
このような経営者様のお役に立つ情報をお届けします。
2024年から募集が始まった助成金『新たな事業環境に即応した経営展開サポート事業』。
じわじわと知名度や人気が高まり、2025年も予算アップで引き続き募集が行われることが決定している助成金です。
本記事では、この助成金申請をサポートした実体験とノウハウをもとに、助成金の概要をわかりやすく解説します。
この記事を書いている私は、本助成金で第3回以降、申請をサポートしてきた実績があります。
New!!→第8回(11/14締切)の申請をサポートさせていただいた2社の事業者様も、無事に書類審査と面談審査を通過し、採択されました。おめでとうございます!
申請支援の実体験から導き出した「対策すべきポイント」と「採択のための戦略」もご紹介しています。
ぜひ最後までお読みください。
第10回公募スケジュール
2024年の募集は令和7年3月14日(金)に終了しました。2025年の募集スケジュールは発表され次第、こちらに記載いたします。
新たな事業環境に即応した経営展開サポート事業とは?
新たな事業環境に即応した経営展開サポート事業は、ポストコロナ等における事業環境の変化を課題と捉え、これまで営んできた事業の深化又は発展に取り組む事業者を支援する助成金です。都内中小事業者の経営基盤を強化することを目的としています。
『これまで営んできた事業の質を高める取組』や『既存事業を基に新たな事業展開を図る取組』が対象です。
「東京都中小企業振興公社」(※公的機関です)が展開している助成金になります。
補助金の対象になる取り組み
補助金の対象になる既存事業の「深化」または「発展」につながる取り組みについて、詳細を確認しておきましょう。
対象になる取り組みの例
項目 | 取り組み内容 |
既存事業の「深化」 | 経営基盤の強化に向け、既に営んでいる事業自体の質を高めるための取組 ・高性能な機器、設備の導入等による競争力強化の取組 ・既存の商品やサービス等の品質向上の取組 ・高効率機器、省エネ機器の導入等による生産性の向上の取組 |
既存事業の「発展」 | 経営基盤の強化に向け、既に営んでいる事業を基に、新たな事業展開を図る取組 ・新たな商品、サービスの開発 ・商品、サービスの新たな提供方法の導入 ・その他、既存事業で得た知見等に基づく新たな取組 |

対象者・対象経費・補助金額
対象者・対象経費・補助経費も確認しておきましょう。
対象者・対象経費・補助金額
対象者 | ・東京都内で事業を行う中小企業者(個人事業主を含む) ・直近決算期の売上高が「2019 年の決算期以降いずれかの決算期」と比較して減少している、または直近決算期において損失を計上している中小企業者 |
補助対象期間 | 交付決定日から最大1年間 |
対象経費 | ●原材料・副資材費 ●機械装置・工具器具費 ●委託・外注費 ●産業財産権出願・導入費 ●規格等認証・登録費 ●設備等導入費 ●システム等導入費 ●専門家指導費 ●不動産賃借料 ●販売促進費 ●その他経費 ※委託・外注費のうち「市場調査費」「専門家指導費」「販売促進費」「その他経費」の単独の申請はできません。 ※販売促進費は、既存事業に係る販売促進については対象外となります。 |
補助上限額 | 800万円(補助率1/3以内) |
補助率 | 助成対象経費の3分の2以内 |
対象は東京都内で事業を行う事業者です。売上減少または損失計上という条件もあります。
その他の細かい条件は、助成金の公式サイトに掲載されています。募集要領も掲載されていますので、必ず目を通しておきましょう。
審査は書類・面接のニ段階
新たな事業環境に即応した経営展開サポート事業には、「書類審査」と「面接審査」の2つの審査があります。
書類審査で一定のレベルにあると認められると、面接審査に進むことができます。2つの審査を突破すると、晴れて採択・交付決定となります。
一次審査:書類審査 | 専門家による審査です。一定のレベルにあると認められると、面接審査に進むことができます。 |
二次審査:面接審査 | 申請書類の内容について専門家の面接審査が行われます。結果は面接実施から概ね1ヶ月以内に知らされます。 |
募集スケジュール
新たな事業環境に即応した経営展開サポート事業は2025年も募集される予定ですが、年間の募集予定はまだ発表されていません。
2024年は以下のスケジュールで毎月募集が行われましたが、一定以上の申請者が集まった場合、翌回の募集が中止されることも数回ありました。
予算や申請者数の状況によっては、毎月の募集ではなくなるケースや、12回より早く募集が終わる可能性があります。
申請するのであれば、早めのスケジュールで余裕を持って申請するようにしましょう。
募集スケジュール(※2024年のものですが参考まで)
募集回 | 申請受付期間 |
---|---|
第1回 | 令和6年4月1日から4月15日まで |
第2回 | 令和6年5月1日から5月15日まで |
第3回 | 令和6年6月3日から6月14日まで |
第4回 | 令和6年7月1日から7月12日まで |
第5回 | 令和6年8月1日から8月15日まで |
第6回 | 令和6年9月2日から |
第7回 | 令和6年10月1日から |
第8回 | 令和6年11月1日から11月14日 |
第9回(予定) | 令和7年1月6日から1月14日 |
第10回(予定) | 令和7年3月3日から3月14日 |
\本助成金の対象かどうか、確認をご希望の方はこちらからどうぞ/
新たな事業環境に即応した経営展開サポート事業の申請支援をした感想
当事務所「会社信用ドットコム」では、本助成金を申請する経営者様のサポートをさせていただいています。
この助成金は一筋縄ではいかない盲点や注意点が盛りだくさんです。
「ものづくり補助金や事業再構築補助金の申請経験があるから大丈夫!」
そうおっしゃっていた経営者様も、申請準備を進めていくうちに悩んでご相談に来られています。
これから申請するなら、採択に向けて真剣に戦略を立てておきましょう。

申請現場で導き出した『採択に必須の対策ポイント』
新たな事業環境に即応した経営展開サポート事業の申請支援をさせていただいて、
「これは盲点だった!」
「ここは戦略的に準備しないとダメだ!」
と感じた点から導き出した『採択に必須の対策すべきポイント』をご紹介します。
採択のために対策すべきポイント
- 受付期間のスケジュール死守
- 対象になる取り組みへの理解
- 事業計画の書き方攻略
- 事例や傾向の早期チェック
- ラスボス!面接対策
- 実はとても狭き門だと自覚せよ!
