このような疑問にお答えします。
「収益計画」は再構築の実施体制やスケジュール、収益数値を説明するパートです。
数字を作るのが苦手という方は、1番作成が難しいパートだと思います。
締めのパートですから、ビシッと決まらないと、全体までイマイチに見えてしまうのが悩ましいところ。
本記事では、数値目標の立て方や数字を説明するコツも解説をしているので要チェックです。
事業再構築補助金の事業計画書の書き方を150件以上指導してきたノウハウ満載の内容です。
補助金審査を突破したい社長様は必読です。
■採択される事業計画書の書き方をアドバイスしています。延べ7,000社の企業審査経験を活かし、改善点や不足点をわかりやすくお伝えします。お気軽にご相談ください。詳しくはこちら
この記事を書いている私のこと
佐藤絵梨子/会社信用ドットコム代表
世界最大の企業情報を保有する (株)東京商工リサーチに入社後、個人から売上1兆円企業まで10年間で延べ7,000社以上を調査。商業登記簿から会社の信用度を見抜くほどになり、全国1,000人以上の調査員中、営業成績1位獲得の実績を誇る。2017年同社を退職。現在は大手企業との取引実現から銀行融資・補助金獲得まで支援するサービスを展開。小さな企業の救世主として期待されている。
*経済産業省認定 経営革新等支援機関(認定支援機関ID:107713006411)
本記事で解説する事業計画書の目次
事業計画書の目次は以下の通り。この記事では「収益計画」の7項目の書き方を解説します。
事業計画書の目次(コピーOK)
1:補助事業の具体的取組内容
(1)事業再構築要件について(*1)
(2)現在の事業の状況
(3)SWOT分析
(4)事業環境
(5)事業再構築の必要性
(6)事業再構築の具体的な内容
(7)既存事業の縮小・廃止・省人化について(該当者のみ記載)
2:将来の展望
(1)ユーザーと想定顧客ニーズ
(2)マーケット及び市場規模
(3)成果の優位性・収益性
(4)事業化の見込み・目標時期
(5)想定される課題・リスクとその解決策
(6)その他(審査項目の政策点の項目など)
3:本事業で取得する主な資産
4:収益計画
(1)実施体制
(2)実施スケジュール
(3)資金調達計画
(4)収益計画
(5)売上高の算出根拠
(6)付加価値額の算出根拠
【重要】
↓失敗しないために必ず確認↓
■見出しの項目・順番について
読みやすさや流れを考えて、公募要領に記載されている「記載すべきこと・審査項目」とは順番や内容を入れ替えています。必ず上記の目次にする必要はありません。貴社の計画にあわせて項目を追加したり、順番を変えるなど工夫してください。
■申請枠等によって記載項目が異なります
上記の目次・見出しはどの申請枠でも記載すべき項目です。申請枠によっては追加で記載が必要な項目もあります。必ず公募要領で貴社が申請する枠の情報をご確認ください。
事業計画書に記載する内容・審査項目←重要
事業計画書を書き始める前に、事業再構築補助金の事業計画書に記載する内容と審査項目を確認しておきましょう。
公募要領の下記2箇所を確認してください。
- 事業計画作成における注意事項
- 審査項目・加点項目
記載すべき項目の注意点を簡単にまとめます。
事業計画書に記載すべき項目の注意点
- 事業計画書はA4サイズで計15ページ以内(補助金額1,500万円以下の場合は計10ページ以内)推奨
- 1ページ目に記載する内容・記載ルールが決められている
- 2ページ目以降についても記載すべき項目が示されている
1つずつ簡単に補足しますね。
ページ数
事業計画書はA4サイズで計15ペー ジ以内(補助金額1,500万円以下の場合は計10ページ以内)が推奨されています。
ページ数で採択・不採択が決まるわけではありません。
しかしながら、大半の事業者は枚数内で作成していますので、枚数内に収めるのが賢明です。
1ページ目の記載内容
1ページ目に記載する内容は決められています。
記載すべき内容が記載されていないと不採択になりますので要注意です。
具体的な書き方は以下の記事で解説しています。必要であればお読みください。
事業再構築補助金の事業計画書の書き方を知りたい方向けの記事。「補助事業の具体的取組内容」のパートで記載する7項目の書き方を解説しています。 続きを見る事業再構築補助金の「補助事業の具体的取組内容」の書き
2ページ以降の記載内容
2ページ目以降はフリーフォーマットですが、記載すべき項目は公募要領で示されています。
本記事で解説する「将来の展望」の他にも、「補助事業の具体的な取組内容」「収益計画」の記載も必要ですね。
