ごのような疑問にお答えします。
長らく続いてきた国によるコロナ資金繰り支援が2024年6月で終了となりました。
一部施策は12月末まで延長されましたが、国のコロナ資金繰り支援は収束に向かっています。
「コロナ融資の返済猶予が必要」
「コロナ支援で資金を調達しておきたい」
このような経営者様は、金融機関に早めに相談することをおすすめします。
そこで本記事では、コロナ融資の借換や返済猶予で使える国の資金繰り支援策をご紹介します。
経営者様からのご相談でよくある国の資金繰り支援への誤解と真実についても解説しました。
(※誤解したままでは危険です!)
資金繰り改善が難しいと感じた場合の対処法もお伝えしています。
お見逃しのないようにご注意くださいね。
この記事を書いている私のこと
佐藤絵梨子/会社信用ドットコム代表
世界最大の企業情報を保有する (株)東京商工リサーチに入社後、個人から売上1兆円企業まで10年間で延べ7,000社以上を調査。商業登記簿から会社の信用度を見抜くほどになり、全国1,000人以上の調査員中、営業成績1位獲得の実績を誇る。2017年同社を退職。現在は大手企業との取引実現から銀行融資・補助金獲得まで支援するサービスを展開。小さな企業の救世主として期待されている。
*経済産業省認定 経営革新等支援機関(認定支援機関ID:107713006411)
国のコロナ資金繰り支援はいつまで?→2024年6月or12月
国によるコロナ資金繰り支援が6月末で終了しました。
一部施策は12月末まで延長されましたが、
7月以降は経営改善や企業再生を強化し、資金を出す支援ではなく、再生を促す方向に支援の方針が変化しています。
コロナ融資の返済猶予や、追加の資金調達を考えているのであれば、早めに金融機関に相談しましょう。
コロナ融資の借換や返済猶予で使える国の資金繰り支援策
コロナ融資の借換や返済猶予で使える国の資金繰り支援策をご紹介します。
下の画像は経済産業省が発表している資料です。国の資金繰り支援策の全体像を確認しておきましょう。
2024年6月で終了したもの、12月まで延長されたものがあります。
それぞれの制度の詳細はリンク先の公式ページで確認してください。
新型コロナウイルス感染症特別貸付 ※現行制度は2024年6月まで!7月以降は条件変更
日本政策金融公庫の制度です。新型コロナウイルス感染症の影響で一時的に業況が悪化している事業者向けの融資になります。
制度自体は2024年7月以降も継続されますが、7月以降は条件が変わりました。
7月以降は特例金利△0.5%が廃止され、災害貸付金利を適用した上で2024年12月末まで延長されています。
7月以降の条件は、新規の設備融資資金は除く、5年貸付:中小事業:1.5% 国民事業:1.45%(24年6月時点の情報)となります。
売上減少率など、条件をよく確認してください。
新型コロナウイルス感染症特別貸付
制度概要 | 当初3年間は基準金利から0.5% 引き下げた融資制度 |
対象者 | コロナの影響で、売上が5%以上減少又は債務負担が重い者 |
制度詳細 | 低利上限(中小事業)4億円、(国民事業)6,000万円、貸付期間20年以内、据置期間最大5年(※7月以降は災害貸付金利を適用 (特例金利 (▲0.5%) を廃止) し 継続(制限あり) |
新型コロナ対策資本性劣後ローン ※2024年12月末まで!
日本政策金融公庫が、コロナの影響を受けている事業者向けに展開している融資です。
「借入を自己資本とみなす」特徴があるため、資金繰りの安定だけでなく、負債を増やさずに財務を強化する効果があります。
事業者にとってメリットが多い反面、融資の条件や審査は厳しい傾向があります。
2024年12月末まで申込期限が延長さました。
資本制劣後ローンの概要
制度概要 | 資産査定上「資本」とみなされ、民間金融機関の支援を促進する融資制度 |
対象者 | コロナの影響により、キャッシュフローが不足する企業 や一時的に財務状況が悪化したため企業再建等に取り組む企業 |
融資条件 | 中小企業事業15億円、国民生活事業7,200万円 |
コロナ資本性劣後ローンの申込時に提出する事業計画書として「早期経営改善計画」を活用することができます(※条件あり)
会社信用ドットコムでも「早期経営改善計画」の策定をサポートしています。必要であればご相談ください。
コロナ借換保証 ※2024年6月まで!
