
このような疑問を解消します。
2024年から新しく募集が開始された大規模成長投資補助金。
大型の設備投資を考えている経営者の方は大チャンスですね。
一方で「採択されるのは難しいのではないか?」というご心配の声もよく耳にします。
そこで本記事では、大規模成長投資補助金の難易度と申請ハードルを徹底解説しました。
この記事を書いている私は、企業信用調査会社(株)東京商工リサーチの元調査員です。現在は企業審査の知見を活かし、補助金や融資の審査突破をサポートしています。
大規模成長投資補助金は高難易度ですが、とても魅力的な補助金です。
最後までお読みいただければ、申請ハードルに対する理解が深まり、採択のハードルに対する不安も解消されます。
ぜひ最後までお読みくださいね。
追伸:記事の中で『補助金の採択診断チェックリスト』を無料配布しています。
大規模成長投資補助金とは?
大規模成長投資補助金は、人手不足等の課題に対応し、成長加速につながる大規模投資を行う中堅・中小企業を支援する補助金です。持続的な賃上げの実現支援も目的としています。
10億円以上の投資が対象となり、補助上限額は50億円という、とてもスケールの大きな補助金です。
対象者や対象経費、補助率は以下のとおりです。
対象者・対象経費・補助率
対象者 | 中堅・中小企業(常時使用する従業員数2,000人以下)等 |
補助対象要件 | ①投資額10億円以上(外注費・専門家経費を除く補助対象経費分) ②従業員1人当たり給与支給総額の伸び率に達成目標あり →補助事業の終了後3年間の対象事業に関わる従業員1人当たり給与支給総額の伸び率(年平均成長率)が、事業実施場所の都道府県における直近5年間の最低賃金の年平均成長率以上 |
対象経費 | 建物費(拠点新設・増築等)、機械装置費(器具・備品費含む)、ソフトウェア費、外注費、専門家経費 ※建物費は生産設備等の導入に必要なものに限る。土地代は対象外。 |
補助上限額 | 50億円(補助率1/3以内) |
補助金の活用イメージ
どのような取り組みで活用できる補助金か知りたい方は、下記画像をご覧いただくとイメージがつかみやすいと思います。
- 工場や倉庫・販売拠点の新設や増築
- 最先端の機械や省力化設備の購入
- ソフトウェアの購入や情報システムの構築 など
工事の着手・完了期限(補助事業期間)
工事は交付決定後に開始し、令和9年12月末までに納品、検収、支払などの事業で必要な手続きをすべて完了させる必要があります。
補助事業期間内に補助事業が完了しなかった場合は、採択自体が取り消しになることもあり得ますので注意してください。
審査方法
大規模成長投資補助金には1次審査と2次審査があります。それぞれ簡単に解説します。
1次審査:書面審査
補助金事務局による審査です。形式要件(従業員数 2,000 人以下等)の適格性の確認、計画の効果・実現可能性等について定量面が審査されます。
2次審査:プレゼン審査
外部有識者によるプレゼン審査です。地域ブロック単位で審査会が開催されます。計画の効果・実現可能性等について定性面も含めた審査になります。
1次審査通過者には、2次審査の詳細について個別に連絡があります。
提出書類
成長投資補助金申請の必要書類は以下のとおり。必ず公募要領で詳細を確認してください。
- 成長投資計画書(PDF35枚以内)
- 成長投資計画書別紙
- ローカルベンチマーク
- 決算書3期分
- 金融機関による確認書(※注1)
- リース取引に係 る誓約書(※注2)
- リース料軽減計算書(※注3)
注1:金融機関からの確認を受けた場合に必要
注2・注3:リース会社と共同申請をする場合に必要
公式サイトの資料ダウンロードページに申請書類の公募様式が掲載されています。必ず確認しておきましょう。
大規模成長投資補助金の公募様式の掲載場所
「採択可能性があるか」「この補助金が最適か」徹底的に確認して補助金を申請したい!という方は補助金診断(無料)も活用してくださいね。
1次公募・2次公募の採択結果・採択倍率
1次公募 | 2次公募 | |
有効申請件数 | 736件 | 605件 |
一次審査通過 | 254件 | 218件 |
採択事業者数 | 109件 | 85件 |
採択倍率 | 約6.8倍 | 約7.1倍 |
1次公募・2次公募の詳細数値も公表されています。