この記事の最後でそれぞれの書き方を解説した記事をご紹介しています。必要であればお読みください。
収益計画の書き方
収益計画には何をどのように記載すれば良いのでしょうか。
記載すべき6項目の書き方を解説します。
(1)実施体制
再構築を行う体制について説明する項目です。
主に次の3つを記載しておくと良いでしょう。
実施体制に記載すること
- 社内体制
- 人材採用計画
- 社外連携企業
1つずつ解説します。
①社内体制
社内の役割分担の説明ですね。以下の3点をわかりやすく記載しておきましょう。
社内体制に記載すること
- 「何を」:再構築を行うために必要な業務は何か
- 「誰が」:社内の誰がその業務を担当するのか
- 「なぜ」:なぜその業務が必要か・なぜその人物が担当だと上手くいくのか
3つ目の「なぜ」が抜けている方が多いです。
審査員は実施体制をチェックする時に以下の点を重点的に見ています。3つ目の記載不足には注意しましょう。
審査員が重点的に見ているポイント
補助事業を適切に遂行し得る体制(人材、事務処理能力等)を確保出来ているか。
(第三者に過度に依存している事業ではないか。過度な多角化を行っているなど経営資源の確保が困難な状態となっていないか。)
「この担当者・人員構成であれば大丈夫だ」と審査員伝わるように、その人物を担当者として選んだ理由や、担当者の業務遂行能力も記載しておきましょう。
▶︎(記入例)表でまとめるとわかりやすいです
既存事業とは別で、新規事業の担当部署を新しく設ける場合には、下記のように組織図を入れておくのも良いでしょう。
▶︎(記入例)以下の組織図を入れるとわかりやすいです
「既存事業を担当する部署」と「新規事業を担当する部署」がすぐにわかる組織図だと良いですね。
②人材採用計画
新規事業の人材を採用する場合は、基準年度(補助事業実施年度)から5年目の採用計画についても記載しておきましょう。
こちらも以下のような表にするとわかりやすいです。
▶︎(参考)人材採用計画をわかりやすく伝える表
①社内体制、②人材採用計画のどちらかに「新しく採用する人が何の業務を担当するのか」の説明も入れておくと良いでしょう。
③社外連携企業
社外の企業と連携して新規事業を行う場合は、連携企業についても記載しておきましょう。
どのような内容で連携するのかも詳しく記載してください。
仕入先や外注先など、新規事業を行う上で欠かせない外部の関係先の記載もあると良いですね。
社内体制と同じく、「なぜその企業に任せると上手くいくのか」がわかるように、選定理由や業務遂行能力も記載しておくことをオススメします。
(2)実施スケジュール
基準年度(補助事業実施年度)のスケジュールを記載しておきましょう。
ガントチャートなどで内容を整理して、いつ何を行うのかを明確に記載しましょう。
1〜5年目のスケジュールは、「将来の展望」のパートの「事業化の見込み・目標時期」で記載しますが、わかりやすく伝えるためにここでも記載するのも良いかと思います。柔軟に対応してください。
▶︎(記入例)ガントチャートや表を有効活用しましょう
(3)資金調達計画
再構築のために必要な資金をどのように工面するかを記載する項目です。
以下の内容を記載しておきましょう。
資金調達計画に記載すること
- 自己資金と借入金の内訳
- 資金を調達先の金融機関名(支店名・各行からいくらずつ等)
- 金融機関との調整状況(すでに必要資金を調達済み、事業計画を説明済み等)
簡単な記載例を載せておきます。
▶︎資金調達計画の記載例
再構築への総投資額●●●円のうち▲▲▲万円は自己資金、■■■万円は銀行借入で対応する。借入先の○○○銀行(△△△支店)の担当者には計画を説明しており、資金調達も相談済みである。交付決定後に速やかに借入を行う予定である。
*貴社の状況に合わせて記載しましょう
資金調達の準備がどれくらい進んでいるのかを丁寧に説明してください。
▶︎債務超過・現預金僅少の場合
事業再構築補助金の申請では決算書を提出しますので、審査員は直近の財務状況を把握した上で事業計画書を審査します。
当然ながら、直近の財務内容が債務超過や現預金僅少であれば、審査は厳しくなります。
債務超過や現預金僅少で多額の投資を計画しているのなら、資金繰りに問題がない理由について審査員の納得を得られるように、丁寧な説明を心がけてください。
決して簡単ではありませんが、債務超過・現預金僅少でも補助金に採択された例はあります。
本気で補助金申請を検討していて、お困りの挑経営者様はご相談ください。
(4)収益計画
