
このような疑問にお答えします。
この記事を書いている私は、企業信用調査会社(株)東京商工リサーチで7,000社以上を調査した元・調査員です。現在は企業審査のプロとして、融資や補助金の審査突破をサポートしています。
調査会社ではたくさんの企業の報告書を作成していたので、企業情報や将来計画のどの部分をどのような言葉で表現すれば、読み手に上手く伝わるのかを熟知しています。
補助金申請はこれまで200件以上サポートしてきましたが、小規模事業者持続化補助金では、店舗のトイレ改装についての質問をよく頂戴しています。
そこで本日は、以下のよくある疑問やお悩みを解消する記事を書きました。
この記事で解消されるお悩みや疑問
- 採択される店舗のトイレ改装とは?
- 不採択になるトイレ改装の特徴
- 確実に採択される事業計画書の書き方
ただなんとなく「店舗のトイレ改装をしたい!」と申請しても、補助金審査は突破できません。
この記事には、トイレ改装で採択されたノウハウから導き出した『補助金獲得のコツ』をつめ込みました。
ぜひ最後までお読みくださいね。
トイレ改装で小規模事業者持続化補助金に採択されるか?
トイレ改装で小規模事業者持続化補助金に採択されることは可能です。
小規模事業者持続化補助金の公募要領の「委託・外注費」にも、トイレ改装は経費対象として記載されています。
私もこれまで数々のトイレ改装計画の申請をお手伝いし、採択されてきたので間違いありません。

実は、不採択になったとお悩みの方も多いです。

『和式から洋式のトイレ改装』で補助金は取れる?

実はよく頂戴するこのご質問。
結論から申し上げると、
小規模事業者補助金でトイレを和式から洋式にすることは可能です。
ただし、すべての和式から洋式のトイレ改装が採択されるわけではありません。
和式から洋式にする理由、事業計画書の書き方によっては、審査落ちすることも少なくはないのです。


【最重要】小規模事業者持続化補助金の対象になるトイレ改装とは?
ところで、あなたはなぜトイレを改装したいのでしょうか?
- 古いから新しくしたい
- 狭いから広くしたい
- 和式は使いづらいから様式にしたい
- 最新鋭のトイレをぜひウチでも!
さまざまな理由があることでしょう。
でも、ただトイレを改装したいだけでは補助金の対象外です。
大切な視点が抜けています。
小規模事業者持続化補助金の対象になるトイレ改装は、新しい販路やお客様を開拓するためのトイレ改装です。
古いから新しいトイレにする。そうすれば、お客様が快適に使えて、店舗滞在時間も伸びて、リピート来店も増えるだろう。だから絶対にトイレ改装が必要!
これくらい戦略的にお客様獲得を狙うトイレ改装こそが、小規模事業者持続化補助金の対象になるトイレ改装です。
いかがでしょうか?貴社のトイレ改装計画は”戦略的”ですか?
次のパートからは、どのようなトイレ改装が不採択になりやすいのかをより詳しく解説します。
こんなトイレ改装は採択されない
では、どんなトイレ改装が不採択になりやすいのか見てみましょう。
小規模事業者持続化補助金で採択されないトイレ改装は、以下のようなものです。
採択されないトイレ改装の特徴
- トイレ改装が新しい販路・お客様の開拓に結びついていない
- トイレ改装に顧客開拓のための工夫が感じられない
- トイレ改装の内容・効果が審査員に正しく伝わる事業計画書を作成できていない
1つずつ補足します。
ケース①:トイレ改装が新しい販路・お客様の開拓に結びついていない
小規模事業者持続化補助金で採択されないトイレ改装の1つ目は、トイレ改装が新しい販路・お客様の開拓に結びついていないものです。
ただのトイレ改装は補助金の対象ではありません。
1つ前のパートでもお伝えしましたが、大事なことなのでもう1度お伝えしておきます。

ケース②:トイレ改装に顧客開拓のための工夫が感じられない
小規模事業者持続化補助金で採択されないトイレ改装の2つ目は、トイレ改装に顧客開拓のための工夫が感じられないものです。
強みを活かしたり、独自の工夫が必要です。
「工事業者が勧めるトイレをただ採用しただけ」「古いから新しくしたい(ただの更新)」のような計画は採択されにくいですね。
トイレ改装にも戦略が必要ということです。
ケース③:トイレ改装の内容・効果が審査員に正しく伝わる事業計画書を作成できていない
小規模事業者持続化補助金で採択されないトイレ改装の3つ目は、トイレ改装の内容・効果が審査員に正しく伝わる事業計画書を作成できていないケースです。
実は、このケースはとても多いです。
本当は素晴らしい計画でも、伝え方が悪ければ採択されません。
審査員が注目するポイントを押さえ、計画の良さが正しく伝わる書き方が必要です。

トイレ改装で小規模事業者持続化補助金に採択される事業計画書の秘密
それでは、トイレ改装で小規模事業者持続化補助金に採択される事業計画書の秘密をお伝えしましょう。
採択される事業計画書は以下の審査員の疑問を解消する書き方ができているのです。
採択される事業計画書は以下の疑問に対する回答を記載している
- なぜトイレを改装すると販路開拓になるのか?
- トイレ改装でどのような顧客層を獲得できるのか?
- 効果を最大化するためにトイレ改装でどのような工夫をするのか?
- トイレ改装は会社の成長・発展に効果のある取り組みか?
審査員は「トイレ改装→販路開拓」と素直に思ってはくれません。
トイレを改装した結果、どのような効果が出て、どのような販路・顧客を獲得できるか説明してはじめて、販路開拓のためのトイレ改装だとわかってもらえます。

