
このような経営者様のお役に立つ情報をお届けします。
令和6年度から募集が始まった補助金制度『事業環境変化に対応した経営基盤強化事業』。
令和7年度も予算アップやリニューアルを経て、引き続き募集が行われることが決定しました。
令和6年度は「新たな事業環境に即応した経営展開サポート事業」という名称でしたが、令和7年度からは「事業環境変化に対応した経営基盤強化事業」に名称が変わっています。
この記事を書いている私は、企業信用調査会社(株)東京商工リサーチで10年間で7,000社以上を調査した元・調査員です。現在は企業審査の目を活かし、補助金や融資の「審査突破」をサポートしています。
本補助金では、令和6年度からずっと申請をサポートしてきた実績があります。
New!!→第8回(令和6年11月14日締切)の申請をサポートさせていただいた2社の事業者様も書類・面談審査を通過し、採択されました。おめでとうございます!
本記事では、この補助金申請をサポートした実体験をもとに「対策すべきポイント」と「採択のための戦略」を解説しています。
ぜひ最後までお読みください。
追伸:記事の中で『補助金の採択思考チェックシート』を無料配布しています。
事業環境変化に対応した経営基盤強化事業とは?
事業環境変化に対応した経営基盤強化事業は、ポストコロナ等における事業環境の変化を課題と捉え、対応策として、創意工夫のもとこれまで営んできた事業の「深化」又は「発展」に取り組む事業者を支援する補助金です。取組が経営基盤の強化につながると認められた場合、取組に必要な経費の一部が補助されます。 『一般コース』と『小規模事業者向けアシストコース』の2つのコースから最適なコースを選んで申請します。
公的機関である「東京都中小企業振興公社」が展開している補助金制度です。
コロナ後の需要回復や消費者ニーズの変化、エネルギーや原材料価格・人件費の高騰など、中小企業を取り巻く課題や事業環境の変化に対して、『これまで営んできた事業の質を高める取組』や『既存事業を基に新たな事業展開を図る取組』が対象になります。
『一般コース』と『小規模事業者向けアシストコース』の2つのコースがあります。
対象者や対象経費、補助金額等を確認し、最適なコースで申請しましょう。
補助金の対象になる取り組み
補助制度の対象になる既存事業の「深化」または「発展」につながる取り組みについて、詳細を確認しておきましょう。
対象になる取り組みの例
項目 | 取り組み内容 |
既存事業の「深化」 | 経営基盤の強化に向け、既に営んでいる事業自体の質を高めるための取組 ・高性能な機器、設備の導入等による競争力強化の取組 ・既存の商品やサービス等の品質向上の取組 ・高効率機器、省エネ機器の導入等による生産性の向上の取組 |
既存事業の「発展」 | 経営基盤の強化に向け、既に営んでいる事業を基に、新たな事業展開を図る取組 ・新たな商品、サービスの開発 ・商品、サービスの新たな提供方法の導入 ・その他、既存事業で得た知見等に基づく新たな取組 |

要注意!対象外の取組について
以下の取組は対象外です。注意しましょう!
