元調査員の与信管理110番

元調査員流の与信管理術|『目』で見抜く!取引先現地確認で見る7つのポイント

2025年4月13日

元調査員流の与信管理術|『目』で見抜く!取引先現地確認で見る7つのポイント|会社信用ドットコム
すべての取引先を訪問してられないよ!悪い会社は話せばわかるし!

このような甘いお考えを吹き飛ばします。

電話やメール、FAXでしか取引先とやり取りしたことがない。実際に会ったこともなければ、相手企業に訪問したこともない。

このような取引先はありませんか?

元調査員として警告します。

これは、与信管理としては絶対NGです!

この記事を書いている私は、信用調査会社(株)東京商工リサーチで延べ7,000社以上を調査した元・調査員です。与信管理では全国1,000人の調査員中、営業成績1位を獲得した実績があります。

取引先の会社を『目』で見ると、『その取引先の本当の姿』が見えてきます。

本記事では、効果的に視覚情報を収集し、取引判断に活かすコツを解説しました。

私の調査員時代のビックリ実体験も少しだけご紹介しています。

ぜひ最後までお読みくださいね。

追伸:記事の中で『与信管理レベルチェックシート』を無料配布しています。

この記事を書いている私のプロフィール

佐藤絵梨子(さとうえりこ)
会社信用ドットコム代表・会社信用クリエイター

世界最大の企業情報を保有する (株)東京商工リサーチに入社後、個人から売上1兆円企業まで10年間で延べ7,000社以上を調査。商業登記簿から会社の信用度を見抜くほどになり、全国1,000人以上の調査員中、営業成績1位獲得の実績を誇る。2017年同社を退職。現在は大手企業との取引実現から銀行融資・補助金獲得まで支援するサービスを展開。小さな企業の救世主として期待されている。

*経済産業省認定 経営革新等支援機関(認定支援機関ID:107713006411

詳しいプロフィールはこちら

<メディア掲載情報>

SMBCグループの経営層向け会報誌『SMBCマネジメントプラス』2024年12月号
日本実業出版社『企業実務』2024年12月号 など

会社信用ドットコムメディア情報

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『目』で見る情報を制する者は与信管理を制す!

『目』で見る情報を制する者は与信管理を制す!|会社信用ドットコム

元調査員として断言します。

取引先の会社を実際に目で見る『現地確認』はとても大事です。

財務諸表やネット情報、相手との会話からは見えない「生の情報」をつかめるからです。実際に現地を見ると、想像と全く違う状況に驚くことも少なくありません。

例えば、ホームページでは立派そうな会社が、訪問してみると在庫が山積みで暗い雰囲気…。逆に、控えめな印象だった会社が実際は整理整頓された立派な自社ビルで顧客が絶えない…など。

目で見るだけで印象が180度変わることもあります。

「違和感」や「安心感」は会話や資料、数字だけではわかりません。

東京商工リサーチや帝国データバンクなどの信用調査会社、銀行の融資担当者も現地確認を重視しています。

良い会社と取引したいなら、現地確認は必須です。『目』から得た情報が与信管理を制します。

 

与信管理の取引先現地確認で見る7つのチェックポイント

与信管理の取引先現地確認で見る7つのチェックポイント|会社信用ドットコム

それでは、取引先の現地で『目』で確認すべきポイントを7つ、厳選してお伝えします。元調査員ならではの見方もお伝えしますので、しっかり確認してください。

 

社屋・設備の状態

与信管理の取引先現地確認で見るポイントの1つ目は、社屋・設備の状況です。

社屋や設備の状態を見ることで、その会社の経営状況や資金力、管理体制がわかります。

例えば、老朽化や整備不足が目立つ場合は、資金繰り悪化や経営の行き詰まりの可能性が考えられます。逆に、新規設備の導入や建物改装等を定期的・拡大方向で行っていれば、業績や資金繰りの好調ぶりが見て取れますね。

工場や倉庫の稼働状況などから経営状態を推測することもできます。

 

在庫管理の状況

与信管理の取引先現地確認で見るポイントの2つ目は、在庫管理の状況です。

商品や資材の置き方、保管状態を見れば、商品や製品がスムーズに売れているか、経営状況の好不調ぶりを推測できます。売上とのバランスを考慮した管理ができているかもうかがい知ることができますね。

過剰在庫や不良在庫と思われるものがあれば、販売不振も考えられます。資金繰りの健全性への懸念など、経営悪化の兆候がないか詳しく知っておく必要も出てくるでしょう。

 

現場の活気と従業員の様子

与信管理の取引先現地確認で見るポイントの3つ目は、現場の活気と従業員の様子です。

経営者は会社を守るために良いイメージを演出しようとしますが、従業員はそうとは限りません。経営状況や業績の好不調、組織が健全に動いているかは、従業員の働きぶりや職場の雰囲気に滲み出ることが多いです。