コロナ借換保証は、民間の金融機関からの既存借入(民間ゼロゼロ融資)を借り換えることができる融資制度です。
月々の返済額や保証料負担が軽減されるだけでなく、追加の運転資金も支援してもらうことが可能です。
申込み直前の売上や利益の減少率、セーフティネットの利用など、融資対象の条件をよく確認してください。
「経営行動計画書」の提出や、金融機関の伴走支援を受けるなどの条件もあります。
通常の申し込みは2024年6月末で終了しました。能登半島地震の影響が残る地域については、7月以降も3カ月ごとに見直しをしながら延長されています。
コロナ借換保証制度の概要
制度概要 | 民間ゼロゼロ融資等の保証付融資や新規資金需要にも対応する保証制度 |
対象者 | 売上または利益が5%以上減少した者であり、経営行動計画書を作成のもと、金融機関による継続的な伴走支援を受ける者 |
制度詳細 | 融資上限1億円、保証料0.2%等 、据置期間最大5年、100%保証の融資は100%保証で借換え可能 |
セーフティネット保証4号
自然災害等の突発的災害(新型コロナウイルスも含む)の発生によって、売上高等が減少している中小企業者を支援する認定制度です。
新型コロナウイルス感染症に係るセーフティネット保証4号は2024年6月末で終了しました。
セーフティネット保証4号の概要
制度概要 | 民間ゼロゼロ融資等の保証付融資や新規資金需要にも対応する保証制度 |
対象者 | ・指定地域において1年間以上継続して事業を行っていること。 ・災害の発生に起因して、当該災害の影響を受けた後、原則として最近1か月の売上高等が前年同月に比して20%以上減少しており、かつ、その後2か月を含む3か月間の売上高等が前年同期に比して20%以上減少することが見込まれること(※売上高等の減少について、市区町村長の認定が必要) |
制度詳細 | 100%保証、資金使途は借換に限定(借換資金に追加融資資金を加えることは可) |
保証限度額 | 一般保証とは別枠で2億8,000万円(※セーフティネット保証5号とは併用可だが、同じ枠になる) |
公庫融資借換特例制度
日本政策金融公庫から受けた融資の借り換えをする制度です。
日本政策金融公庫のコロナ融資を借り換える場合は、こちらの公庫融資借換特例制度を申し込むことになります。
下記のコロナ融資が借換の対象になります。
- 新型コロナウイルス感染症特別貸付
- 新型コロナウイルス感染症特別貸付
国の資金繰り支援策でよくある誤解
国のコロナ資金繰り支援についてのよくある誤解と真実をお伝えします。
誤解したままでは融資で思わぬ失敗をする危険性もあります。一度目を通してください。
必ず審査に通る
国のコロナ資金繰り支援でよくある誤解の1つ目は、必ず審査に通るという誤解です。
国の支援策だから、銀行は必ず新規融資や借換、返済猶予に応じてくれる!
残念ながら、それは間違いです。
コロナ感染拡大の真っ只中と現在では、環境が大きく変わりました。
銀行側も「とにかく資金繰り支援をしなければ」という考えではなく、貸すべき会社かどうか慎重に見極めて貸すという考えです。
資金繰りが厳しい事業者様の場合は、苦しい原因や再発防止策、返済予定を説明できなければ、融資に応じてもらえる可能性は極めて低いでしょう。
しっかり対策を立て、万全の準備をして融資交渉にのぞんでくださいね。
必要書類さえ出せば審査は通る
国のコロナ資金繰り支援でよくある誤解の2つ目は、必要書類さえ出せば審査は通るという誤解です。
書類は記載されている内容が大事です。
とくに事業計画書は、チェックされるポイントを見極めて、的確に記載することが必要です。
1つ目の誤解でもお伝えした、苦しい原因(融資や返済猶予が必要になった理由)や再発防止策、返済予定は融資担当者の納得を得られるものでなければなりません。
必要に応じて補足資料の用意も必要です。融資担当者から高評価を獲得する努力が求められます。
支援制度はまた延長される
国のコロナ資金繰り支援でよくある誤解の3つ目は、支援制度はまた延長されるという誤解です。
国のコロナ資金繰り支援はこれまでも何度か延長されてきました。「また延長されるかも!」と思われるのも無理はありませんね。
しかしながら、国は2024年6月末でコロナ資金繰り支援策の多くを終了しました。2024年7月以降は再生支援の方向に方針を切り替えています。
12月まで受付が延長されたコロナ資金繰り支援策も、いつまでも続くと考えるのは危険です。
もし利用を検討している支援策があるのなら、早めに融資担当者に相談や申込みをしましょう。
(※おそらく締切直前は相談や申込が集中し、思うように対応してもらえないと思います)
資金繰り改善が難しいと感じたら
- そもそも借換や資本性劣後ローンがよくわからない
- 自社に最適なコロナ資金繰り支援がわからない
- 我が社はコロナ資金繰り支援に申込むべきなのか?
- すでにコロナ融資を断られてしまった
このようなことでお困りの経営者様もいらっしゃると思います。
そんな時は、信頼できる専門家に相談することも検討してください
融資では、「どの融資制度を選ぶか」「どの順番・どのタイミングで申し込むか」という戦略も審査突破の決め手になります。
ご自身では万策尽きたと思っても、専門家が見れば解決策が残されていることもあります。
より専門性の高い救済策や、専門家のサポートで金融機関から融資が引き出しやすくなる制度も存在します。
専門家に相談することで、改善の選択肢を増やす効果が期待できるのです。
身近に信頼できる専門家がいない場合はご相談ください。お力になります。
繰り返しになりますが、コロナ資金繰りの支援策は2024年6月末に大半が終了し、一部12月末まで延長されたものも今後いつまで続くかわかりません。
支援策の利用を検討しているなら、タイミングを逃さないようにくれぐれもご注意ください。
貴社がコロナ資金繰り支援を上手く活用し、資金繰りを円滑に進められることを心より願っております。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。