- 申請者が営んできた事業内容との関連性が薄い、又は全く無い取組
- 法令改正への対応など、義務的な取組
- 単なる老朽設備の維持更新など、競争力や生産性の向上に寄与しない取組
対象者・対象経費・補助金額
対象者・対象経費・補助金額も確認しておきましょう。
一般コース
対象者 | 以下いずれかに該当する都内中小企業、小規模企業等 ① 直近決算期の売上高が「2023 年の決算期」と比較して減少 ② 直近決算期において損失を計上 ③ 米国関税措置の影響を受けている又は受ける見込みがある企業 |
補助対象期間 | 交付決定日から1年間 |
対象経費 | ●原材料・副資材費 ●機械装置・工具器具費 ●委託・外注費 ●産業財産権出願・導入費 ●規格等認証・登録費 ●設備等導入費 ●システム等導入費 ●専門家指導費 ●不動産賃借料 ●販売促進費 ●その他経費 ※委託・外注費のうち「市場調査費」「専門家指導費」「販売促進費」「その他経費」の単独の申請はできません。 ※販売促進費は、既存事業に係る販売促進については対象外となります。 |
補助上限額 | 800万円 |
補助率 | 助成対象経費の3分の2以内 ※賃金引上げ計画を策定し実施した事業者:4分の3以内(うち、小規模事業者は5分の4以内) |
小規模事業者向けアシストコース
対象者 | 以下いずれかに該当する都内小規模企業等 ① 直近決算期の売上高が「2023 年の決算期」と比較して減少 ② 直近決算期において損失を計上 |
補助対象期間 | 交付決定日から1年間 |
対象経費 | ●機械装置・工具器具費 ●設備等導入費 ●システム等導入費 |
補助上限額 | 200万円 |
補助率 | 助成対象経費の3分の2以内 ※賃金引上げ計画を策定し実施した事業者:5分の4以内 |
対象は東京都内で事業を行う事業者です。売上高の減少や損失計上という条件もあります。
その他の細かい条件は、公式サイトや募集要項に掲載されていますので確認しておきましょう。
審査は書類・面接のニ段階
事業環境変化に対応した経営基盤強化事業には、「書類審査」と「面接審査」の2つの審査があります。
書類審査で一定のレベルにあると認められると、面接審査に進むことができます。2つの審査を突破すると、晴れて採択・交付決定(※)となります。
一次審査:書類審査 | 専門家による審査です。一定のレベルにあると認められると、面接審査に進むことができます。書類審査の結果は申請から概ね2ヶ月程度で知らされます。 |
二次審査:面接審査 | 申請書類の内容にもとづいて専門家の面接審査が行われます。面接審査の結果は、書類審査の結果後、概ね2ヶ月程度でお知らされます。 |
【用語解説】
※交付決定:補助金を受けるために、事業を実施してよいと認められ、その通知を受けた段階です。ただし、交付決定が出ても、補助金が確実にもらえるわけではありません。事業を実施し、必要な完了報告等を行った後に、最終的な審査を通過してはじめて補助金が支給されます。
一般的には、採択・不採択の結果が出た後、この交付決定の通知を受ける流れになります。
募集スケジュール
2か月毎に募集が行われるスケジュールです。
一般コースのスケジュール
募集回 | 申請受付期間 |
---|---|
第1回 | 令和7年5月2日から5月14日まで |
第2回(予定) | 令和7年7月1日から7月14日まで |
第3回(予定) | 令和7年9月1日から9月12日まで |
第4回(予定) | 令和7年11月4日から11月14日まで |
第5回(予定) | 令和8年1月5日から1月14日まで |
第6回(予定) | 令和8年3月2日から3月13日まで |
小規模事業者向けアシストコースのスケジュール
募集回 | 申請受付期間 |
---|---|
第1回 | 令和7年6月2日から6月13日まで |
第2回(予定) | 令和7年8月1日から8月14日まで |
第3回(予定) | 令和7年10月1日から10月14日まで |
第4回(予定) | 令和7年12月1日から12月12日まで |
第5回(予定) | 令和8年2月2日から2月13日まで |
以下のように年間スケジュールが発表されていますが、令和6年度は、応募者多数の場合は翌回の募集がスキップ(中止)されるケースがありました。
スケジュールに余裕を持って申請することをおすすめします。
申請から入金までの流れも確認しておきましょう。
「採択可能性があるか」「この補助金が最適か」診断やサポートを必要とされる方は、補助金相談がお役に立ちます。お気軽にご相談ください。
事業環境変化に対応した経営基盤強化事業の申請支援をした感想
当事務所「会社信用ドットコム」では、本補助金を申請する経営者様のサポートをさせていただいています。
事業環境変化に対応した経営基盤強化事業(旧:新たな事業環境に即応した経営展開サポート事業)も、令和6年度の開始直後からサポートをしていますが、この補助金は一筋縄ではいかない盲点や注意点が盛りだくさんです。
「ものづくり補助金や事業再構築補助金の申請経験があるから大丈夫!」
そうおっしゃっていた経営者様も、申請準備を進めていくうちに悩んで、よくご相談に来られますね。
これから申請を考えているのなら、採択や補助金受け取りに向けて真剣に戦略を立てておきましょう。

申請現場で導き出した『採択に必須の対策ポイント』
事業環境変化に対応した経営基盤強化事業の申請支援をさせていただいて、
「これは盲点だった!」
「ここは戦略的に準備しないとダメだ!」
と感じた点から導き出した『採択に必須の対策すべきポイント』をご紹介します。
採択のために対策すべきポイント
- 受付期間のスケジュール死守
- 対象になる取り組みへの理解
- 事業計画の書き方攻略
- 事例や傾向の早期チェック
- ラスボス!面接対策
- 実はとても狭き門だと自覚せよ!