採択者の平均投資予定額は約49億円、平均目標賃上げ率の中央値は5.0%。
高い目標水準を設定した事業が採択されているのが特徴です。
3次公募のスケジュール
3次公募の募集スケジュールは下記の通りです。
3次公募のスケジュール
- 公募期間:令和6年3月10日~4月28日17:00
- プレゼンテーション審査:6⽉上中旬頃(予定)
- 採択発表:6⽉下旬頃(予定)
- 交付申請:7⽉上旬以降(予定)
- 交付審査 7⽉下旬以降(予定)
- 交付決定:9⽉中旬以降(予定)
一次審査:書面審査、二次審査:プレゼン審査(対話形式)が実施されます。その後、採択発表・事業実施・入金・効果報告へと進むスケジュールになります。
なお、スケジュールは現時点での⽬安です。
今後変更となる場合がありますので、公式サイト等をこまめに確認しましょう。
大規模成長投資補助金の7つの申請ハードル
魅力的な補助金はハードルも高いです。
大規模成長投資補助金で乗り越えるべき申請ハードルは7つです。1つずつ解説します。
期限との戦い
大規模成長投資補助金の申請ハードルの1つ目は、期限との戦いです。
本来であれば、10億円を超える設備投資を伴う補助金申請では、最低でも2〜3ヶ月は準備時間がほしいところです。
しかしながら、大規模成長投資補助金の一次公募(4/30締切)では、スケジュール発表から締切まで2ヶ月もありません。
二次公募以降のスケジュール感も一次公募と大きくは変わらないはずですので、早めの準備や柔軟な対応ができないのであれば申請は厳しいでしょう。
スケジュール管理は大規模成長投資補助金の高い申請ハードルになりそうです。
要件の必達
大規模成長投資補助金の申請ハードルの2つ目は、条件の必達です。
すでにお伝えしたとおり、大規模成長投資補助金は2つの要件があります。
大規模成長投資補助金の要件(再掲)
- 投資額 10 億円以上(外注費・専門家経費を除く補助対象経費分)
- 従業員1人当たり給与支給総額の伸び率に達成目標あり
→補助事業の終了後3年間の対象事業に関わる従業員1人当たり給与支給総額の伸び率(年平均成長率)が、事業実施場所の都道府県における直近5年間の最低賃金の年平均成長率以上
採択後、実際の設備投資額が10億円以下になった場合は、補助金要件の対象外となります。補助金は支給されません。
賃上げ要件が未達成の場合は、未達成率に応じて補助金の返還も必要です。
要件を達成できる見込みがないのであれば、申請は難しいと考えるべきでしょう。
独自の審査基準
大規模成長投資補助金の申請ハードルの3つ目は、独自の審査基準です。
スケールが大きな補助金だけあり、審査基準もほかの補助金とは一味異なります。
大規模成長投資補助金の審査基準
- 経営力
- 先進性・成長性
- 地域への波及効果
- 大規模投資・費用対効果
- 実現可能性
5つの視点で定性的・定量的に審査されるルールになっています。
\審査基準の詳細は以下を確認/
とくに「経営力」の指標は特徴的だと思います。
ほかの有名な補助金でも審査されるポイントではありますが、大規模成長補助金では明確に「経営力」という1つの基準として打ち出しています。
審査基準の1番上に「経営力」を置いていることからも、重視されていることが感じ取れますね。審査員の注目度も高いでしょう。
最難関!成長投資計画書
大規模成長投資補助金の申請ハードルの4つ目は、成長投資計画書(35枚以内)の作成です。
「35枚」の数字を見ただけで申請を躊躇う経営者の方もいらっしゃるかもしれませんね。
しかも、成長投資計画書の参考様式からもわかるように、計画を細部まで練り上げ、詳細まで記載する必要があります。
作成はすべて専門家任せともいかないでしょう。
事業計画書の作成に苦手意識がある場合は、申請のハードルは高いと感じるかもしれません。
経営者チェック
大規模成長投資補助金の申請ハードルの5つ目は、経営者チェックです。
大規模成長投資補助金の2次審査では、経営者自身による計画のプレゼンが行われます。
審査員は経営者のプレゼンを聞いて計画の理解を深めていきますから、プレゼンをする経営者の責任は重大です。
審査では計画を実行する社長様自身も見られ、補助金支給にふさわしいか確認されるでしょう。
ライバルは精鋭ぞろい
大規模成長投資補助金の申請ハードルの6つ目は、ライバルは精鋭ぞろいということです。
大規模成長投資補助金は大変魅力的な補助金です。
