売上10%要件、「事業転換「業種転換」は売上構成比要件を選んでくださいね。
申請する類型の必要要件がわからない方は、下記の表で該当箇所を探しましょう。
★「自社の類型かわからない」「類型や指針が理解できない」という方は、オンライン相談でお話を伺います。必要であればご相談下さい。
-
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新規事業の内容
(1)既存事業の内容と同様に、新規事業の内容も詳しく説明してください。
次のような項目を説明しておきましょう。
- 提供する製品・サービス
- 料金
- 営業・販売方法
- 広告宣伝・マーケティング(顧客獲得の方法)
「提供する製品・サービス」では、試作品や完成品の写真・イメージ図なども入れて、わかりやすく伝えましょう。
1個単位で販売するのか、箱詰めなのか、もっと大きなロットなのか。それぞれいくらで販売するのかなど、「提供方法」も具体的に書いてください。
料金表などもあると良いですね。
店頭販売なのか、ECサイトでの販売なのか、ホームページからの問い合わせメインに営業マンが販売するのか、などの「営業・販売方法」にも触れてください。
広告宣伝・マーケティングなどの「お客様の獲得方法」も説明が必要です。
*このブログでご紹介している目次の構成では、「ユーザー・ターゲット」は次のパートの「将来の展望」で記載するため、ここでは詳しくは記載しません。ですが、みなさまの計画内容がわかりやすくなるのであれば、この部分でターゲットについて記載するなど、色々と工夫してください
★佐藤からのワンポイントアドバイス★
少し難易度は高めですが、
- 新規事業は既存事業と大きく異なること、これまでにない取り組みであること
- 新規事業はポストコロナ・ウィズコロナにマッチした事業であること(例えば、非対面にする点を思いきりアピールするなど)
- 新規事業で取り入れる先端的なデジタル技術、地域貢献性
このような点も、新規事業の説明でうまく書いてみてください。
導入する設備・工事等
ここでは「その設備が必要な理由」を徹底的に説明して下さい。
次のような項目も説明しておくと、必要な理由に説得力が出ます。
- 設備の性能・スペック
- どの製造工程で使う設備なのか
- 既存設備や他社製品との比較
建物や機械など投資金額が大きくなるものは、必要な理由を特に丁寧に説明する必要があります。
導入する設備の写真やイメージ図もあると良いですね。
建物の場合は「見取り図」や「完成後の内外装のイメージ図」も入れておきましょう。
投資内容
下記のような表で投資内容をまとめておきましょう。
経費内容の部分では、次の内容を詳しく説明します。
- 建物の建設・改修等の内容
- 取得する機械装置の内容・型番
- 技術の導入や専門家の助言、研修等の内容
すべての実施(取得)時期も記載しておきましょう。
「既存事業の縮小・廃止・省人化について」の書き方
既存事業の縮小や廃止、省人化によって従業員の解雇を伴う場合には、再就職支援の計画など、従業員に適切な配慮をしていることを記載ます。
「既存事業の廃止を計画しているから、その事業を担当していた従業員は解雇する」
「解雇後の支援は考えていません」
↑このように考えている会社様は、計画そのものの見直しが必要です。
解雇を伴う場合には、適切な配慮・支援をすることを盛り込んだ計画を立て、具体的な取り組み内容を記載しましょう。
本日のまとめ
本日のブログでは、事業再構築補助金の「1.補助事業の具体的取組内容」に記載する6項目の具体的な書き方をお伝えしました。
事業再構築補助金の事業計画書は「必要に応じて図表や写真等を用いて具体的に記載すること」も求められています。
わかりやすさ・見やすさを意識してくださいね。
繰り返しになりますが、みなさまがせっかく良い事業計画を立てていても、事業計画書の書き方が悪ければ、計画の良さは正しく伝わりません。
下記の記事も公開しています。必要であればお読みくださいね。
事業再構築補助金の書き方の記事
【事業再構築補助金の書き方まとめ記事】
【まとめ】事業再構築補助金の事業計画書の書き方【フォーマット無料配布】
【事業計画書の様式・目次の構成を解説】
事業再構築補助金の「様式・目次の構成」を解説
【各項目の書き方を解説】
・事業再構築補助金の「補助事業の具体的取組内容」の書き方
・事業再構築補助金の「将来の展望」の書き方
・事業再構築補助金の「収益計画」の書き方
事業再構築補助金の事業計画書のフォーマット配布
事業再構築補助金の事業計画書のフォーマットを配布しています。本気の社長様はお申込みください。
- 当フォーマットは100%の採択をお約束するものではございません
- フォーマットは随時更新していますが、タイミングによっては最新情報への更新・反映が間に合わないことがございます。必ず最新の情報をご確認の上、ご自身の責任で作成ください
- 会社や事業者の所在が確認できる方にのみフォーマットをメールでお送りしています
- 中小企業支援(補助金申請支援等)を業務とする方へのフォーマット提供はお断りしています。あらかじめご了承ください
フォーマットの目次は、事業再構築補助金の事業計画書の書き方【様式・目次の構成を解説】の記事で解説したものです。計画内容に合わせて表現や順番を上手く調整してください。
事業再構築補助金の事業計画書を添削し、書き方をアドバイスします

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- 不採択の事業計画書を改善したい
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【事業再構築補助金】事業計画書の添削・書き方のアドバイス
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