- 入金後の対策も必要
- 相談できる人を持て!
1つずつ補足しますね。
受付期間のスケジュール死守
採択に必須の対策ポイントの1つ目は、受付期間のスケジュール死守です。
現在、この助成金の申請受付期間は約1週間です。
うっかり申請期間を過ぎてしまわないように、情報収集とスケジュール管理はしっかりしておきましょう。
また、申請者が多い回の翌回は、急遽募集を取りやめることもありますので要注意です。
対象になる取り組みへの理解
採択に必須の対策ポイントの2つ目は、対象になる取り組みへの理解です。
対象になる取り組みは、
『既存事業の「深化」または「発展」につながる取り組み』です。
「深化」も「発展」も既存事業をベースにした取り組みですね。
既存事業と全く関係のない新規事業の立ち上げは対象にはなりません(※よく勘違いしている方がいます)。
補助金の公式サイトや募集要項には「対象外になる取り組み」についても説明があります。よく確認しておきましょう。
下記の取り組みは対象外です!
- 申請者が営んできた事業内容との関連性が薄い、又は全く無い取組
- 法令改正への対応など義務的な取組
- 単なる老朽設備の維持更新など、競争力や生産性の向上に寄与しない取組
事業計画の書き方攻略
採択に必須の対策ポイントの3つ目は、事業計画の書き方を攻略することです。
事業計画を入力する申請様式は、Excelファイルです。様式は必ず早めに確認してください。
事業計画書を作成する際は、審査項目を意識することも重要です。主な審査項目も確認しておきましょう。
主な審査項目
- 発展性:既存事業の深化・発展にどのようにつながるか
- 市場性:ポストコロナ等における事業環境の変化に対応しているか
- 実現性:計画を実行するための体制が整っているか
- 優秀性:創意工夫や今後の展望が明確か
- 自己分析力:自社の状況を適切に理解しているか
スペースに限りがあるので、審査項目に沿って記載するとともに、計画の良さが的確に伝わるように、重要なポイントに絞って事業計画書を作成する必要があります。
事業計画はしっかり時間を取って準備しましょう。
★審査突破のプロからひと言
申請様式の添削や書き方指導を行っていると、記載ルールを守っていなかったり、書くべき内容と実際の記載がズレていたりするケースが非常に多く見受けられます。中には「この一言で審査落ちするだろう」と思うほど、助成金の制度趣旨にそぐわない記載も少なくありません。必ず公式サイトや募集要項を確認し、制度の内容や審査基準、記載ルールをしっかり把握したうえで作成しましょう。
事例や傾向の早期チェック
採択に必須の対策ポイントの4つ目は、事例や傾向を早めにチェックすることです。
新たな事業環境に即応した経営展開サポート事業は、現時点では採択件数や採択企業は公表されていません。事例や傾向がわからないので、対策が立てづらいですね。
しかしながら、公式サイトや募集要項では、例えば、「深化」「発展」の取組例が掲載されていたりと、全く情報がないわけではありません。まずは公表されている資料をすべて確認することが重要です。
また、必要に応じて補助金に詳しい専門家に相談するのも一つの方法です。さらに、東京都の他の助成金の傾向を参考に対策を考えるのも有効でしょう。
ラスボス!面接対策
採択に必須の対策ポイントの5つ目は、面接対策です。
書類審査が通ったから安心!とはいきません。
詳細まで丁寧な審査が行われていますので、経営者様が事業計画を口頭でも的確に説明できるようにしておくことが必要です。
とくに以下の点に注意して準備することをおすすめします。
- プレゼンテーションの構成:限られた時間内で重要ポイントを簡潔に伝えられるよう、話の流れを工夫する
- 想定Q&Aの準備:申請様式に沿って質問されることを想定し、具体的な説明ができるよう準備する
- 熱意と自信の伝え方:実行可能性と将来性に信頼感を持たせることを意識し、事業に対する熱意を伝える
面接日のスケジュール確保もお忘れなく。
実はとても狭き門
採択に必須の対策ポイントの6つ目は、実はとても狭き門だと知っておくことです。
この助成金は、予算規模がそれほど大きくありません。
毎回数千件が採択されるような補助金とは異なり、採択件数は限られています。
「ものづくり補助金」や「事業再構築補助金」のような経済産業省系の大型補助金と同じだけの採択枠があると考えていたり、簡単に採択されると思っている経営者様は考えを改めましょう。
人気が高まっている助成金ですので、競争率も高めなはずです。
入金後の対策も必要