本気で獲得を狙う精鋭たちが集まるでしょう。その精鋭たちは、最低投資額10億円を出せる収益力に富んだ会社です。
精鋭たちとの補助金勝ち取り競争は熾烈なものになるでしょう。申請の高いハードルになりそうです。
「うちは無理」の思い込み呪縛
大規模成長投資補助金の申請ハードルの7つ目は、「うちは無理」という思い込み呪縛です。
補助金申請のお手伝いをさせていただいていると、気持ちの持ちようが申請のハードルになると感じることが少なくありません。
大きな補助金ですから気圧される気持ちはよくわかります。
心理的なハードルを越えて補助金に挑戦することは、簡単なことではないでしょう。
次のパートでは、大規模成長投資補助金の正しい攻略法をお伝えしています。
もし、まだ補助金に挑戦する気持ちをお持ちであれば、ぜひ最後までお読みください。

大規模成長投資補助金の正しい採択攻略法

そんな本気の経営者の方のために、大規模成長投資補助金の正しい採択攻略法をお伝えします。
意識していただきたいポイントは11個です。
(※数は多いですがサクッと読めます)
大規模成長投資補助金の正しい採択攻略法
- 補助金制度の徹底理解
- 決断と行動は早めが吉
- 審査基準の攻略が鍵
- 資金の目処が大事
- 最高レベルの計画のみ有効
- 成長投資計画書は見せ方が命
- 加点とりこぼしが命取り
- 撲滅!手続き・必要書類の不備
- プレゼンの対策に経営魂を込める
- 専門家選びで妥協しない
- 【1番大事な攻略法】
基本的なものもありますが、大規模成長投資補助金の難易度の高さを考えると、1つ1つの項目を高い精度で取り組む必要があります。
1つずつ簡単に解説します。
補助金制度の徹底理解
大規模成長投資補助金の正しい採択攻略法の1つ目は、補助金制度を徹底理解することです。
制度の理解なくして採択はありません。
公式サイトや公募要領は必ず確認しましょう。
そもそも補助金がよくわからない方は以下の記事をお読みください。補助金の基本が3分でわかります。
-
【3分で読む】世界で1番わかる補助金申請|補助金とは?をわかりやすく解説する初心者ガイド
【補助金支援200件以上】元調査員×審査突破のプロが「補助金とは?」をわかりやすく解説!補助金初心者なら必ず知っておきたい「補助金を理解するために知っておきたい10項目」と「失敗しない申請手順9ステップ」を世界一わかりやすくお伝えしています。
▶︎3分で読む!世界で1番わかる補助金申請|補助金とは?をわかりやすく解説する初心者ガイド
決断と行動は早めが吉
大規模成長投資補助金の正しい採択攻略法の2つ目は、決断と行動を早めにすることです。
申請の準備には時間と労力がかかります。
ご自身が想定しているよりもやるべきことは多いと思ってください。
余裕を持ってスケジュールを調整することを強くオススメします。
専門家にサポートを頼む場合、人気の専門家は早々に満杯になります。こちらも早めに動きましょう。
審査基準の攻略が鍵
大規模成長投資補助金の正しい採択攻略法の3つ目は、審査基準を丁寧に確認することです。
審査員は審査基準に沿って貴社の計画と経営者の言動をチェックします。
大きな補助金ですから、審査員も気合を入れて審査をすることでしょう。
相手が見るポイントに対して的確に応える
これは書類審査でも面接審査でも同じです。審査突破戦略の基本です。
自分の伝えたいことだけを伝えて、審査ポイントから逸れまくっているケースをよくお見掛けしますが、審査員は困惑するだけです。
まずは審査員が知りたいことに応えることを意識してくださいね。
審査基準は公募要領に記載されています。必ず確認してください。
資金の目処が大事
大規模成長投資補助金の正しい採択攻略法の4つ目は、資金の目処をつけておくことです。
もう1度繰り返します。申請をする前に、資金の目処は必ずつけておいてください。
これだけ大きな投資です。投資資金をどう工面するかについては、審査員も大いに注目しています。
採択されてから資金繰りを考えるような計画は、補助金では採択されません。「資金も用意していないのに実現できるわけないだろう」と思われるからです。
早めに資金の目処をつけ、事業計画書やプレゼンで説明できるようにしておいてください。
最高レベルの計画のみ有効
大規模成長投資補助金の正しい採択攻略法の5つ目は、最高レベルの計画で勝負することです。
