
そのような経営者様に朗報です。
2025年、経済産業省は売上高100億円を目指す中小企業者を支援する新しい補助金『中小企業成長加速化補助金』をスタートしました。
3月に公募要領(補助金の説明書)が公開され、詳しい内容が明らかになりましたが、企業成長を目指すみなさまにとって大変有益な内容です。
補助金活用の検討、投資計画の具体化、それを実現するための実施体制の構築など、戦略的に準備を進めるためにも、お早めに情報をつかんでおくことをおすすめします。
この記事を書いている私は、企業信用調査会社(株)東京商工リサーチで7,000社以上を調査した元・調査員です。現在は、企業評価の視点を活かし、補助金や融資の審査突破をサポートしています。
補助金の審査突破には戦略が必要です。
みなさまの掲げる将来目標の実現と、企業の飛躍的な成長を叶えるための戦略です。
ぜひ最後までお読みいただき、確実に補助金を勝ち取るポイントを掴んでくださいね。
追伸:記事の中で補助金初心者の方向けに『採択診断チェックリスト』のプレゼントをご用意しています。
中小企業成長加速化補助金とは?
中小企業成長加速化補助金は、売上高100億円を目指す中小企業の大胆な設備投資を支援する制度です。
売上高100億円を目指す成長志向型の中小企業を支援することで、物価高や最低賃金引上げ、地方における持続的な賃上げを促進することを目的としています。
2025年から新しくスタートする経済産業省の補助金で、補助金額の大きさなど、魅力満載の支援制度になっています。
採択のポイント!中小企業成長加速化補助金の「目的」
国が補助金を支給する際には目的があります。
ただお金をあげるわけではない。「企業にこうなってほしい」という何かしらの思わくが国にはあります。
そして、みなさまがどんなに素晴らしい投資計画を考えていても、この補助金を支給する側の「目的」と合わない計画は対象外です。
別の補助金の活用を考える等の再考が必要です。
ということで、貴社のご計画が本当に補助金の対象になるか確認するためにも、国が中小企業成長加速化補助金をつくった「目的」を理解しておきましょう。
国が中小企業成長加速化補助金をつくった「目的」(※ここはしっかり読んでください)
いま、中小企業のみなさまは、「物価高」や「最低賃金引上げ」「地方での持続的な賃上げ」に直面していることと思います。
このような経営課題を解決・実現するためには、会社を大きく成長させることも必要になるでしょう。
そこで国は「中小企業成長加速化補助金」をつくりました。
売上高100億円を目指すような”成長志向型”の中小企業者が、会社を成長させるために行う大胆な設備投資で必要とする経費の一部を補助することにしたのです。
そして、物価高や最低賃金引上げ、地方での持続的な賃上げ実現を後押ししようとしているわけです。
このように、ここで取り上げたような経営課題に対応するために売上高100億円を目指すような成長志向型の中小企業でなければ、中小企業成長加速化補助金の対象にはなりません。
国がどんな「目的」で補助金をつくっているのか、そしてその「目的」に合致しなければ中小企業成長加速化補助金の対象ではないことをしっかり理解しておいてください。
中小企業成長加速化補助金の対象者・対象経費・補助金額は?