収益計画の数字は、申請枠や再構築の類型などによって達成すべき売上高の構成比・付加価値額の伸び率、目標とする給与支給総額などが異なります。
必ず公募要領を確認して、達成すべき数値に見合う収益計画を作成しましょう。
収益計画表は、補助金公式サイトの「電子申請入力項目(Word)」に掲載されているものをアレンジして作成すると良いと思います。
収益計画表が掲載されている場所
(※掲載場所は変わることがあります)
▶収益計画のフォーマット
事業類型によってフォーマットが異なります。貴社が申請する事業類型のフォーマットを活用しましょう。
※事業類型について
事業類型A・・・成長分野進出枠(通常類型)
事業類型B・・・成長分野進出枠(GX 進出類型)
事業類型C・・・コロナ回復加速化枠(通常類型)
事業類型D・・・コロナ回復加速化枠(最低賃金類型)
事業類型E・・・サプライチェーン強靱化枠
上乗せ措置F・・・卒業促進上乗せ措置
上乗せ措置G・・・中長期大規模賃金引上促進上乗せ措置
事業類型C・Dの場合
事業類型A・Bの場合
補助率引き上げを申請する場合
▶︎(記入例)計画内容に合わせて収益計画表を改良する
公式サイトに掲載されている上記の表だと「新規事業のみの収益数値」がパッと見ただけではわかりません。ですので、少し表を改良すると良いでしょう。
私は下記の2種類の収益計画表を作成して入れています。ご参考まで。
- 全体の収益計画表(新規事業+既存事業)
- 新規事業のみの収益計画表
全体の収益計画表(新規事業+既存事業)
※給与支給総額の行は不要であれば削除
新規事業のみの収益計画表
※上記の全体の収益計画表から新規事業の数値だけを抜き出したものです。
「基準年度」と「直近の決算年度」の考え方も軽く解説します。勘違いしている方も多いので注意してくださいね。
基準年度・直近の決算年度の考え方
- 直近の決算年度:申請時点で申告書を提出している直近年度
- 基準年度(補助事業終了年度):実績報告書(事業に要する経費の支払完了)の提出日が属する、事業者の決算年度
▶︎直近の決算年度、基準年度の例
- 補助金を申請する会社の決算期:3月
- 補助金を申請する年月:2023年9月
- 補助金で行う新規事業(補助事業)の投資・実績報告が終わる時期:2024年7月
→直近の決算年度:2023年3月期
→基準年度:2025年3月期
基準年度を間違えると、1年目〜5年目の年度もズレます。注意しましょう。
(5)売上高の算出根拠
上記の収益計画について詳しく説明する項目です。
「売上高の算出根拠」=「なぜその売上高になるかの説明」です。
売上高の算出根拠では、既存事業・新規事業それぞれの売上高(売上推移)について説明しておくと親切ですね。
順番に解説します。
(1)既存事業の売上高の算出根拠ついて
基準年度(補助事業実施年度)から3〜5年目の既存事業の売上高(売上推移)について、「なぜその売上高になるのか」を説明しましょう。
メインは新規事業ですから、軽く説明するくらいで大丈夫です。
記載イメージが湧かない方のために、記載例を載せておきます。ご参考まで。
▶︎既存事業の売上高算出根拠の記載例
- 既存事業の売上高については、新規事業との相乗効果によって徐々に新規顧客獲得が見込まれるため、緩やかな増収になる想定で算出した
- 既存事業の売上高については、当面はコロナの影響で横ばい程度、3年目頃から緩やかに回復する想定で算出した
「横ばい」「増加傾向」「減少傾向」となる”理由”も説明しておきましょう。
(2)新規事業の売上高の算出根拠について
新規事業の売上高算出根拠は、以下の2ステップで書いていきましょう。
- 売上目標の切り口を考える
- 売上目標の算出根拠を書く
▶︎売上目標の切り口を考える
売上目標を考える時は、まず売上高の「切り口」を考えましょう。
切り口とは、例えば以下のようなものです。
売上目標はこのような切り口で考える
- 製品別、サービス別
- 単価×数量
- 客単価×席数×回転数×営業日数
- 既存顧客・新規顧客別
- 1㎡(または1坪)当たりの売上高×売場面積
- 設備の生産能力×設備数
- 従業者1人当たり売上高 × 従業者数 など
「5年目で1億(キリがいい数字だし!)」なんて漠然と考えるのはダメですよ。
新規事業の業種や特性を考慮して、どのような切り口で売上目標を立てたら良いか考え、説明してください。
▶︎売上目標の算出根拠を書く
売上高の切り口を考えたら、基準年度から5年目の売上高の算出根拠を説明しましょう。
「算出根拠」=「どのように考えてその売上高になったのか(理由)」です。