計画内容に不足点や改善点はないか、妥協はせず、納得がいくまでよく考えましょう。
審査基準は計画の良し悪しを判断するものです。計画の精度を高めるヒントとして活用しましょう。
計画の精度を高めることは、貴社の成長にもつながります。全力で取り組んでください。
成長投資計画書は“見せ方”が命
大規模成長投資補助金の正しい採択攻略法の6つ目は、審査を突破する成長投資計画書を作成することです。
補助金で採択されるには、審査員が計画を見るポイントを見極め、自社情報の見せ方を工夫することが必要です。
伝えるべき情報を考え抜き、審査員に正しく伝わる表現で計画書を作成してください。
成長投資計画書は参考様式が公開されていますが、より最適な情報の見せ方があるのなら、アレンジを加えることも必要でしょう。
必要に応じて専門家の意見も取り入れながら、自他共に認める最高の計画書を作成してください。
加点とりこぼしが命取り
大規模成長投資補助金の正しい採択攻略法の7つ目は、取れる加点はすべて取ることです。
申請したすべての事業者が補助金で採択されるわけではありません。加点を取れるかどうかが採否のわかれ道になることもあります。
採択可能性を高めるために、取れる加点はきっちり取っておきましょう。
なお、大規模成長投資補助金には、以下の加点があります。
大規模成長投資補助金の加点
- 金融機関からの確認書発行やプレゼン同席
- 地域未来牽引企業
- パートナーシップ構築宣言の登録企業
とくに1つ目の金融機関の協力は、ぜひとも取り付けたいところです。早めに相談することをおすすめします。
撲滅!手続き・書類の不備
大規模成長投資補助金の正しい採択攻略法の8つ目は、手続きや書類の不備をなくすことです。
他のどの補助金でも、手続きや書類の不備で不採択になる事業者様がかなりの数存在します。十分注意してください。
必要書類は公募要領にわかりやすく記載されています。
計画内容によっては補足資料なども用意した方が良いケースもあるでしょう。
専門家にも相談しながら丁寧に準備を進めてください。
経営者魂プレゼンテーション
大規模成長投資補助金の正しい採択攻略法の9つ目は、経営者魂を込めた本気のプレゼンテーションをすることです。
大規模成長投資補助金は、2次審査で対面審査(プレゼン)があります。
1次公募や2次公募では、1次審査を通過した事業者のうち、2次審査を通過したのは約半数でした。半分以上が不採択になる厳しい審査です。
プレゼンやに苦手意識をお持ちであれば、原稿を準備し、練習もしておく必要があるでしょう。審査員からされるであろう質問への対策もお忘れなく。
「本気が感じられない」と思われたらおしまいです。
事業実現への本気の想いあふれる魂のプレゼンで勝負してください。
専門家選びで妥協しない
大規模成長投資補助金の正しい採択攻略法の10つ目は、信頼できる専門家を味方につけることです。
自社でけで補助金採択は難しい。そう感じている経営者の方もいらっしゃることでしょう。
そのような場合は、信頼できる専門家に相談することをおすすめします。
信頼できる専門家なら、貴社に真摯に寄り添い、採択可能性を高めるアドバイスをしてくれるはずです。
最後は社長の本気が試される
大規模成長投資補助金の正しい採択攻略法の最後の1つは、社長の本気をぶつけることです。
会社の行く末を左右する社長の本気が伝わらなければ、高評価は獲得できません。
甘さや妥協は、事業計画書でも面接でもにじみ出てしまいます。
本気を想いを補助金申請に注ぎ込み、採択を勝ち取ってくださいね。

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まとめ:大規模成長投資補助金の採択率アップ攻略法
大規模成長投資補助金は補助上限額も大きく、書類審査・面接審査の二段階審査で厳しく審査されます。
計画の方向性の検討、申請書類の準備では、専門家の手を借りることも必要になるでしょう。
申請準備にはとても時間がかかります。公募要領を読んで制度をしっかり理解し、早めに準備を進めてください。
みなさまが補助金を獲得し、今後ますます事業を成長させていかれることを心より応援しています。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。
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