それでは、1つ前のパートの補助金の「目的」を押さえた上で、中小企業成長加速化補助金の対象者、対象経費、補助金額など、より詳しく見ていきましょう。
※今後、変更の可能性もあるため、必ず最新情報を確認してください。
対象者・対象経費・補助金額
基本要件 | ①中小企業者であること ②投資額が1億円以上(税抜き)であること(※) ③売上高100億円を目指すビジョンを策定・公表していること (売上高100億円を目指す宣言の策定・公表が完了していること。第1回公募においては同時の対応) ④一定の賃上げ要件等を満たす補助事業終了後3年間の事業計画書を策定し、実行すること 等 ※投資額とは建物費、機械装置等費、ソフトウェア費の補助対象経費の合算金額であり、外注費、専門家経費等は含めない。 ※投資場所が複数地域になる場合も対象となるが、補助事業の目的・内容が一体的であること |
補助対象期間 | 交付決定日から24か月以内 |
対象経費 | ●建物費 ●機械装置等費 ●ソフトウェア費 ●外注費 ●専門家経費 |
補助上限額 | 5億円 |
補助率 | 助成対象経費の1/2 |
中小企業成長加速化補助金の「チラシ」も公表されています。確認しておきましょう。

出典:中小企業庁
補助金を交付する想定件数
現時点では暫定情報になりますが、令和8年度末までに原則3回程度の募集が行われ、全体では600件程度の事業者等に対して、中小企業成長加速化補助金の交付が予定されているようです。
※1件当たりの補助申請額によっては、予定件数は増減する場合があります。
補助金の申請方法
新事業進出補助金の申請は、補助金電子申請システム(Jグランツ)で行います。
Jグランツでの電子申請には「GビズIDプライムアカウント」が必要です。
ID発行には時間がかから場合があります。早めにIDを発行してもらいましょう。
募集スケジュール
2025年3月にスケジュールが発表されました。
5月8日から申請受付が開始され、9月上旬に採択結果が発表されるスケジュールです。
- 公募説明会:令和7年4月下旬
- 申請受付開始:令和7年5月8日(木)
- 申請受付締切:令和7年6月9日(月)17:00
- 1次審査結果の公表:令和7年7月上旬
- プレゼン審査(2次審査):令和7年7月下旬~8月下旬頃(お盆期間を除く)
- 採択結果の公表:令和7年9月上旬以降
令和7年3月末に公開予定の公募要領(※補助金の説明書のようなもの)にも詳しいスケジュールが掲載されています。あわせて確認しておきましょう。
どのような設備投資計画で使える補助金か?
中小企業成長加速化補助金のチラシには、下記のような「活用のイメージ」が掲載されています。
- 工場、物流拠点などの新設・増築
- イノベーション創出に向けた設備の導入
- 自動化による革新的な生産性向上
他にも「こんな設備投資を検討中なら活用をおすすめするケース」をいくつかご紹介します。
1億円以上の大型の設備投資
中小企業成長加速化補助金は経済産業省の大型の補助金です。
これだけ大型の補助金はあまりありません。1億円以上の設備投資が対象になりますので、大型の設備投資を考えている事業者様は申請を検討してみると良いでしょう。
「建物費」を含む設備投資
中小企業成長加速化補助金の対象経費には「建物費」が含まれています。
建物費を対象にする補助金はあまり多くはありません。建物の新設や増築、改装を含む設備投資を計画しているなら、申請を検討すると良いでしょう。
採択される可能性があるか、この補助金が最適か、徹底確認して補助金を申請したい!という方は補助金の診断ボタンへお進みください。
審査突破のプロが解説!審査の特徴
現時点で公表されている中小企業成長加速化補助金の「審査基準」は以下の通りです。
①経営力
(ア)将来の売上高100億円(あるいは更なる成長)に向けた中長期的なビジョンや計画を有しているか。その上で、補助事業期間を含む今後5年程度について、経営者の明確なシナリオとともに事業戦略が論理的に構築され、その中で当該補助事業が効果的に組み込まれているか。事業戦略は、自社の成長余力、変化余力を最大限伸張し、従前よりも一段上となる成長を目指した企業の行動変容が示されたものとなっているか。
- 高い売上高成長率(補助事業期間を含む今後5年程度)が示されるとともに、それを実現できる事業戦略(本補助事業を含む)となっているか。
- 高い付加価値増加率(補助事業期間を含む今後5年程度)が示されるとともに、当該補助事業や省力化等の取組により労働生産性の抜本的な向上が図られるなど、当該付加価値増加率を達成できる計画となっているか。