- 入金後の対策も必要
- 相談できる人を持て!
1つずつ補足しますね。
受付期間のスケジュール死守
採択に必須の対策ポイントの1つ目は、受付期間のスケジュール死守です。
事業環境変化に対応した経営基盤強化事業の申請受付期間は約2週間です。
うっかり申請期間を過ぎてしまわないように、情報収集とスケジュール管理はしっかりしておきましょう。
令和6年度は、申請者が多い募集回の翌回は急遽募集を取りやめることもありましたので、スケジュールの変更には要注意です。
対象になる取り組みへの理解
採択に必須の対策ポイントの2つ目は、対象になる取り組みへの理解です。
対象になる取り組みは、
『既存事業の「深化」または「発展」につながる取り組み』です。
「深化」も「発展」も既存事業をベースにした取り組みですね。
既存事業と全く関係のない新規事業の立ち上げは対象にはなりません(※よく勘違いしている方がいます)。
補助金の公式サイトや募集要項には「対象外になる取り組み」についても説明があります。よく確認しておきましょう。
下記の取り組みは対象外です!
- 申請者が営んできた事業内容との関連性が薄い、又は全く無い取組
- 法令改正への対応など義務的な取組
- 単なる老朽設備の維持更新など、競争力や生産性の向上に寄与しない取組
事業計画の書き方攻略
採択に必須の対策ポイントの3つ目は、事業計画の書き方を攻略することです。
事業計画を入力する申請様式は、Excelファイルです。様式は必ず早めに確認してください。
事業計画書を作成する際は、審査項目を意識することも重要です。主な審査項目も確認しておきましょう。
主な審査項目
- 発展性:既存事業の深化・発展にどのようにつながるか
- 市場性:ポストコロナ等における事業環境の変化に対応しているか
- 実現性:計画を実行するための体制が整っているか
- 優秀性:創意工夫や今後の展望が明確か
- 自己分析力:自社の状況を適切に理解しているか
スペースに限りがあるので、審査項目に沿って記載するとともに、計画の良さが的確に伝わるように、重要なポイントに絞って事業計画書を作成する必要があります。
事業計画はしっかり時間を取って準備しましょう。
★審査突破のプロからひと言
申請様式の添削や書き方指導を行っていると、記載ルールを守っていなかったり、書くべき内容と実際の記載がズレていたりするケースが非常に多く見受けられます。中には「この一言で審査落ちするだろう」と思うほど、補助金の制度趣旨にそぐわない記載も少なくありません。必ず公式サイトや募集要項を確認し、制度の内容や審査基準、記載ルールをしっかり把握したうえで作成しましょう。
事例や傾向の早期チェック
採択に必須の対策ポイントの4つ目は、事例や傾向を早めにチェックすることです。
事業環境変化に対応した経営基盤強化事業は、現時点では採択件数や採択企業は公表されていません。事例や傾向がわからないので、対策が立てづらいですね。
しかしながら、公式サイトや募集要項では、例えば、「深化」「発展」の取組例が掲載されていたりと、全く情報がないわけではありません。まずは公表されている資料をすべて確認することが重要です。
また、必要に応じて補助金に詳しい専門家に相談するのも一つの方法です。さらに、東京都の他の補助金の傾向を参考に対策を考えるのも有効でしょう。
ラスボス!面接対策
採択に必須の対策ポイントの5つ目は、面接対策です。
書類審査が通ったから安心!とはいきません。
詳細まで丁寧な審査が行われていますので、経営者様が事業計画を口頭でも的確に説明できるようにしておくことが必要です。
とくに以下の点に注意して準備することをおすすめします。
- プレゼンテーションの構成:限られた時間内で重要ポイントを簡潔に伝えられるよう、話の流れを工夫する
