このような疑問にお答えします。
会社の歴史や技術・想いを次の世代につないでいく事業承継。
事業を譲り渡す現・経営者も、事業を引き継ぐ新・経営者も、どちらも納得できる形でスムーズに進めていきたいものですよね。
そんな事業承継に最適なのが事業承継・引継ぎ補助金です。
どのような補助金なのか?難易度は?確実にもらうコツは?
本記事をお読みいただくと、このような疑問が解消されます。
最初にお伝えすると、事業承継・引継ぎ補助金の難易度はやや高めです。
ただし、事業承継で必要になる幅広い経費がもらえるとても使える補助金です。
確実にもらう申請のコツも解説しています。
ぜひ最後までお読みくださいね。
この記事を書いている私のこと
佐藤絵梨子/会社信用ドットコム代表
世界最大の企業情報を保有する (株)東京商工リサーチに入社後、個人から売上1兆円企業まで10年間で延べ7,000社以上を調査。商業登記簿から会社の信用度を見抜くほどになり、全国1,000人以上の調査員中、営業成績1位獲得の実績を誇る。2017年同社を退職。現在は大手企業との取引実現から銀行融資・補助金獲得まで支援するサービスを展開。小さな企業の救世主として期待されている。
*経済産業省認定 経営革新等支援機関(認定支援機関ID:107713006411)
事業承継・引継ぎ補助金とは?
事業承継・引継ぎ補助金を簡単に説明します(※30秒で読めます)。
事業承継・引継ぎ補助金とは、事業承継やM&A、廃業をきっかけとして行われる新しい取り組みや、経営資源の引き継ぎを支援してくれる補助金です。
「①経営革新事業」「②専門家活用事業」「③廃業・再チャレンジ事業」という3つの申請類型があります。
申請類型によっては、経済産業省が認定する経営革新等支援機関(※事業計画策定を支援する中小企業支援者)に相談をして、共に事業計画を考える必要もあります。
対象経費・補助率・上限額は以下のとおり。
申請類型・対象経費・補助率・補助上限額
申請類型 | 対象経費 | 補助率・上限額 |
経営革新事業 | ▶︎「承継後の取り組み」にかかる費用を補助 店舗等借入費、設備費、原材料費、産業財産権等関連経費、謝金、旅費、マーケティング調査費、広報費、開業賃借費、外注費、委託費、廃業費 | 1/2または2/3 600〜800万円 |
専門家活用事業 | ▶︎「M&A(事業引継ぎ)時」等にかかる費用を補助 (※M&A支援業者に支払う手数料、セカンドオピニオン等) 謝金、旅費、外注費、委託費、システム利用料、保険料、廃業費、廃業支援費、在庫廃棄費、解体費、原状回復費、リースの解約費、移転・移設費用 | 1/2または2/3 600万円 |
廃業・再チャレンジ事業 | ▶︎「承継時にともなう廃業」にかかる費用を補助 廃業支援費、在庫廃棄費、解体費、原状回復費、リースの解約費、リースの解約に伴う解約金・違約金 移転・移設費用 | 2/3 150万円 |
※第7回公募要領をもとに会社信用ドットコムで作成。
事業承継・引継ぎ補助金の採択率
近年の事業継承・引継ぎ補助金の採択率は以下の通りです。
※経営革新事業・専門家活用事業のみ集計。廃業・再チャレンジ事業は公式サイト等をご確認ください
2022年(令和4年)
公募回 | 公募期間 | 申請類型 | 採択件数 | 申請数 | 採択率 |
1次公募 | 経営革新:令和4年5月31日〜6月20日/専門家活用:令和4年4月22日〜5月31日 | 経営革新 | 105件 | 209件 | 50.2% |
専門家活用 | 407件 | 790件 | 51.5% | ||
2次公募 | 令和4年7月27日〜9月2日 | 経営革新 | 105件 | 188件 | 55.8% |
専門家活用 | 234件 | 422件 | 55.4% | ||
3次公募 | 令和4年10月6日〜11月24日 | 経営革新 | 107件 | 189件 | 56.6% |
専門家活用 | 234件 | 408件 | 57.3% | ||
4次公募 | 令和4年12月26日〜令和5年2月9日 | 経営革新 | 146件 | 264件 | 55.3% |
専門家活用 | 290件 | 518件 | 55.9% |
2023年(令和5年)
公募回 | 公募期間 | 申請類型 | 採択件数 | 申請数 | 採択率 |
5次公募 | 令和5年3月20日〜5月12日 | 経営革新 | 186件 | 309件 | 60.1% |
専門家活用 | 275件 | 453件 | 60.7% | ||
6次公募 | 令和5年6月16日〜8月10日 | 経営革新 | 218件 | 357件 | 61.0% |
専門家活用 | 282件 | 468件 | 60.2% | ||
7次公募 | 令和5年9月15日~11月17日 | 経営革新 | 190件 | 313件 | 60.7% |
専門家活用 | 299件 | 498件 | 60.0% |
2024年(令和6年)
公募回 | 公募期間 | 申請類型 | 採択件数 | 申請数 | 採択率 |
8次公募 | 令和6年1月9日~2月16日 | 経営革新 | 201件 | 334件 | 60.1% |
専門家活用 | 229件 | 374件 | 61.2% | ||
9次公募 | 令和6年4月1日~4月30日 | 経営革新 | 233件 | 388件 | 60.0% |
専門家活用 | 275件 | 440件 | 62.5% | ||
10次公募 | 未定~令和6年7月31日 | 経営革新 | 8月下旬~9月月初発表予定 | ||