- 企業の収益規模に応じたリスクをとった投資となっているか(売上高における設備投資額(本補助事業を含む)の比率が高い水準であるか)。
(イ)市場や顧客動向を始めとした外部環境、経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)等にかかる強み・弱みの内部環境を分析した上で、当面の事業戦略が論理的に構築され、本補助事業が効果的に組み込まれているか。
- 本補助事業により提供される商品・サービスのユーザ、市場及びその規模が明確で、市場ニーズの有無の検証などがなされているか(先行投資の取組、事業化可能性調査、テストマーケティング等)。
- 競合他社の製品・サービスを分析した上で、自社の優位性や特性が確保できる差別化された計画となっているか。
(ウ)適切な成果目標等が示され、その達成に向けて効率的に管理する体制が構築されているか。
(エ)コンソーシアム形式の場合には、連携の意義・目的が明確であり、相乗効果が見込まれるか。
②波及効果
(ア)地域への波及効果として、投資により創出された利益を賃金として従業員へ還元する賃上げの計画が具体的かつ妥当であり、賃上げ要件の水準を上回るものとなって
いるか。
(イ)域内仕入の拡大や地域における価値創造などに資する事業であるか(例えば、川上の調達先・川下の販売先などサプライチェーンを通じた波及効果がある事業か、ものづくりの高度化やイノベーションの創出など産業競争力を強化し新たな価値創造に資する事業であるか、地域資源の積極的な活用などを通じ地域の経済成長を力強く牽引する事業であるか(地域未来牽引企業の選定等)等)。
(ウ)下請取引先等に対する適切な取引姿勢(パートナーシップ構築宣言の実施等)、自然災害や感染症、サプライチェーン寸断等に対するレジリエンス(事業継続力強化計画の認定取得などBCPを策定していること)、女性活躍や仕事と子育ての両立などに配慮した職場環境整備(えるぼし認定、くるみん認定の取得等)など、地域のモデル企業としての取組を進めているか。
③実現可能性
(ア)計画を実施可能な経営体制が構築されており、早期に投資が実行され、確実に効果が得られると見込まれるか。
(イ)補助事業を適切に遂行できる財務状況が十分に確保されているか(ローカルベンチマークによるスコアリング)。
(ウ)金融機関のコミットメントが得られているか(確認書を発行した金融機関の担当者等がプレゼンテーション審査に同席する場合の加点等)。
売上100億円を目指すこと、また大型の投資を行うことから、経営者のビジョンや、成長シナリオ・内外環境分析の妥当性が判断される『経営力』を問う姿勢が明確に示されているのは大きな特徴です。
国の推進施策である賃上げや地域貢献、イノベーション創出やBCP計画をはじめとする『波及効果』についても、計画立案の段階でしっかり検討しておきたいところです。
さらに、これは補助金申請に限らず、事業計画では必ず問われる『実現可能性』も評価視点としてはっきり盛り込まれています。大型の投資になりますので、とくに金融機関とは早めの調整が必要です。
公募要領には各審査項目の詳しい内容が掲載されています。必ずチェックしましょう!
補助金採択に向けた7つの申請準備ポイント
補助金をスムーズに勝ち取るには、丁寧に申請準備と審査突破のための戦略が必要です。
その準備には時間がかかります。発表されている情報をもとに、できる申請準備を早めに進めておくことをおすすめします。
以下、重要なポイントを解説します。
補助金対象か厳しくチェック
中小企業成長加速化補助金の申請準備ポイントの1つ目は、補助金の対象かをしっかり確認することです。
優れた投資のご計画でも、補助金の対象でなければ採択はされません。パンフレットや公募要領、今後開設される公式サイトを丁寧に確認してください。
補助金は専門用語や難解な言葉も多いので、「対象や条件を理解できない」「自社が対象かよくわからない」と感じる方も多いと思います。
かといって、「おそらく対象であろう」という曖昧な確認で審査を突破できるほど、国の制度は甘くはありません。
難しい、よくわからないと感じるようであれば、補助金申請に詳しい専門家に早めにご相談することをおすすめします。
情報収集体制を完璧に
中小企業成長加速化補助金の申請準備ポイントの2つ目は、情報収集体制を完璧にしておくことです。
中小企業成長加速化補助金は2025年に新設された補助金です。新しい補助金は頻繁に追加情報が公開され、変更も発生しやすいです。
最新情報を正しく入手するためにも、情報収集体制をしっかり整えておきましょう。
「GビズID」の早期発行
中小企業成長加速化補助金の申請準備ポイントの3つ目は、「GビズID」を発行しておくことです。