- 想定Q&Aの準備:申請様式に沿って質問されることを想定し、具体的な説明ができるよう準備する
- 熱意と自信の伝え方:実行可能性と将来性に信頼感を持たせることを意識し、事業に対する熱意を伝える
面接日のスケジュール確保もお忘れなく。
実はとても狭き門
採択に必須の対策ポイントの6つ目は、実はとても狭き門だと知っておくことです。
この補助金は、予算規模がそれほど大きくありません。
毎回数千件が採択されるような補助金とは異なり、採択件数は限られています。
「ものづくり補助金」や「事業再構築補助金」のような経済産業省系の大型補助金と同じだけの採択枠があると考えていたり、簡単に採択されると思っている経営者様は考えを改めましょう。
人気が高まっている補助金ですので、競争率も高めなはずです。
入金後の対策も必要
採択に必須の対策ポイントの7つ目は、入金後の対策です。
補助金獲得後も、以下の点に注意が必要です。
- 報告義務:定期的な進捗報告や最終報告書の提出が求められます。計画通りに事業が進んでいない場合も報告が必要です
- 経費の管理:助成対象となる経費を適切に管理し、証憑書類を提出・保管できるようにしておく必要があります
- 計画変更への対応:事業環境の変化等により計画変更が必要な場合は、速やかに相談しましょう
補助金の趣旨を理解し、入金後も適切な手続きが必要なことをお忘れなく。
相談できる人を持つ
採択に必須の対策ポイントの7つ目は、相談できる人を持っておくことです。
事業環境変化に対応した経営基盤強化事業は、令和6年度に募集が始まったばかりの新しい補助金です。申請した事業者や申請を支援した専門家は、まだそれほど多くないでしょう。
ですが、少しずつ情報発信を行い、支援実績を積んでいる専門家も出てきています。
私もそうですが、申請支援の実績がある専門家には多くの相談が寄せられています。本気で対策を進めたい方は、「今回の申請分のサポートは締め切りました」となる前に、できるだけ早めに相談することをおすすめします。
また、この補助金に限定せず、さまざまな補助金の支援経験が豊富な専門家に相談するのもおすすめです。
というのも、補助金や補助金は数千種類あるとも言われており、特定の補助金の支援実績がなくても、その都度制度内容を理解し、柔軟に戦略を組み立てたり、他の専門家と情報共有しながら効果的な申請支援を行える優秀な専門家も数多くいるからです。
ですので、「この補助金の支援実績がある専門家」にこだわりすぎると、優れた専門家を見逃してしまいもったいないです。
専門家を探す際は、視野を広げ、柔軟に検討することも意識してみてくださいね。

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実際に申請支援をする専門家から大切なメッセージ
ここまで、「事業環境変化に対応した経営基盤強化事業」について、実際に申請をサポートさせていただいている経験をもとにお伝えしてきました。
まだ募集開始から1年を経たばかりで情報や採択事例も少ない補助金ですが、みなさまのお役に立つ情報はありましたでしょうか?
いざ申請書類を作成し始めると、
「この項目はどう書けばいいんだろう?」
「うちの計画はどこをアピールすべき?」
「申請書類は完璧…不採択になったのは計画が悪い?」
など、さまざまな疑問が出てくるはずです。
補助金計画が、自社の将来にとって最良か、を何度も見直す必要も出てくるでしょう。
準備・検討すべきことはたくさんあります。早めに申請準備を進めてくださいね。
みなさまが補助金を獲得し、末長く事業発展を続けられることを心から応援しています。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。
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