活気がなく士気が低い場合は、経営不振や内部問題を抱えているケースも多いです。従業員が生き生きと働いているか、社内外のコミュニケーションが活発かなど、目を凝らしてよく見てくださいね。

 

 5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)の実践度

与信管理の取引先現地確認で見るポイントの4つ目は、5Sが実践されているかです。

5Sというのは、整理・整頓・清掃・清潔・躾のことです。製造業でよく取り入れられ、経営の品質に繋がるとされている指標です。オフィスや工場の清潔さ、整理整頓の状態から経営者の管理能力や従業員の優秀さが見えてきます。

これは私も調査員時代から実感していますが、経営状況が良い会社は、間違いなくこの5Sが行き届いています。気をつけてよく見てくださいね。

 

来客対応の質と情報管理

与信管理の取引先現地確認で見るポイントの5つ目は、来客対応の質と情報管理です。

訪問時の受付対応や、重要情報の管理状況、書類の保管方法などからは、会社の管理体制を見て取ることができます。企業の信頼性やコンプライアンス意識、取引先への姿勢もわかりますね。

雑な対応、重要情報が無防備に放置されているような状態は、取引で重大な問題を生みかねません。その会社の本質が浮き彫りになるポイントなので、ぜひしっかり確認してください。

 

掲示物と情報共有の仕組み

与信管理の取引先現地確認で見るポイントの6つ目は、掲示物と情報共有の仕組みです。

必要な情報が整理され、社内で適切に情報共有される仕組みがなければ、重要な情報が伝わらず経営問題が発生する可能性が高まります。

組織運営のずさんさや管理体制の弱さも見て取れますね。社内のコミュニケーションが薄い、何かを社内一丸となって改善する組織力が弱い可能性もあります。

私がよく見ていたのは、工場やオフィスの壁面に掲示された業務カレンダー、品質目標、進捗管理ボード、朝礼用のホワイトボード、作業手順書やマニュアルが現場で実際に使用されている形跡(例:チェックリストの活用、手順書の配置など)などです。

どれも重要な視覚情報です。会社訪問時にはさりげなく目で確認しましょう。

 

取引先との関係性の痕跡

与信管理の取引先現地確認で見るポイントの7つ目は、取引先との関係性の痕跡です。

痕跡というのは、例えば、取引先からの表彰状、感謝状、カレンダーの有無、また商談スペースの使用頻度などですね。取引実績や営業活動の活発さ、外部との良好な関係性があるかを把握することができます。

一昔前だと、商談スペースの灰皿に溜まった吸い殻の多さから、取引先との関係性を読み取ることもありました。「たばこを吸いながら長い時間話せるだけの関係性の深い取引先があるんだな」のような可能性が考えられます。

今はオフィス環境も変わりましたが、そういった細かな痕跡から取引先との関係性の深さを読み取る視点は今でも大切です。

「お客様の来客に備えてトイレ清掃が行き届いている会社は良い会社」という話を聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれませんが、こういった話もバカにはできませんよ。

実際に私の経験からも、このような痕跡がある企業は取引先から大切にされていて、長期取引が多かったり、業績安定・好調な企業が多い印象があります。


以上、与信管理の取引先現地確認で見るポイントをお伝えしました。

こんなに沢山のことがわかるなんて!よく見てみます!

 

元調査員が遭遇!現地確認のビックリ体験

元調査員が遭遇した現地確認のビックリ体験|会社信用ドットコム

さて、このパートでは私が調査員時代の実体験をお伝えします。

決して特殊事例だけではありません。世の中には「あっ!」と驚く会社がたくさん存在しています。十分に注意してください。

 

所在地に会社がない!

最初のビックリ体験は、所在地とされる場所に会社がなかったことですね。

実はこれ、結構多いんです。新米調査員の頃はビックリしましたが、よく遭遇するうちにすっかり慣れたくらいです。

商業登記やホームページなどの情報更新の怠慢、住所移転を取引先に伝え忘れ、経営難による逃亡、なぜかどこで事業を行っているかわからないなど理由はさまざまです。

中小企業同士の取引では、こういったケースが意外と身近です。普通なら注文書や請求書、契約書などに住所が記載されるものですが、なじみの取引先だと書類をきちんと交わしていない経営者の方もいらっしゃるのではないでしょうか?