中小企業成長加速化補助金はJグランツという電子申請システムで申請します。
このシステムを利用するには「GビズIDプライムアカウント」が必要です。申請直前になると発行依頼が混み合い、発行までに時間がかかる場合があります。
下記のページから早めに取得しておきましょう。
※GビズIDには「GビズIDプライム」と「GビズIDエントリー」があります。補助金申請に必要なのは「GビズIDプライム」です。間違えないように気を付けてください。
経費内容と依頼業者の精査
中小企業成長加速化補助金の申請準備ポイントの4つ目は、経費内容と依頼業者を精査することです。
中小企業成長加速化補助金の対象経費は以下のとおりです。
建物費、機械装置等費、ソフトウェア費、外注費、専門家経費
設備投資では様々な経費が発生します。どの経費がどれくらいの金額になるのか、それは補助金の対象になるのか、事前にしっかり整理しておきましょう。
また、採択・交付決定後はすぐに投資計画をスタートさせる必要があります。機械機器を購入する業者や外注先の選定も並行して進めておくとスムーズです。
設備投資計画を磨き上げる
中小企業成長加速化補助金の申請準備ポイントの5つ目は、設備投資計画を磨き上げることです。
中小企業成長加速化補助金は大型の補助金です。審査も厳しいものになると予想されます。
審査対策はもちろん、自社にとって最良の成果を出すためにも、設備投資計画は詳細まで決めておく必要があります。必要に応じてリサーチやシミュレーション、専門家への相談も必要です。
申請時には事業計画書の作成も必要です。アピールポイントや計画内容を適切に伝える構成や表現を練るなど、戦略な準備が必要です。
【必須】申請前の融資相談
中小企業成長加速化補助金の申請準備ポイントの6つ目は、「必ず」申請前に銀行に融資の相談をすることです。
補助金は投資完了後に振り込まれる『後払い制』のため、受け取るまでの資金繰りを考えておかなければなりません。
中小企業成長加速化補助金は1億円以上の設備投資が対象ですから、設備投資費用には銀行融資を充てるケースも多いでしょう。
「採択されてから銀行に相談すればいい」と後回しにして、実際に採択後に相談したら借入できず、補助金自体を諦めることになった事業者様の話をよく耳にします。
「補助金に採択されたから貸してくれるだろう」「補助金が貰えるとなれば貸してくれるだろう」という安易な考えは通用しません。
このような事態を避けるためにも、銀行には必ず申請前に融資の相談をし、資金繰りの目途を立てておきましょう。
売上高100億円を目指すビジョンの策定・公表
中小企業成長加速化補助金の申請準備ポイントの7つ目は、売上高100億円を目指すビジョンの策定・公表をしておくことです。
中小企業成長加速化補助金を申請するためには必須です。以下がその概要です。
「売上高100億円を目指す宣言」:中小企業が、自ら「売上高100億円を超える企業になること」、「それに向けたビジョンや取組」を宣言し、ポータルサイト上に公表をするもの。
中小企業庁のホームページに『100億円宣言に記載する内容』や『宣言のメリット』も掲載されています。
また、申請要領や申請ひな形が公開されていますので、本補助金の申請を検討している事業者の方は、どう作成するか早めに考えておきましょう。
申請を受け付ける特設ポータルサイトは、2025年5月頃開設される予定です。情報をこまめに確認し、開設され次第、申請手続きをしましょう。

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最後に:審査突破のプロが教える!補助金採択の”鍵”
中小企業成長加速化補助金について、現在までに公開されている情報をもとにお伝えしました。
すでに私が普段から審査突破や企業評価アップをサポートさせていただいている経営者の方々からも、本補助金の採択可能性や計画を具体化するご相談を頂戴しています。
成長・発展を常に意識する経営者の方からの注目度は相当高いです。競争率も高くなると予想されますね。
1億円以上の投資を対象とする補助金ですので、厳しい審査が予想され、細部までの緻密な準備が求められます。
絵にかいた餅ではなく、実現可能性が審査でも厳しく見られています。
十分なお時間をかけて、貴社のご成長と末長い事業継続にとって最良のご計画をお考えの上、準備を進めてください。
みなさまが補助金に採択され、末長く会社を成長させていかれることを心より応援しております。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。