採択に必須の対策ポイントの7つ目は、入金後の対策です。
助成金獲得後も、以下の点に注意が必要です。
- 報告義務:定期的な進捗報告や最終報告書の提出が求められます。計画通りに事業が進んでいない場合も報告が必要です
- 経費の管理:助成対象となる経費を適切に管理し、証憑書類を提出・保管できるようにしておく必要があります
- 計画変更への対応:事業環境の変化等により計画変更が必要な場合は、速やかに相談しましょう
助成金の趣旨を理解し、入金後も適切な手続きが必要なことをお忘れなく。
相談できる人を持つ
採択に必須の対策ポイントの7つ目は、相談できる人を持っておくことです。
新たな事業環境に即応した経営展開サポート事業は、2024年に募集が始まったばかりの新しい助成金です。申請した事業者や申請を支援した専門家は、まだそれほど多くないでしょう。
ですが、少しずつ情報発信を行い、支援実績を積んでいる専門家も出てきています。
私もそうですが、申請支援の実績がある専門家には多くの相談が寄せられています。本気で対策を進めたい方は、「今回の申請分のサポートは締め切りました」となる前に、できるだけ早めに相談することをおすすめします。
また、この助成金に限定せず、さまざまな補助金の支援経験が豊富な専門家に相談するのもおすすめです。
というのも、補助金や助成金は数千種類あるとも言われており、特定の助成金の支援実績がなくても、その都度制度内容を理解し、柔軟に戦略を組み立てたり、他の専門家と情報共有しながら効果的な申請支援を行える優秀な専門家も数多くいるからです。
ですので、「この助成金の支援実績がある専門家」にこだわりすぎると、優れた専門家を見逃してしまいもったいないです。
専門家を探す際は、視野を広げ、柔軟に検討することも意識してみてくださいね。

審査突破のプロから大切なメッセージ
ここまで、「新たな事業環境に即応した経営展開サポート事業」について、実際に申請をサポートさせていただいた経験をもとにお伝えしてきました。
まだまだ情報の少ない助成金ですが、みなさまのお役に立つ情報はありましたでしょうか?
わかったと思って申請書類を作成し始めると、
「あれ、この項目はどう書けばいいんだろう?」
「この審査基準ならうちの計画の場合はどこを強調すべき?」
「枠を広げたり、画像やページを追加していい?」(←これよく聞かれます)
「申請書類は完璧に見える…やはり落ちたのは計画自体が悪い?」
など、さまざまな疑問や不安が出てくるのではないでしょうか。
毎月募集があるとはいえ、不採択や書類不備でもう1回申請する事態は避けたいですよね。
再申請の分、設備投資のスケジュールが後ろにズレるのはつらいはずです。早く投資を始めたいのは当然です!
不採択になれば、精神的なダメージも決して小さくありません。
だからといって、補助金にあわせた計画にしたり、やりましない・実現できない計画で採択されようとするのは危険ですよ。
仮に補助金を獲得できたとしても、その計画が自社の強みとマッチしていなかったら。
その計画で進めた結果、集客できなかったり、思うような収益が出なかったら。
無理のある計画で採択されてしまって、補助金を受け取るまでの資金繰りが苦しくなってしまったら。
みなさまの大切な会社が、補助金をきっかけに危険に晒されるのは本末転倒です!
どうぞ、目先の資金調達を重視するのではなく、まず自社にとってその将来計画が最良かを真剣に考え抜くことを大切にしてください。
そこからさらに、審査突破に関することでアドバイスやサポートを必要とされることがあれば、お一人で悩まず、どうぞお気軽にご相談ください。
初回無料相談も好評受付中です!
みなさまの会社が、補助金を獲得し、末長く発展を続けられることを心から応援しています。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。
【無料診断】あなたは新たな事業環境に即応する経営展開サポート事業の対象?採択可能性は?

新たな事業環境に即応した経営展開サポート事業は、人気も高く、書類・面接ともに審査を通過できなかったというご相談をよく頂戴します。
内容を確認させていただくと、そもそもこの助成金が最適か、他に選択肢はないかなど、補助金の検討段階でつまづいている事業者様も少なくありません。
会社信用ドットコムでは、サポートをさせていただく前に事業者様が「助成金の対象になるか」を診断しています。
補助金の対象か確認したい方は、下記のフォームに必要事項をご入力の上、お送りください。
内容を確認し、こちらからメールで回答させていただきます。