先ほどの切り口を使うと、下記のような売上の説明ができるはずです。
▶︎基準年度:単価1,000円×個数1,000個=売上高1,000,000円
▶︎1年目:単価1,000円×個数2,000個=売上高2,000,000円
・
・
・
▶︎5年目:単価1,200円×個数5,000個=売上高6,000,000円
さらに、
- なぜ基準年度から1年目で個数は1,000個増えるか
- 基準年度から1年目で本当に個数は1,000個も増えるか
- なぜ5年目は単価が200円アップなのか
のような、年度によって価格や販売数量が変化していく理由も説明しておく必要があります。
販売個数が増えたり、単価が上がる理由は、
- 広告宣伝やマーケティング
- リピータ獲得策
- 顧客単価アップ策
- 商品・サービスの追加・改良予定(それに伴う単価アップ)
など、さまざまな理由があるはずです。
さらには、ひとくちに広告宣伝や顧客単価アップ策と言っても、1年目〜5年目の各年度で内容も変化するはずです。
各施策の具体的な内容や年度ごとの施策の変化も説明し、各年度の売上高、売上の伸び具合に説得力を持たせてください。
表でまとめる場合のイメージをご紹介しておきます。ご参考まで。
▶︎(記入例)私は以下のような表でまとめて説明することが多いです
表はパターンA・Bの2種類ご紹介します。この表を使う場合は、貴社の新規事業にあわせて項目を工夫しましょう。
(6)付加価値額の算出根拠
事業再構築補助金の付加価値額は下記の項目を足した数字です。
事業再構築補助金の付加価値額
付加価値額=営業利益+人件費+減価償却費
「営業利益」「人件費」「減価償却費」それぞれが「なぜその数字になるのか」を説明することで、付加価値額の説明ができますね。
それぞれの項目を記載する時のポイントをお伝えします。
(1)営業利益
売上原価や粗利率、販管費の内訳、増減理由などから、なぜその営業利益になるのかを説明しましょう。
記載例を載せておきます。ご参考まで。
記載例
- 売上原価には●●●と△△△が含まれ、原価率は約30%、粗利率は約70%の想定で算出した
- 1年目〜5年目の販管費には家賃●●●万円、水道光熱費●●●万円、交通費●●●万を計上。基準年度はこの年間経費3ヶ月分に加え、広告宣伝費●●●万円を一括で計上した
(2)人件費・給与支給総額の算出根拠
基準年度から5年目までの正社員、パート・アルバイト別の給与、人員数などから、「なぜその人件費になるのか」を説明しましょう。
ここは表+文章で説明すると良いでしょう。
▶︎(記入例)私は以下のような表を入れることが多いです
賃上げや給与支給総額増加が必要な申請枠・加点で応募するなら、いつどれだけ賃上げをするのかや、給与総額を記載しておく必要があるでしょう。
記載例の表の項目を細かくしたり、文章で詳細を説明するなど工夫してください。
(3)減価償却費
償却方法(定額法/定率法)、償却年数、各年度の償却額を記載しておきましょう。
既存事業の減価償却費、新規事業の減価償却費の内訳もわかると良いですね。
記載例をご紹介しておきます。ご参考まで。
記載例
既存事業の減価償却費には各年度●●●円を計上。新規事業の減価償却は建物●●●円を△年の定額法で算出。基準年度は使用開始から3ヶ月分の●●●円を計上。以後は毎年●●●円ずつ償却する計画。
「4:収益計画」に記載する7項目の書き方を解説しました。
書き方のコツ、記載例、表でのまとめ方もご紹介してきましたが、記載例をそのまま使うだけでは上手くはいきません。
貴社が行う事業の実態にあわせて、切り口や項目を工夫できるかどうかが成功のポイントです。
「自社の事業だったらどう表現すれば良いか」
「どのように記載すれば、自社の事業の良さが正しく伝わるか」
このように考えて、ベストな事業計画書を作成してください。
「うちは事業計画書をどう書けばいい?」
「改善点や書き方をアドバイスしてほしい」
そんなお悩みをお持ちの方はご相談ください。お力になります。
【補助金の審査突破をサポートします】
- 採択率を劇的に高める事業計画書の作成・添削
- 申請準備から補助金入金までトータルサポートも可能
- 7,000社超の審査実績による確かな支援力
[フルサポートと事業計画書の添削のみ、目的に応じた2コース制]
貴社が補助金に採択され、事業がますます発展されることを心からお祈りしています。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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