専門家活用 |
※公式サイトの情報をもとに会社信用ドットコムで作成。必ず公式サイトで詳細をご確認ください
採択率は年度や申請回によって変動しますが、近年の採択率は60%ほどです。
採択率高めという印象を受けた方もいるかもしれませんね。
しかしながら、採択率が高いからと安心してはいけません。以下のような気が抜けない理由があるからです。要チェックですよ。
高採択率な理由1:基準をクリアした事業者しか申請していない
経営革新事業の申請をするには、認定支援機関に相談することが必要です。
補助金の基準に満たない事業者は、相談の入口で支援機関から支援を断られているはずです。
採択率が高いのは、そもそも一定の基準に達している事業者様しか申請していないからという理由もあるでしょう。
高採択率な理由2:専門家の強力な支援がある
専門家活用事業で申請する事業者は、M&A支援機関の支援を受けていることも多いです。
専門家がサポートをしていますから、そもそも計画が洗練されているはずです。
良い計画ばかりが補助金に応募してくるのですから、採択率は高くなりやすいですね。
支援機関や専門家の支援があっても採択率は50〜60%ですから、実は狭き門なのです。
事業承継・引継ぎ補助金の審査の難易度
事業承継・引継ぎ補助金の審査の難易度は高めです。
事業承継をスムーズに進めることだけでなく、承継の効果や具体的な成果まで審査されるからですね。
慣れない承継手続きだけでなく、承継後の将来像を考え、言葉で正しく説明しなければなりませんから、入念な準備が必要です。
簡単に取れる補助金だと思っていると失敗してしまいます。
事業承継・引継ぎ補助金を確実にもらう申請のコツ7選
事業承継・引継ぎ補助金で採択をつかむ事業者様には特徴があります。
確実にもらうには、準備段階から戦略が必要ですね。申請のコツをご紹介します。
【盲点】スケジュール確保
事業承継・引継ぎ補助金を確実にもらうコツの1つ目は、スケジュールを確保することです。
事業承継・引継ぎ補助金の申請準備には、時間がかかります。
補助金制度の理解、手続きの確認、必要書類の準備、電子申請。支援者とともに計画を深める時間も必要ですね。
実際にやってみると、想像していたよりずっと時間も手間もがかかって驚くでしょう。
申請締切の直前は、専門家のサポートも満員御礼です。準備が間に合わず、申請を断念するケースもよく耳にしますね。
まずはスケジュールを確認して、余裕を持って準備できる体制を整えましょう。
入念な準備ができなければ、補助金の採択可能性は一気に下がってしまいます。
最適な申請類型を選ぶ
事業承継・引継ぎ補助金を確実にもらうコツの2つ目は、最適な申請類型を選ぶことです。
事業承継・引継ぎ補助金には、いくつかの申請類型があります。自社の計画内容に最適な申請類型で申請をしましょう。
合わない類型で申請すると、対象外とみなされることがあります。審査でも高評価の獲得が難しくなりますね。
どの申請類型が最適かわからない方は、まず公募要領を確認しましょう。早めに専門家に相談するのも1つの手ですよ。
必要書類の不備撲滅
事業承継・引継ぎ補助金を確実にもらうコツの3つ目は、書類不備を撲滅することです。
書類不備は不採択になります。
記入ミスや記載不足、正しい書類を揃えているか、繰り返し確認しましょう。
書類不備で採択を逃すのはもったいないです。要注意ですね。
事業計画に命をかける
事業承継・引継ぎ補助金を確実にもらうコツの4つ目は、事業計画に命をかけることです。
補助金の採択・不採択の決め手は、計画内容の良し悪しです。
自他ともに認める最高レベルの計画を真剣に考えましょう。
補助金の使い道だけでなく、
- 計画をどのように実行するか
- 実行するとどのような良い効果が期待できるか
まで考えておくことが必要です。
専門家と共に計画を深めることも必要ですね。
審査ポイントを極める
事業承継・引継ぎ補助金を確実にもらうコツの5つ目は、審査ポイントを極めることです。
事業承継・引継ぎ補助金の審査項目は、公募要領に記載されています。
審査項目を見ながら、
- 計画をレベルアップできないか
- 申請時は審査項目に沿って計画を説明しよう
と考えてみると良いですね。
7次公募の審査項目を貼っておきますね。
正しく事業計画を伝える
事業承継・引継ぎ補助金を確実にもらうコツの6つ目は、正しく事業計画を伝えることです。
事業承継・引継ぎ補助金は、電子申請の入力フォームに計画内容を入力します。
審査を突破するには、計画内容の良さが正しく伝わる言葉で説明することが必要になりますね。
すでにお伝えしている「審査項目」に沿って記載できているか、内容が明確に伝わるかを意識して記載しましょう。
専門家を味方につける
事業承継・引継ぎ補助金を確実にもらうコツの7つ目は、専門家を味方につけることです。
悩んだら専門家に相談した方がいいですよ。最適な解決策を示してくれますし、採択可能性も高まります。
経営革新事業は認定支援機関に相談が必要です。信頼できる専門家を見つけてくださいね。
会社信用ドットコムも認定支援機関です。身近に相談できる専門家がいない方はご相談ください。お力になります。
貴社が補助金で採択され、事業をますます発展させていくことを心より応援しています。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。
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