気づいたら自分が思っていた住所と取引先の実際の住所が違っていた…という話をよく耳にします。

とくに年に数回程度しか取引がない長年のなじみ先だと、「この間行った時と場所が違う」ということもありますね。移転していたのに連絡がなかったり、書類をよく確認していなかったりすることで起こるミスケースです。

他にも、経営状況が悪くなってきて、賃料の安い場所に拠点を変えて関係者に知らせずこそっと営業したり、拠点が定まらず点々とする性質の会社だったり。

そもそも詐欺会社ですぐ逃げるために点々としてるみたいな状況もあるので、気を付けたいですね。

 

ホームページ写真との違いに唖然

ホームページの写真と違いすぎて驚くこともあります。

写真の加工技術が進歩を続けていますから、多少良く見えるように"盛られる"ことはあるでしょう。でも、それにしてもこれは違う!と突っ込みたくなるケースもあります。

写真だと綺麗ですごそうな会社なのに、実際訪問したらボロボロだったとか、何年も前の新築時代の写真がずっと掲載されていて実際は改修が必要な状態だとか。相手の話ぶりや写真ではとても広そうな工場に見えたのに、実際は想像よりずっと小さかったとか。

現地を確認せず、良さそうと思って大きな取引額で取引していたら危険ですよね。

 

震えるほど治安が悪い

会社まわりの治安が悪くて印象がガラッと変わったケースもあります。

会社に着くまでの道のりのいたるところでガラの悪い人たちがたまっている場所があるとか、ゴミだらけだとか、周辺建物がスプレーの落書きばかりとか。

その会社だけでなく、入居するビルや周辺ビルに入居する会社・テナントの雰囲気が良くないということもあります。

「この場所で正常に会社運営ができる?」「取引先をここに呼べるだろうか(いや、この雰囲気なのだからあまり取引先は訪問してこない?)」と思うような場所に会社があるケースもあります。

ホームページや相手の話ぶりでは、爽やかで取引先もよく訪問してくれるイメージでしたが、実際に訪れてみるとそのイメージが一気に吹き飛ぶこともありました。

実際に見てみないと、会社の雰囲気はわからないものです。注意したいですね。


こんな事例もあるので、実際会社を見ずに取引先の良し悪しを判断するのはやまましょう。

必ず現地確認をするようにしてくださいね。
佐藤絵梨子

 

「思っていたのと違う」はよくある!

見てビックリ!「思っていたのと全然違う」はよくある!|会社信用ドットコム

1つ前のパートで私のビックリ体験をお伝えしました。

このような話をすると、「それは特殊な事例でしょ?」と言われることがありますが、程度の差はあれ、実際取引先に行ってみたら、思っていたのと全然違ったというケースは実はよくあります。

相手が良さそうなことばかり言っているから好調なんだと思っていたら、会社の雰囲気を見る限りではそうは見えなかった。逆であれば、むしろ取引を増やしていくことを検討する良い材料になりますが、良いと思っていたものが実は悪そうな場合は、取引可否や取引額の再検討もすべきでしょう。

良い会社だと思い込んでいて、契約書も交わしていない、経営状況もしっかり確認していない会社に限って、問題が起きて、回収不能やトラブル打開できないなどの状況になりやすいです。

繰り返しますが、実際に目で見ずに会社の良し悪しを判断するのは危険です。絶対に現地は目で見てください。

 

与信管理レベルチェックシート【無料配布】

あなたの会社は完璧?与信管理レベルチェックシート【無料配布】|会社信用ドットコム

安心・安全な取引がしたいなら、与信管理を万全にしておく必要があります。

そのお手伝いとして特別なチェックシートをご用意しました。『あなたの会社は完璧?与信管理レベルチェックシート』です。

チェックの数で現在の与信管理レベルがわかり、今後取るべき対策を見つけることができます。

私の与信管理セミナーや個別コンサルティングで使用している“実戦仕様”の一品。

個人事業主から売上1兆円企業まで、10年間で延べ7,000社以上の調査経験と、与信管理のノウハウをつめ込みました。

毎日無料配布申込みが増えている人気のシートです。

ただし、無料配布はいつまで続けるかわかりません。必要とされる方は、いますぐ入手して保存をおすすめします。

下記フォームにお名前とメールを入力するだけで入手できます。

 

 

『目』で見る情報で与信管理を極める

『目』で見る情報で与信管理を極める|会社信用ドットコム

ここまで、与信管理の取引先現地確認で見るポイントをお伝えしました。

会社訪問や現地確認は、相手企業に行くだけでその会社の実態がわかるとても手軽な与信管理です。

調査員時代、大手企業の審査部などから、実際にその会社の現地に行った印象を聞かれるケースがありました。

大手企業のように取引先が多くなると、なかなかすべての会社の現地に行けないので、調査員がで見た生の情報を欲しがります。

しっかり与信管理をしたいから、現地のことを知りたいという表れです。それだけ、『目』で見た情報は貴重なんです。

安心安全な取引をするためにも、取引相手の状況確認は手を抜かず、ぜひ現地を確認してくださいね。

そして、現地確認から得た情報と、その他で相手から入手している情報や自社で調べた情報、必要に応じて信用調査会社などの外部入手情報とも組み合わせて、相手の良し悪しをしっかり見抜く『レベルの高い与信管理』を行っていってください。

みなさまの会社が与信管理で安心安全な取引基盤を築き、ますます発展されることを心から願っています。

本日も最後までお読みいただきありがとうございました。

 

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