次のパートで徹底解説しますね。
トイレ改装で採択される小規模事業者持続化補助金の「経営計画書兼補助事業計画書(様式2)」の書き方
トイレ改装の採択ポイントを押さえた「採択される事業計画書の書き方」をご紹介します。
ご紹介する書き方は以下の5つ。
トイレ改装で採択される事業計画書の書き方
- 現在のトイレの課題・問題点を書く
- トイレ改装で獲得する顧客像を書く
- トイレ改装の具体的な内容を書く
- トイレ改装で工夫した点を書く
- トイレ改装の効果を具体的に書く
1つずつ解説します。
現在のトイレの課題・問題点を書く
トイレ改装で採択される書き方の1つ目は、現在のトイレの課題・問題点を書くことです。
「なぜ現在のトイレではダメなのか」を説明しましょう。
例えば、下記のような具体的な説明が必要です。
現在のトイレは和式でスペースも狭く、高齢なお客様は使うのが大変という理由で買い物を切り上げてしまう方が多く、店舗滞在時間が短くなる原因になっている。
新しい販路・新しい顧客を獲得するためのトイレ改装ですから、「現在のトイレでは狙った顧客が獲得できない→だから改装が必要」とわかるように書くことがポイントです。
トイレ改装で獲得する顧客像を書く
トイレ改装で採択される書き方の2つ目は、トイレ改装でどのような顧客を獲得するか書くことです。
トイレ改装で、どのような新しい顧客を獲得するのかを具体的に説明しましょう。
「高齢者」「女性」と一言で表現するだけでは足りません。
例えば、以下のような具体像も含めて書きましょう。
- 性別
- 年齢層
- 職業
- 家族構成
- 顧客が存在するエリア
- 抱えている悩みや課題
- 製品、サービスに対するニーズ
具体的に説明できないと、審査員に「ちゃんと考えていない」と思われます。要注意です。
トイレ改装の具体的な内容を書く
トイレ改装で採択される書き方の3つ目は、トイレ改装の具体的な内容を書くことです。
- 改装後のトイレの特徴
- 改装前と改装後のトイレの違い
- 改装工事の内容
などを具体的に記載しておきましょう。
例えば、以下のような内容ですね。
具体的な内容の記載例
- トイレを和式から洋式に変更する
- 親が子供と一緒に入れる広い空間を確保する
- 小さなお子様や高齢の方が使いやすいバリアフリー仕様を採用(段差解消/手すりの設置/滑りにくい床材の採用/自動洗浄の追加 など)
- 2ヶ月かけてトイレ改装工事を実施
改装前のトイレと改装後のトイレの画像を貼っておくのもよいです。パッと見てすぐに違いを伝えることができますね。
トイレ改装で工夫した点を書く
トイレ改装で採択される書き方の4つ目は、トイレ改装で工夫した点を書くことです。
小規模事業者持続化補助金では「小規模事業者ならではの創意工夫をしているかどうか」が審査されます。
「特にないです」は絶対NGですよ。
審査員に「ここが工夫点だな」とはっきり伝わるように、工夫した点は強調しておきましょう。
ポイントは「どのような効果を狙って、どのような工夫をしたのか」というニュアンスで書くことです。
例えば、
- 単純に顧客数を増やすだけでなく、ターゲットである高齢者の快適さを追求して●●●●●●を取り入れた
- リピート来客や滞在時間の改善を考慮して、■■■■■■を行った
というような伝え方をすると、工夫した点をうまく強調できますよ。
【工夫した点】という見出しを入れて、内容を記載しておくとわかりやすいですね。
トイレ改装の効果を具体的に書く
トイレ改装で採択される書き方の5つ目は、トイレ改装の効果を具体的に書くことです。
経営計画書兼補助事業計画書(様式2)の「補助事業の効果」(1番最後のパート)に、トイレ改装でどのような効果が出るのか具体的に記載しておきましょう。
- トイレ改装でどのような新しい販路・新規顧客を獲得ができるのか
- トイレ改装が売上げ、取引などにどのような効果を発揮するのか
- トイレ改装を行うことがその効果に結びつく理由
を審査員が理解できるように具体的に説明しましょう。
本気の計画だと伝えるコツは、目標の客単価、顧客の獲得目標、業績目標などの「数値計画」も伝えることです。
現在の数値と、計画実施後の数値の比較表も入れるとよいですね。
自社の計画に合わせて工夫しましょう。
採択可能性は情報の”見せ方”で変わる
私はこれまで、補助金の事業計画書を200件以上添削してきました。
その経験から強く感じるのは、どんなに優れた計画でも、情報の伝え方が悪ければ、その良さを審査員に正しく理解してもらうのが難しいということです。
補助金の審査員が知りたいポイントを意識し、誰にでも分かりやすく伝わる計画書を作ることが成功の鍵です。
計画の良さをしっかり理解してもらえるよう、丁寧に作成しましょう。
そして、自分でも他人から見ても「これが最高の計画書だ」と思えるものを完成させてください。
「うちの計画の場合、どこが審査で重点的に見られるか」
「どのような言葉で文章で表現すれば理解してもらえるか」
「もっとわかりすく伝える方法はないか」
これらの点をよく考えて事業計画書を作成してくださいね。
書き方に悩む場合は、専門家に相談するのも有効な方法です。信頼できる専門家なら、問題を解決するための的確なアドバイスをしてくれるはずです。
ホームページで記入例を公開している商工会議所や商工会もあります。記入例があれば、書き方や文章のイメージをつかめるでしょう。
みなさまが補助金に採択され、事業をますます成長させていくことを心より応援しています。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。